三井の寿 三井神力:日本酒キュレーター あおい有紀

2017.02.28

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「科学とセンスと情熱!!」で世界を視野に酒造りに挑む福岡県の酒蔵

突然ですが、漫画「スラムダンク」の登場人物で人気キャラクターでもある三井寿。実は、彼の名前は日本酒の銘柄から来ているのをご存知でしょうか。原作者の井上雄彦先生が好きなお酒、三井の寿(みいのことぶき)が由来だとのこと。

実際、背番号14のデザインラベル日本酒もありますので、ご興味ある方はぜひ!今回は、その三井の寿が新たなお酒を2月にリリースしたとのことで、ご紹介したいと思います。

2株式会社みいの寿は、福岡県三井郡で1922年(大正11年)創業。田園風景の広がる筑後平野にあり、筑後川に注ぐ小石原川の清流沿いに位置します。第4代の長男 井上宰継専務兼杜氏(46)が、次男の康次郎氏、そして3名の蔵人と共に「三井の寿」「美田」の銘柄を中心に造っています。井上杜氏は、ハーゲンダッツジャパンに就職、5年後の27歳で酒蔵に戻りました。

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「小学校の時から家業を継ぐ事は考えていましたが、それは経営者としてで、酒造りまでするとは全く考えていませんでした。ハーゲンダッツジャパンは製品開発にこだわりがあり、例えば、ミルクをより良質にするため牛の餌を変えたり、原料を無農薬で栽培したり、無着色で製品を作るなど、より良い製品作りへの追究の姿勢を学びましたね。またカーネギーなどの経営者セミナーなどで勉強する機会もいただけて、当時の経験は、今の酒造りや経営にも役立っています」と井上杜氏。

蔵に戻った後は当時現場にいた、元菊姫で酒を造っていた能登杜氏に学びながら、自身のイメージする味わいを目指し、少しずつ造りを変えていきます。

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「酒造りは、科学とセンスと情熱だ!!」が、井上杜氏のモットー。化学ではなく、科学とする理由は、「科学とは自然科学や学問も入ってますし、勿論、化学も科学の中の一つなのでそう言っています。

要は数字や常識にとらわれず、いかに当たり前の中から疑問を見つけ、良い酒にしていくか考えています」と。食との組み合わせを大切に、“色々な酸の味”を出す事をコンセプトに、山廃造りやワイン酵母を使う日本酒などバリエーション豊かな味わいを表現しています。

現在は、製造で800石、販売で1000石を超えており、全量が特定名称酒。うち99%が純米系、1%は鑑評会用の大吟醸となっています。

 

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