60年を経てなお新しい。日本が誇る究極の木工デザイン「バタフライスツール」

2016.12.17

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柳宗理と成形合板の出会い

「バタフライスツール」は、日本を代表する工業デザイナー・柳宗理氏がデザインし、戦後いち早く成形合板を実用化した天童木工で製作され、1956年に発売されました。

2枚の同じ形の成形合板を向かい合わせに組み合わせて連結した、シンプルな構造。蝶が羽を広げて空を飛んでいるようなフォルムがその名前の由来になっています。正面から見ると「天」という漢字にも似ている、あるいは神社の鳥居を連想させる和の雰囲気も漂わせていますね。

発売以来世界中で高い評価を受け、世界の著名な美術館に収蔵されています。ニューヨーク近代美術館(MOMA)や、パリのルーブル美術館のパーマネントコレクションにも選定されました。そして、発売から60年を超えて現在に至るまで、未だに愛され続けている、いわばタイムレスデザインといえる作品でしょう。

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優美なデザインを実現する天童木工の職人技

「バタフライスツール」の軽やかで優美な曲線を描く2枚の板は、わずか7mm。この成形合板は、厚さ1mmにスライスした単板を木目が交差するように1枚1枚貼り合わせてつくられています。

これによって、軽くて丈夫という大きな特徴を備えた板になります。使用する単板は、木材から「かつら剥き」をする要領で切り出され、無駄が少なく環境にも優しい手法がとられています。

成形合板は、この単板を接着剤で接着し、プレスしてつくります。その接着剤の配合、積層作業、プレスの圧力調整など、すべてに繊細さが要求され、職人の手作業が重要なカギとなります。

柳宗理氏の時代を超えるアイデアを形にするには、この天童木工の職人技が不可欠でした。紙の上の図面に頼るのではなく、何度も模型の試作を繰り返してたどり着いたのが、この「バタフライスツール」です。

 

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