徳島城の青い石垣:「美しき城」vol.4 萩原さちこ

2016.02.22

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濃く深いブルーグリーンの石垣

石垣の色はグレー、という先入観を持っていませんか?ところが、かすかな光沢のあるブルーグリーンの石垣が徳島にあるのです。その石垣の前に立つと、青い目をした人と出会ったときのような異国の風を感じるでしょう。青緑色をしているのは、積まれている石のせい。徳島城の石垣は、阿波青石といわれる緑色片岩でつくられています。

大谷通れば石ばかり、笹山通れば笹ばかりーー。阿波踊りのお囃子にはこんなフレーズが登場します。文豪・太宰治もまた、短編小説集『お伽草紙』の中で阿波の俗謡としてこの詩を引用しています。大谷とは、徳島城から3キロほど離れた眉山北麓の佐古大谷地区のこと。良質な青石が採石される場所ですから、なるほど石ばかりと謡われるわけです。現在でも、ほど近くにある徳島城主の蜂須賀家墓所(万年山墓所)にはたくさんの採石跡があり、確証はないものの、徳島城の石垣もどうやらここから切り出され運ばれたと考えられています。

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