グルメ

「食の王道」vol.72

【東京 銀座】美登里:グルメキュレーター 広川道助

2017.03.30

名前の響きとは裏腹にきわめてまっとうな料理だった
銀座「美登里」のシャンパン鍋

1横浜「美登里」といえば、私は訪れたことはありませんでしたが、馬車道通りの近くにあった由緒ある料亭として有名でした。

ところが火事で建物が焼失。心機一転、銀座で割烹料理屋として復活したということは他人伝てに聞いていました。料亭料理とカウンター中心の割烹とは似ているようで、違うものですから、どんな料理屋になったのだろうかと興味はあったものの、なかなか訪れる機会はないままでした。

その美登里が同じ銀座内で移転、しかも名物がシャンパン鍋と聞いて驚きました。老舗の料理屋さんと、バブルに似たひびきのある「シャンパン鍋」がどうにも合わなかったからです。

ところが横浜時代からの常連に誘われてうかがったところ、これがしっかりとした料理だったことから、逆の意味でまた、驚いてしまったというわけです。

店主の好きな京野菜を使った料理もお楽しみということで、まずは少量ずつ、野菜を中心とした皿が並びます。

2よく、こうした場合、器の上にくぼみがあって少しずつ料理を置けるような皿を使う店があります。単なる私の好き嫌いでしかないことを承知の上でいえば、そういう皿は品がないなあと思ってしまいます。しかもたいてい、そういう構成は前菜の場合が多く、それだけであとの料理への期待がしぼんでしまいます。

もちろん、美登里はそんなことはありません。高級なものとはいいませんが、店主の趣味の良さがうかがわれる器で出されました。

そうそう、大事なことを忘れました。ここはシャンパン鍋を注文した場合、もちろんシャンパンを使うのですが、鍋に使用するのは半分の量。ですから、乾杯から前菜あたりまではシャンパンで通すのがお約束となっています。

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