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第8回《前編》:日本人シェフが世界の頂点へ挑む ヤングシェフコンテストがいよいよ開催!

2018.04.17
7J4A2016

藤尾康浩が本番で作るシグネチャーディッシュ「Across the Sea」 。鮎を素材に「西洋の衣を纏う東洋」をテーマで世界と対決する。

 

手料理人の世界一を決める、国際的な料理コンペティション「サンペレグリノ ヤングシェフ2018」の本戦が、この5月にミラノで開催されることになった。これは、ファインダイニングウォーター「サンぺレグリノ」がスポンサードする国際コンペとして2015年に創設され、今年で3回目を迎える。世界中の30歳以下の料理人を対象に各国で予選が開催され、その代表たちが年に一回ミラノの本戦で競い合う。毎年3000名以上のシェフがノミネートされるというから、世界最大規模の若手料理人コンテストと言っていいだろう。

(プロフィール)藤尾康浩/1987年大阪生まれ。15歳で英国に留学し、パリの大学に在学中に、フランス料理に興味を持つ。パリのレストラン「パッサージュ53」で研修後、南フランス・マントン「ミウズール」に勤務。帰国後大阪「ラシーム」に就職し、現在スーシェフを務める。

 

特筆すべきは、サンペレグリノが販売されている150以上の国や地域が対象で、各料理人の料理ジャンルも問わないというところであろう。今年は、5月11日(金)から13日(日)の3日間にわたり、各エリアの地区大会で勝ち残った21名のファイナリストによって、競われることになった。そしてその中の一人に、日本人シェフの藤尾康浩(フジオヤスヒロ)がいる。藤尾は、1987年生まれの30歳。現在は、大阪のフランス料理店「ラシーム」のスーシェフ(副料理長)を務めている。昨年末に開催された日本の地区予選を勝ち抜いて、見事にファイナリストに選ばれたのである。

は、筆者は2015年、第一回大会本戦取材のためにミラノに行った。このコンテストはとてもユニークで、単に料理のクオリティだけを競うものではない。審査基準は5つ(素材・技術・才能・美しさ・メッセージ性)あり、七賢人と呼ばれる7人の国際審査員によって審査される。第一回の国際審査員は、マッシモ・ボットッゥーラや成澤由浩など、国際舞台で活躍する一流シェフたちであった。

今年のメンター・シェフに選ばれたルカ・ファンティン。二人三脚でミラノの舞台へ挑み、世界一を目指す。

 

このコンペでさらにユニークなのは、各エリアのファイナリストには、「メンターシェフ」と呼ばれる指南役が付き添い、本戦に向けてのアドバイスや指導、さらに本戦会場まで同行して本番のサポートをすることである今年はこのメンター・シェフに、「ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティンのエグゼクティブ・シェフ ルカ・ファンティンが任命された。現在、二人の間では、本戦に向けた戦略や修練が積まれている真っ最中である。本戦では、舌の肥えた7人分の料理を同時に作るほか、英語でのプレゼンテーションなども行われるから、場慣れも含めた総合的な力量が問われるのだ。そういったことをメンターに教わるのは、関係性をつなぐという意味でも挑戦者にとって価値があろう。ちなみに第一回目のメンターシェフは「日本料理 龍吟」の山本征治であった。

こまで読んで、最新のガストロノミーに精通している読者貴兄はピンときたに違いない。成澤シェフも山本シェフも、ルカシェフも、「世界ベストレストラン50」あるいは「アジアベストレストラン50」のランカーであり、しかも、スポンサーはサンペレグリノである。そう、このヤングシェフコンテストは、「世界ベストレストラン50」における実質上の若手発掘の登竜門という位置付けなのである。

 

<審査風景>2017年10月12日(木)に日本地区大会が開催された。本戦さながらの白熱した予選であった。

 

これは偶然ではあるが、今回の日本代表である藤尾が勤める大阪の「ラシーム」は、先ごろマカオで開催された「アジアベストレストラン50」において、初入賞を果たしている。その文脈においても、大いに期待が持てる。ちなみに、藤尾は英国留学の経験もあり、パリの大学への留学を経て、パリでの料理修業も積んでいる。国際舞台への経験も十分にある。本戦の結果は、追ってこのコーナーでも報じるつもりなので、是非とも彼の活躍に期待してほしい。

 

<プロフィール>

中村 孝則(なかむら たかのり)

コラムニスト。1964年神奈川県葉山町生まれ。ファッションからカルチャー、旅やホテル、ガストロノミーからワイン&シガーまで、ラグジュアリー・ライフをテーマに、執筆活動を行っている。また最近は、テレビ番組の企画や出演、トークイベントや講演活動も積極的に展開している。現在、「世界ベストレストラン50」日本評議委員長も務める。剣道教士7段。大日本茶道学会茶道教授。