五味葡萄酒ペントピア甲州樽発酵2015:ワインキュレーター 柳 忠之

2017.01.25

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甲州の樽発酵は時代遅れ?

甲州の醸造にオーク樽が使われるようになったのは、いったいいつ頃からでしょうか? 記憶をさかのぼると、たしか80年台の後半だったような気がします。

高級白ワインといえば、今も昔もオーク樽で醸造されたシャルドネ。その手法を甲州に応用したわけですね。たしかにオーク樽で発酵、熟成させるとワインに厚みが出てきます。

その反面、オーク特有のバニラ香が鼻につくことも。とくにもとの酒質が弱いブドウの場合、オークのフレーバーばかりが際立って、不快にすら感じることが少なくありません。

80年代から90年代にかけては、香ばしいオークフレーバーもポジティヴにとらえられていましたが、昨今はシャルドネでさえオークフレーバーの目立たないワインが主流になり、造り手も大きめのサイズの樽を使ったり、新樽の比率を減らしてオークのニュアンスを抑える傾向にあります。

甲州も同じくフレッシュさやピュアさを追求したスタイルがトレンド。かつて一斉を風靡した樽仕込みの甲州はやや肩身の狭い存在になってしまいました。

鍋やおでんに合う、日本酒のようなワイン

そんな中、府中のお酒屋さんでたまたま見つけたのがこのワイン。五味葡萄酒の「ペントピア甲州樽発酵」です。

五味葡萄酒は山梨県塩山市にある家族経営のワイナリーで、62年に共同醸造所の醸造免許を買い取り、設立されました。現在はご当主、五味一彦さんの甥っ子である渡辺朋彦さんが醸造を担っています。

グラスに注ぐと透明感のある・・・というか、ほとんど無色。香りは「えっ、ほんとに樽発酵?」と頭に疑問符が浮かぶほどオークフレーバーは微塵も感じられません。むしろニュートラル。その一方、味わいには適度な厚みと重みがあり、ボディのしっかりしたワインに仕上がっています。家内に向かって思わず発した言葉は「まるで日本酒みたいだね」でした。

その晩の食事は鱈ちりでしたが、ほんとにお鍋との相性のよいワインと思いました。出汁やお醤油、みりんなどの風味に自然と溶け込みます。おでんにもよさそう。まだしばらくは寒い季節が続きそうですから、このワイン、活躍の機会がまたありそうです。

2808円(税込み)/五味葡萄酒
http://www5a.biglobe.ne.jp/

 

【柳忠之の〈いますぐ飲みたい日本ワイン〉】一覧記事はこちら
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