「美しき城」 vol.46

長岩城の石塁:城郭キュレーター 萩原さちこ

2016.12.12

rd850_nagaiwa-1

奇岩に囲まれた独創的な山岳城

「日本三大奇勝」のほか「日本新三景」のひとつにも選ばれている、大分県中津市の耶馬渓(やばけい)。山国川の上・中流の渓谷で、溶岩台地と集塊岩山地の浸食によってできた奇岩の連なる景勝地です。長岩城は、この奇岩を利用して築かれた全国屈指の奇怪な城。閉鎖的な空間に石塁や砲座が残る、独創的な山岳城といったところです。

見るからに近寄れない、険阻な奇岩に囲まれた要害堅固な城です。標高約530メートル、比高約230メートルの急峻な円錐形の扇山とその一帯の支峰や谷窪などを城域とし、断崖の合間などには石塁や砲座などの防御設備が構築されています。

とにかく圧巻なのが、20か所、合計700メートルにも及ぶ石塁です。沖縄のグスクとも北九州や瀬戸内海沿岸に築かれた古代山城とも異なる独特のもので、石材が扁平な鉄平石状に統一されているのも特徴です。こうした扁平の石材で積まれた石塁は全国の城にわずかに存在しますが、よく見ると積み方や石材の大きさに違いがあり、共通したものではないと考えられます。とくに東之台から本丸まで続く石塁は見事で、まるで大蛇のように地形を這いながら、終わりが見えないほど延々と続きます。

 

次ページ《延々と続く石塁、石積櫓などが見どころ》

関連キーワード

Area