パフォーミング・アーティスト 折原美樹が日本人の肉体を超えて踊り続ける理由 ≪前編≫

2017.10.31
Paralle-Jump

Miki Orihara & Stephen Pier ©John Deane(夫のスティーブン・ピアとともに ©John Deane)

 

ニューヨークはパフォーミングアーツの中心です。世界中の様々なパフォーミングアーツが上演されて、アーティストたちがしのぎを削る厳しい世界です。そんな中で、日本人の折原美樹さんは長い間、モダンダンスの世界で日本人の肉体を超えて、そして、日本人だからこそ、表現しうる一つのスタイルを確立し評価されています。彼女の肉体から溢れ出る魂の声を聞きたくて、一人のファンとしてミッドタウンウエストにある彼女の自宅を訪ねました。

– 18歳でニューヨークに来たいきさつから教えてください。

3歳の時に日本舞踊を始めました。引越しを機に6歳の時に劇団若草にはいり、日本舞踊だけでなく、様々な踊りや演技も学びました。高校生の時にパントマイムのマルセロ・マルソーの舞台を見て、衝撃を受けたのです。そしてどうしてもパントマイムをやりたくなり、フランス語も習ったのですが、いろいろと事情があり、パリ行きはなくなりました。それでも海外で、パフォーマンスを習いたくて、ロスにいる親戚に相談し、留学すべく、その旨をダンスの先生に話に行った際、やはりニューヨークが一番と言うことになり、ジョフリーバレエ学校に入学、そしてすぐにアルビン・エイリー・アメリカンダンスセンター(今のエイリースクール)のスカラシップを取り、そこで、マーサ・グラハム・テクニックを学びました。

Miki after concert
©Antonia K. Miranda

-実は私もダンスが好きで、もちろんプロではありませんが、モダンダンスを習った時に黒人の先生が立っているだけで、モダンダンスというムードがあり、日本人の肉体がモダンダンスにあうのかどうかと落ち込みましたが、折原さんの場合はどうでしたか。

もちろん、落ち込みましたよ。足の長さが違うし。みんな同じ思いに陥るのではないですか。マーサのテクニックには3段階あり、まず床、立ち、そしてクロスという動くテクニックです。床の時は他の人と変わらない高さなのですが、立ちになるとみんな私よりも高いのです(笑)。でもマーサ自身が胴が長い方で、トルソーをうまく使って表現するので、胴が短い人よりも私の方が、マーサの意味するところが表現できたのではないでしょうか。そして、マーサ・グラハム・ダンスカンパニーの舞台を見て、感激して、このダンスカンパニーの学校に入り、スカラシップを頂き、グラハムアンサンブル(セカンドカンパニー)となり、その後、グリーンカードも修得して正式に入団しました。マーサの作品を踊る時は単なる動くテクニックだけではなく、演じる心が必要で、劇団にいたことも役立っているような気がします。

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Miki Orihara in Martha Graham’s Errand into the Maze ©John Deane (マーサ・グラハム「迷宮への使者」©John Deane)

-山があるから登るといわれますが、折原さんはなぜ、踊るのですか。

人間はみな生まれた時から踊っているのだと思います。赤ん坊の動きもダンスですし、生活している動きはすべてダンスになると思います。プロとして踊るにはテクニックが必要で、テクニックがあれば、表現の幅が広がります。そして踊ることで、自分が体験できないことも体験できるというか、役者のように他の人を演じることができるので、それが魅力だと思います。ソロで踊る時は観客と会話するような気持ちで踊り、グループで踊る時は他のダンサーたちとのコミニュケーションがあり、ソロでは出ないパワーが出てくるので、それぞれに面白さがあります。

<<後編に続く>>

 

<プロフィール>

miki orihara head shoot

 折原美樹 

1960年12月1日生まれ。文化学院卒業後ニューヨークに移住。ジョフリーバレエ学校、アルビン・エイリー・アメリカン・ダンスセンター、マーサ・グラハム舞踊学校で学ぶ。1987年マーサ・グラハム舞踊団の正式メンバーになりプリンシパルダンサーとして活躍。日本、アジア、米国、南アメリカ、ロシア、ヨーロッパで公演活動を行う。2010年「ベッシィ賞」ニューヨーク・ダンス・パフォーマンス・アワードを受賞。(プロフィール写真 ©John Deane)

 

インタビュー 伊藤操(ライター、アートプロデュサー)

繊研新聞のニューヨーク通信員を経て、「日本版ハーパース・バザー」の編集長に。
ニューヨークと東京をベースにアート、ビューティのプロジェクトを実施しながら著作活動を続ける。
著書;「ティナの贈りもの」(ティービーエス・ブリタニカ)「Manage,ダナ・キャランを創った男、滝富夫」(扶桑社)「私をみつけて」〔インターナショナル・ラグジュアリー・メディア〕「私をみつけて」〔電子書籍 クリーク・アンド・リバー〕「あなたを待ちながら」〔電子書籍日本語版 クリーク・アンド・リバー〕「Waiting For You(電子書籍英語版 クリーク・アンド・リバー)「NY失恋MAP」〔電子書籍日本語版 クリーク・アンド・リバー。2017年11月出版予定、英語版は2018年出版予定〕
ニューヨークのアーティスト ハビア・ゴメスのエージェント。アルガンオイルのニューヨークブランドSULA NYCの本国のアドバイザー。
ラブソングの作詞・作曲も手がけ、自作小説に登場する歌を制作。