旅行

座喜味城のアーチ型城門と曲線美:「美しき城」 vol.41 萩原さちこ

2016.11.07

rd850_zakimi-1

築城名人が築いた、世界遺産のグスク

那覇から約20キロ北上した、残波岬のある読谷村。沖縄本島西海岸の南部と中部の境に、美しいグスクがあります。築城家として名高い護佐丸が築いた、座喜味城です。「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の資産のひとつとして世界遺産に登録されています。

護佐丸は北山討伐にも従った、読谷山の按司(あじ/各地域の支配者のこと)。もともとは北山の今帰仁城主の血筋を引くともいわれます。1416年に北山を征伐した平定した中山の尚巴志は、護佐丸を北山守護職に任命。そのとき北山の旧勢力を見張るため1416年から1422年にかけて築いたのが、座喜味城といわれます。

監視を目的としたグスクですから、とにかく見晴らしがよいのが魅力です。標高120メートルの高台にあり、沖縄の海に面した最高のロケーション。第二次世界大戦時に日本軍の砲台が置かれたのも、西海岸からの攻撃を監視し、本営が置かれた首里城を防衛するには最適の立地だからでしょう。護佐丸は、中国や東南アジアとの海外交易で黎明期の第一尚氏王統の安定を経済的にも支えたとも伝わります。

rd850_zakimi-2 rd850_zakimi-3 rd850_zakimi-4 rd850_zakimi-5
海と空を取り込んだ、開放的な空間

上空からみると、座喜味城は複雑な星型のような形の区画が2つ並んだような構造をしています。首里城や今帰仁城、中城城などほかのグスクと比べるとかなり小規模ですが、石垣の壮大さは負けていません。コンパクトながら美しい石垣と景色を堪能できる、満足度の高いグスクといえるでしょう。

複雑にカーブを描く石垣の美しさに魅了されます。防御力を高める目的もありますが、軟弱な土壌に耐えうるよう、こうすることで強度を高めています。座喜味城の地質は、沖縄本島北部地域を中心に分布する、国頭マージと呼ばれる赤土。酸性から強酸性で、水が浸透しにくく土壌流出が起こりやすいのが特長なのです。曲線構造は現在の黒部ダムのようなアーチ式ダムの構造に似ているそうで、高い築造技術がうかがえます。

座喜味城は丘陵の先端部にあり、本丸の南側に二の丸が置かれています。第1、第2の2つのアーチ型城門があり、周囲はぐるりと石垣がめぐる構造です。現在はありませんが、かつては5段の石の階段があったとされます。本丸は二の丸より高いところにあるため、本丸から二の丸を見下ろすと石垣の美しいカーブがより際立って見えます。沖縄のまぶしい陽射し、果てしなく広い空、澄み渡った青い海を取り込んだ壮大な空間がたまりません。建物はなく石垣だけしかありませんが、心がほどける開放的な時間を堪能できるはずです。明け方もなかなか素敵で、沖縄屈指の夕陽鑑賞スポットでもあります。

 

次ページ《西洋の城を思わせる「アーチ型城門」》

KEY WORD

Area