【京都 祇園】割烹 すだ :「食の王道」vol.42 広川道助

2016.09.01

「京料理とはなにか」の疑問を解消してくれる
円熟の美味を「割烹 すだ」にみつける

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京料理とはいったいなにか。それがまだ、わからないでいるのが正直なところです。

御所のあった伝統的な都市ですから、歴史のある料理店はたくさんありますが、女性誌などで取り上げられている人気料理店が京料理なのかと思うと、違うような気がします。

そんなことを私が食の師匠とあがめている方に話したところ、

「ならばここに一度行ってみるといいよ」

と紹介されたのが、祇園町の「割烹 すだ」でした。

近年の料理マスコミにはほとんど登場しなく、食べログでも評価は3.5をかろうじて越えているものの、口コミは3件しかありません。

ただ、師匠が教えてくれた「須田さんは『乃り泉』の料理を継承した最後の料理人だ」という言葉に惹かれました。

祇園町にあった「乃り泉」はうかがったことはありませんが、「浜作」「南一」とならぶ、正統的な京料理の店として玄人筋には有名な店だったからです。

雑居ビルの一階。スナックや小料理屋がならぶ通路の奥に店はあります。カウンターは6席ほどでしょうか。口開けの時間に訪れたので客はほかにはいませんでした。

ご夫婦ふたりでやってらっしゃり、奥様がサービスを担当しています。

一見の客はめったに来ないということでしたが、賑やかな大将は話し始めたら止まらず、ここ数十年の京都の日本料理の歴史を語りはじめ、もちろん話しながらも、手はしっかりと料理を始めています。

料理自体はとてもわかりやすいもの。

冷やし茶碗蒸しから始まり、穴子の八幡巻、ハモ寿司、焼きハモ、椀代わりのハモの吸い物、鮎、ハモの柳川といった流れで、どれもこの季節の旬の料理、オーソドックスではじめていただく料理はありません。

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しかし、この無造作に出された料理がどれも、とてもうまいのです。

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