「本日もいい塩梅」 vol.32

製塩所訪問記~高知県その1・土佐のあまみ~:ソルトコーディネーター 青山志穂

2016.12.16

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自然と人間に優しい塩づくり

土佐湾を臨む山のふもとにある黒潮町。山から湧水が流れ込むため、海のミネラルと山のミネラルが交じり合うこの海岸沿いでは、塩づくりが盛んに行われています。そのうちの1つ、巨大なネット式の採かんタワー(濃縮海水を作るための装置)と2棟のビニールハウスが、小島正明氏が運営する製塩所「土佐のあまみ」です。

小島氏が本格的に塩作りを始めたのは1982年のこと。当時、まだ塩の専売制度が施行されている最中で、政府が認めたイオン膜塩製塩法で作ったナトリウム純度の高い塩以外の、国産海水100%から作った塩の販売は認められていませんでした。しかし、もともと自然環境保護活動に参加し、有機農業を手掛けていた小島氏やその仲間にとって、ナトリウムだけの塩が人間の身体に優しいとは思えませんでした。その想いから、食用塩研究会に参加し、東京都・伊豆大島の製塩所での1年間の研修を経て、自然塩づくりを修得。その後、政府から製塩の試験研究と会員配布許可を得て、高知県黒潮町で「自然と人間に優しい塩づくり」がスタートしました。

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大切なのは「良い原料、清潔な工場、優秀な技術、経営者の良心」

1975年には、想いを同じくするメーカー8社と「良い食品をつくる会」を発足。その後、会員数150社まで膨れ上がった同会は、1993年にいったん発展的解消をし、1997年に新たに「良い食品づくりの会」を結成し、活動を再開します。

1997年といえば、ちょうど専売制度が解禁になった年でもあり、この年から、一般消費者への販売ができるようになりました。小島氏は、「良い食品づくりの会」の4原則である「良い原料、清潔な工場、優秀な技術、経営者の良心」に則り、黒潮町の豊かな海水を原料に、清掃の行き届いた製塩所で、自然に寄り添う熟練の技で、完全天日塩の生産を続けています。

高知県では完全天日塩作りが盛んですが、そのうちの多くの職人が小島氏のもとに修行に来て製塩を学び、その後独立を果たしており、高知県の塩作りの父と言っても過言ではありません。

 

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