石井宏子の<ここにしかない日本>:【佐賀県 唐津市】「旅館 洋々閣」

2016.09.24

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一皿のお月見。名月を味わいに旅に出る。

月を待つ。月が出る。月を愛でる。旅の夜の楽しみはたくさんあります。海から昇る月を感じながら、ゆっくりと更けていく夜を楽しむ旅はいかがでしょうか。
「お食事のお仕度が整いました。」網代天井を優しい灯りが照らす部屋で、この宿に滞在する幸せをしみじみと味わう時間が始まります。

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また、来たよ。おかえりなさい。

かつて唐津が大陸との交易の拠点だったころ、たくさんの外国人の保養、逗留の場所として海辺に旅館が並んでいました。ジャック・マイヨールも上海在住の建築家の父に連れられて唐津で休暇を過ごすようになったひとりです。イルカに出会った唐津の海、人生を変えた場所をたびたび訪れた彼もきっと、こんな言葉を交わしてこの宿の玄関をくぐったことでしょう。何か理由を作っては「また来たよ」と言って訪れたい。そんな思いに駆られる宿なのです。

 

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