旅行

長野県仙仁温泉 岩の湯:「プレミアム温泉」vol.5 石井宏子

2015.10.18

稼働率95%予約が取れない宿の秘密

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帰る時に次の約束をしたくなる

年間稼働率95%、リピーター率80%、一度は泊まってみたい温泉宿として知る人ぞ知る「岩の湯」は、かつては山間の秘湯といわれていた1軒宿です。未だに宿のホームページもないのでどんな宿なのかは、実際に泊まった人にしかわかりません。

なぜ、そんなに予約が取りにくいのかというと、チェックアウトする際に次の予約を入れていくお客様がほとんどなので、18室が次々とうまってしまうということなのです。リピーターの間で“岩の湯マジック”とささやかれる独特の居心地の良さ。それが何かと聞かれると一言で答えるのは難しいのですが、泊まってひと晩過ごした人にしかわからない、ふんわりとした幸福感がある不思議な宿なのです。

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自分の好きな場所でゆるゆる過ごす

宿には自由に寛げる場所が点在しています。ライブラリーはふかふかソファのリビングのような場所もあれば書斎のようになっている小部屋もあり、それぞれが自分の居心地の良い場所を見つけてのんびりと過ごせます。

空いていれば何度でも入れる貸切温泉が4つと男女別の大浴場もあります。どちらも露天風呂と内湯の2つ以上の浴槽があり、露天は居眠りのできる温度、内湯はちょっと汗ばむ温度にこだわって調整。源泉温度が低いので加温していますが、循環は一切なし。0.1℃単位まで湯量だけで調整ができる仕組みになっているそうです。風呂場の切石の床は床暖房になっていて冬でも足が冷たくないようにしたり、景観も常にお客様目線でチェックして、邪魔な枝はすぐに社長自ら伐採、心地よく過ごしてもらいたいということへの飽くなき追求は限りなく深いのです。

さらに一番の名物が天然の洞窟から滔々と源泉が湧出する仙人風呂。ぬるめの源泉がとめどなく流れる洞窟風呂は老若男女全てが専用の湯浴着で入るので探検気分で楽しめる温泉です。洞窟の奥の静かな場所で体温より少し温かい“ぬる湯”に入っているとストレスやいらないものが全て温泉へ流れて消えていきます。

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幽玄な料亭でいただく夕食

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部屋は和室とミニキッチンがついたリビングやバルコニー。日本旅館の雰囲気を楽しみつつ、別荘のように気兼ねなく過ごせるようにと考えられています。

食事は気分を変えて出かけられるように幽玄な雰囲気の料亭と呼ばれる場所でいただきます。うれしいのは朝食の時間、「食事は何時からご用意ができます」と案内されるのみ。事前に決める必要はなく、目覚めた時の気分で好きな時間に料亭へ行けばよいというのもこの宿のすごさ。ありそうでない仕組みです。

個室のテーブルには野の花と蝋燭、自家農園で無農薬で育てる野菜、信州の山の幸が丁寧に料理され、サプライズを楽しめる盛り付けで登場。温かい料理は取り皿まで温かくでてくるなど手間暇を惜しまない幸せなおもてなし、川の水音や虫の声を聞きながら秋の夜長を楽しむ料理が運ばれます。

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仙仁温泉 花仙庵 岩の湯
電話:026-245-2453
*ホームページはありません

取材・文/石井宏子

【石井宏子の〈プレミアム温泉〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/hiroko-ishii/

【石井宏子の〈ここにしかない日本〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/hiroko-ishii_reports/

 

石井PP3《プロフィール》

石井宏子 

温泉ビューティ研究家・トラベルジャーナリスト

温泉の美容力を研究する日本でただひとりの温泉ビューティ研究家。生涯旅人の人生をスタートして年200日ほど日本・世界を旅する。雑誌やサイトなど多数の 連載コラムを執筆、テレビ・ラジオにも出演。温泉地の自然環境にも着目し、ドイツにて「気候療法士」資格を取得。温泉、水、自然環境、食事など旅を通じて、心も体もきれいになる新しい旅“ビューティツーリズム”を提唱。外資系化粧品会社、海外ブランドのマーケティング・広報の経験を生かし、温泉地のブランディングや企画もサポート。プレミアムジャパン“PREMIUM JAPAN”のトラベル・キュレーターに着任。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会 員、日本旅のペンクラブ会員、公式サイトhttp://www.onsenbeauty.com

 

 

 

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