旅行

「美しき城」 vol.42

中城城のアーチ門:城キュレーター 萩原さちこ

2016.11.14

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たなびく石垣が美しい、世界遺産のひとつ

東に中城湾、西に東シナ海をのぞみ、勝連半島や知念半島など多くの島々を見渡せる絶好の景勝地に中城城はあります。「なかぐすく」と読むこの城は、沖縄に350以上あるグスクのひとつ。琉球王国のグスク及び関連遺産群のひとつとして世界遺産登録されている、人気のグスクです。沖縄本島東海岸の中城湾に沿った、東北から南西に一直線にのびる標高160メートルほどの石灰岩丘陵上に築かれています。

なんといっても石垣の曲線美がたまりません。グスクの石垣がなめらかなカーブを描いているのは、琉球石灰岩という沖縄特有の石材のおかげ。加工しやすいため、たなびくカーテンのような美しい石垣が実現します。城内では野面積み、切石積み(布積み、相方積み)の3種類の石垣を見ることができます。

城は6つの郭から構成されます。南東側は15メートル以上の断崖、北西側は急斜面に守られ、城内への侵入口は正門や裏門に面する南北の丘陵尾根沿いのみ。とにかく絶景が見事な場所ですが、攻めにくく守りやすい立地にも注目したいところです。中心となるのが、もっとも広大な一の郭。三の郭、二の郭、一の郭、南の郭が一直線に並び、その西側には西の郭と正門があります。登城時の正面玄関となるのが裏門で、門の先が北の郭。北の郭は井戸を取り込んで増築されたとみられ、長期の籠城線への備えも垣間見えます。南の郭にはグスクらしく、首里の王を拝む首里遙拝所があります。そのほかにも、久高島を拝む久高遙拝所など城内には8つの拝所が確認されています。洞窟のような「カンジャーガマ」は鍛冶場跡で、ここで武器をつくっていたとも伝わります。

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ペリー提督が絶賛したアーチ門

中城城でよく語られるのが、ペリー提督が訪れたときのエピソードです。1853(嘉永5)年、日本に開国を求め来航したアメリカのペリー提督一行は、本土へ向かう途中に琉球に立ち寄り、島内に探検隊を派遣。その際に中城城の視察調査を行い、絵図や測量図面などに記録しています。

ペリー提督が編纂した『日本遠征記』には中城城の石造建築物が賞讃され、漆喰もセメントも用いずに高い耐久性を叶えている技術力の高さに感心したようすが残されています。なかでも北東に向かって建てられた裏門はエジプト式と評され、その精巧さが絶賛されています。アメリカ人の目にも、中城城の石垣とアーチ門は思わず書き記したくなるほど美しいものに映ったようです。

 

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