舞台は今から1800年ほど前の中国。漢の衰退から魏(ぎ)・蜀(しょく)・呉(ご)の三国が並び立つ時代を華々しく描いた小説「三国志演義」と歴史書「三国志」。映画「レッドクリフ」など、現代においても様々な形で作品化され、ひとつの壮大な物語として享受されている。
日本では「三国志演義」を基本とする作品が多いため、劉備(りゅうび)を主人公とし曹操(そうそう)を悪役として描くことが定番だが、本家の歴史書「三国志」は曹操の視点から描かれているのが特徴。しかし、いずれも後になって書かれた作品であるため、この時代に起きた真実を正確に伝えているのか、と言えば疑わしい部分があることは否めない。


金製獣文帯金具(一級文物)(きんせいじゅうもんおびかなぐ)金製、貴石象嵌 後漢時代・2世紀 2009年、安徽省淮南市寿県寿春鎮古墓出土 寿県博物館蔵
日中文化交流協定締結40周年を記念として開催する特別展「三国志」は、“リアル三国志”をテーマにこの時代の文物を集め、実物を鑑賞することで三国志を読み解こうという試みだ。2019年7月9日(火)から9月16日(月・祝)まで東京国立博物館 平成館、その後10月1日(火)から2020年1月5日(日)までは九州国立博物館で開催される。
2008年から2009年に発掘調査が行われた曹操の墓、曹操高陵からの出土品をはじめ、各地に残る同時代の著名な墓を調査した最新の研究成果を展示。全体を5つの章とプロローグ、エピローグに分け、漢王朝の隆盛から衰退、英雄たちのルーツ、三国それぞれの文化や思想などを詳細に紹介していく。曹操高陵から出土した白磁の罐(かん)や、煌びやかな金粒細工が施された帯金具など、この時代の有力者たちの暮らしぶりや価値観を、実物から垣間見ることができる。真実の三国志がこの展覧会で見つかるかもしれない。
◆日中文化交流協定締結40周年記念 特別展「三国志」
2019年7月9日(火)~9月16日(月・祝)
9:30〜17:00 ※金・土曜は21:00まで開館
東京国立博物館 平成館
東京都台東区上野公園13-9
https://sangokushi2019.exhibit.jp/
※2019年10月1日(火)〜2020年1月5日(日)は九州国立博物館にて開催
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