山﨑ワイナリー ピノ・ノワール2013「いますぐ飲みたい日本ワイン」vol.06 柳忠之

2015.11.03

rd_山崎ワイナリーPN

北海道ならではの気候が育てたピノ・ノワール

今から5年ほど前でしょうか? 信頼する酒販店のご主人が、「すごいピノ・ノワールがあるんですよ、それも北海道の!」と、興奮状態で私に話してくれたことがありました。その直後、とある雑誌にも、「北海道ならではの酸が素晴らしい」とベタ褒めされていたので、いても立ってもいられず、あちこち探してようやく1本手に入れた日本ワイン。それがここでご紹介する、山﨑ワイナリーのピノ・ノワールです。

ピノ・ノワールは栽培の難しいブドウ品種としてよく知られています。房がコンパクトで粒同士が密着し、病気にかかりやすい。そのうえ暑すぎる土地ではこの品種最大の特徴ともいえる、フレグラントな香りとピュアな酸味が損なわれてしまいます。ですから、高温多湿、ほぼ亜熱帯の日本でピノ・ノワールは無理と考えられていました。ところが……。

北海道は梅雨や台風の被害が少なく、気候は冷涼。本州のどの地域よりもピノ・ノワールの栽培には向いていそうです。なにしろ日本でまともなピノ・ノワールにお目にかかることなどそれまで皆無でしたから、ブルゴーニュでワインに目覚めた身としては、気になって仕方ありません。ヴィンテージは失念しましたが、その時に味わった山﨑ワイナリーのピノ・ノワール、じつは少々落胆したのです。

なんとも浮ついた酸ばかりが強調され、多くの人が「酸っぱい」というであろうレベル。たしかにピノ・ノワールにとって酸は大事な要素とはいえ、「これは度を過ぎている」と感じたものです。もしかしたらマロラクティック発酵(ワイン中のシャープなリンゴ酸を乳酸菌の働きで柔らかな乳酸に変える発酵)をしてないんじゃないか……とさえ思ったほど。

 

大きく進歩した2013年ヴィンテージの味わい

しかしながら、あらためて最新の2013年ヴィンテージを味わってみると、大きく進歩していることがわかりました。酸味は相変わらず高めながら、それをきれいに包み込む果実味のよさ。なにより感動したのがそのフレーバーです。香りのしないピノ・ノワールなんて、ジーンズを履いた橋本マナミみたいなもの。それがこのピノ・ノワールからは、チャーミングな赤い果実のアロマがふんわりと漂ってくるではありませんか。

山﨑ワイナリーがあるのは、札幌から車で1時間弱、北東に走った三笠市。4代にわたって農業に携わってきた山﨑家が、2002年にワイナリーを立ち上げました。10ヘクタールのブドウ畑には、ピノ・ノワールのほか、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ツヴァイゲル、メルロー、ケルナー、ピノ・グリ、バッカスなどの品種が垣根仕立てで栽培されているそうです。併設のショップでは、通販や一般販売されていないワインが限定販売されているとか。いつか訪ねてみたいワイナリーです。

 

3240円(税込み)/山﨑ワイナリー www.yamazaki-winery.co.jp

取材・文/柳忠之

 

【柳忠之の〈いますぐ飲みたい日本ワイン〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/tadayuki-yanagi/

 

Area