《後編》

瀬戸内に浮かぶ「神の島」大三島(おおみしま)に残る、美しき日本の祭り

2017.01.13

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広島の尾道から愛媛の今治を結ぶ「しまなみ海道」。そのちょうど真ん中あたりに位置する愛媛県大三島では、現在建築家の伊東豊雄さんが率いる伊東建築塾による「大三島を日本でいちばん住みたい島にするプロジェクト」という企画が進行中です。前回は穏やかな海に囲まれた奇跡のように美しい島の風景と、柑橘を中心とした島の産業についてお伝えしました。

後編では島を守り続けてきた大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)と島中の人々が参加するお祭りにスポットを当ててご紹介します。引き続き伊東建築塾の古川きくみさんとジョイス・ラムさん、島の写真を撮っているカメラマンの西部裕介さんにお話をうかがいました。

日本総鎮守・大山祇神社とクスノキの巨木にパワーをいただく

(2)rd1700_MG_3698(3)rd1700_MG_3544「宮浦港から続く参道を通って神社へ向かうのがおすすめで す。かつての武将たちが船でたどり着き、行列をなして参拝していた光景を思い浮かべながら……。さらに宝物館 で国宝の甲冑を眺めると、のんびりした大三島の違った一 面が見えてくると思います」(西部さん)

有史以来、「神の島」として信仰を集めてきた大三島。数ある島の中で大三島が「神の島」と呼ばれる理由は、日本の山々と海を守り、戦いの守護神としても崇められる大山積の神が祀られる日本総鎮守・大山祇神社があるためです。さらに、境内に祀られた樹齢推定2600年以上といわれるクスノキの佇まいは圧巻!
古から今に至るまで、多くの人々をひきつけてやまないパワースポットとなっています。

「このクスノキを見るだけでも大三島に行く価値は十分あります。大三島は魚が獲れる地域ではありますが、神様がいらっしゃる島であまり殺生をしてはいけないということで、漁業を生業としている方は昔からほとんどいなかったそうです」(古川さん)

各集落に受け継がれる独自の祭りと13の集落をつなぐ大山祇神社

(4)rd1700_MG_0379(5)rd1700_MG_0445(6)rd1700_MG_0407「祭りはどこの島でも必須の文化です。祭りがあることで集落の結束が 生まれ、秩序が保たれていたはずです。大三島で出会う人たちからは、今でもその精神を感じます」(西部さん)

13の集落が島の沿岸に点在する大三島では、その昔、地続きのよその集落より対岸の島のほうが行き来しやすかったこともあり、集落ごとに独自の祭文化が育まれました。13の集落をつなぐ大山祇神社では、毎年旧暦の5月5日に少女たち(早乙女)が田植えをして豊年を願う御田植祭が行われ、一人角力が奉納されます。

「大山祇神社がある宮浦という集落でのお祭りなんですが、この一人角力はお相撲さん(一力山)が目に見えない精霊と相撲を取るんです。3回の取り組みで、1回目は精霊が勝ち、2回目は力士、3回目はまた精霊が勝つと決まっているのですが、力士の粘りや臨場感に見ている人も思わず引き込まれてしまいます」(古川さん)

 

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