「チョコレートで感じる日本の香り」《第二回》 ジャン=ポール・エヴァン マッチャ、サンショウ

2017.12.23

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ボワットゥ アマンド テ マッチャ 京都店限定

 箱を開けた途端になんとも芳しい抹茶の香りが立ちのぼる。そこにアーモンドの芳ばしさとカリッとした歯ごたえが加わるのだから魅力はさらに増す。「ボワットゥ アマンド テ マッチャ」は、ローストしたアーモンドをミルクチョコレートの層で包み抹茶を散らしたものの箱詰め。いわゆるアマンドショコラ(アーモンドチョコレート)の抹茶バーションで、形としてはチョコレートの定番の域に入る。が、そのシンプルな外見からは想像できないほど激しく五官が揺さぶられ、ゆえに開けた瞬間から誰もが箱の中が空っぽになるまで食べ尽くしてしまいたい衝動に駆り立てられてしまう。

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アマンド テ マッチャ 京都店限定

 チョコレートと抹茶のマッチングはすっかり一般的になったこともあって目にする機会は多い。ところが自信を持って勧められるものを訊かれると意外にないことに気づく。それだけに「ボワットゥ アマンド テ マッチャ」との出会いは感激だった。

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ボンボン ショコラ マッチャ 京都店限定

 京都限定の「ボンボン ショコラ マッチャ」も見逃せない。カカオ分の高いダークチョコレートに抹茶をマッチングさせているにも関わらず、なんと香り高い味わいなのだろうか。ジャン=ポール・エヴァンがチョコレートに抹茶を合わせると天才的な味を生み出す。
 抹茶をマッチングさせるときは、作り手の国籍に関わらず抹茶の香りがたちやすいホワイトチョコレートあるいはかなり低いカカオ分のチョコレートを選ぶことが多い。つまり抹茶だけの味にしてしまう。あえてダークチョコレートに合わせて相乗効果を作り出すのだから、ショコラティエならの“匠の技” がそこにある。
 秘密のひとつにはエヴァン自身が日本茶のファンであり、何年も前から朝食時にコーヒーから日本茶に切り替えていることにある。玉露、煎茶、抹茶…とその日の気分で飲み分けているそうだ。チョコレートとのマッチングを考えつつ毎朝飲むことを続け、ようやく機が熟して昨年のジャン=ポール・エヴァン京都店のオープン時に発表した。長年の地道な積み重ねがフランスに生まれ育ったフランス人でありながら、日本人以上に優れた抹茶とチョコレートのマッチングを実現させたのである。

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ボワットゥ ショコラ 12個入 キョウトに、ボンボン ショコラ マッチャが2個入っている。京都店限定品

 日本の素材を使った新作にもうひとつ面白いチョコレートがある。それは山椒を使った「タブレット レ サンショウ ルージュ」で、口に含んだ途端に甘みのある味噌の上に山椒を散らした食べ物が頭に浮かんだ。あとで訊いたらカカオ分40%のミルクチョコレートに赤山椒のアクセントを加えた板チョコレートだった。チョコレートにもかかわらず焼き豆腐とか鰻とかにかかった甘いタレの味わいを感じるという不思議な現象が起こる。

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タブレット レ サンショウ ルージュ サロン・デュ・ショコラ2018
限定商品

 今年はメゾン・ジャン=ポール・エヴァンの創業30周年にあたる。新作コレクションのテーマは創業年数の“30”にちなみ《アネ トラント(30年代)》で展開していることもあって、シュールレアリスムの画家たちのエスプリがいたるところに散りばめられている。 「タブレット レ サンショウ ルージュ」は味と共にシュールレアリスムの画家たちの作品のコラージュ的なパッケージにも注目したい。

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「ボワットゥ ショコラ キョウト」に描かれているのはバイクに乗って京の街を走るジャン=
ポール・エヴァン。パリの街もこんなふうに普段からバイクに乗って走っている

 エヴァンが店を始めた頃、私もパリ暮らしを始めたところだったこともあり当時から拙著や雑誌の特集などさまざまな企画で協力してもらっていた。ジャン=ポール・エヴァンが作るチョコレートのオブジェも時おり紹介していて、エッフェル塔のチョコレートを実物のエッフェル塔とパリで撮影した時には、撮影許可書を携帯しておらず、ヌーヴェルヴァーグの映画さながらにパリ警察と追いかけっこになったこともあった。年代ごとの作品と共に懐かしい想い出が蘇る。新作はチョコレートの女性のトルソで近く店舗に飾られる予定という。 

 アニバーサリーイヤーの年末の休暇は例年にはなく京都で過ごすというエヴァン。抹茶や山椒といった日本の味にますます磨きがかかりそうだ。

text © Mika Ogura 2017

 

【プロフィール】
小椋三嘉(おぐら・みか)
エッセイスト、食文化研究家。
十数年のパリ暮らしを経て帰国。著書は『高級ショコラのすべて』、『ショコラが大好き!』、『アラン・デュカス進化するシェフの饗宴』、『パリを歩いて―ミカのパリ案内―』など多数。共著に「おいしい文藝シリーズ」“チョコレート” のアンソロジー『うっとり、チョコレート』など。

【商品情報】
●ボワットゥ アマンド テ マッチャ 100g入り
価格:3,287円(税込)
取扱場所:ジャン=ポール・エヴァン 京都店のみ
*2018年1月13日迄の期間限定商品。

●ボワットゥ ショコラ 12個入 キョウト
価格:4,751円(税込)
取扱場所:ジャン=ポール・エヴァン 京都店のみ
*「ボンボン ショコラ マッチャ」は上記の商品に2個入っている他、単品(税込 452円)でも購入が可能。

商品のお問合せ
ジャン=ポール・エヴァン 京都店
TEL 075-708-7333

 

●タブレット レ サンショウ ルージュ
価格:2,052円(税込)
*サロン・デュ・ショコラ2018限定商品。

商品のお問合せ
ジャン=ポール・エヴァン
TEL 03-5291-9285