現代に合わせて進化する「塔の日本旅館」として、東京の都心に誕生した「星のや東京」。2泊3日の特別プログラム「深呼吸養生」を体験してきました。体験記2回目は【スパトリートメント】【温泉】そして【グルメ】をお届けします。
【スパ トリートメント】
滞在中2回も受けられる「スパトリートメント」
初日は温めた翡翠を使った優しさあふれる施術にうっとり
「深呼吸養生」では2泊3日のうち、1日目の夕食後60分と、2日目の夕食前90分の2回、スパトリートメントが行われます。どちらもプログラムに沿って、異なるメニューが用意されています。滞在中に2回目もスパトリートメントが受けられるなんて。とても贅沢です。
初日の夜は、翡翠の石を用いたトリートメント。3種のアロマオイルから好きな香りを選んでからスタートです。私が気に入ったのは、スーッと爽快な香りのユーカリがブレンドされたオイルです。初日のトリートメントは夕食後に行われるため、あおむけの姿勢のまま受けられるようにアレンジされていました。うつぶせでは、食後のお腹を圧迫してしまうから、という理由を聞いて納得です。
照明を落としたトリートメントルームに横たわり、まずゆっくりと深呼吸を行います。アロマオイルのほのかな香りに包まれ、自然と呼吸が深くなっていくのがわかります。お湯でほどよく温められた翡翠が、腕や肩、デコルテをやさしい圧とともにすべっていき、そのぬくもりと滑らかな肌触りに身体も心もほぐれていきます。と同時に、鉱石がもつエネルギーが身体に浸透し、元気をチャージしてくれるような感覚もあるのです。
障子の白さが清楚なトリートメントルーム。たっぷりした広さの贅沢なお部屋が2室あります。(写真上)
使用するオイルは3種類を用意。手の甲にオイルを塗ってもらって、その日の気分で選びます。(写真下)
1日目の夜のトリートメントに使用する翡翠。お湯で温められた翡翠がオイルとともに肌を滑っていくと身体がほぐれていくのがわかります。(写真上)
葉玉は、アジアのスパではおなじみのハーバルボールを「星のや東京」独自にアレンジしたもの。よもぎの香りはどこか懐かしくトリートメント中にうつらうつらしてしまいます。(写真下)
温泉で温めた身体に、90分の本格ボディケアの贅沢
オリジナルブレンドの葉玉トリートメント
2日目は、温泉で身体をじゅうぶんに温めたあとに、90分のボディトリートメントを受けるという贅沢が待っています。
この日も、気分に合わせたオイルをセレクトするところからスタート。2日目はシナモンなどがブレンドされた、暖炉の温かさを思わせるような香りを選んでいました。自分の感覚がこの滞在中にどう変化していくかも、オイルのセレクトの違いでわかります。
2日目のトリートメントは、蒸し上げた季節の植物を拳くらいの大きさにし、それを布で包み込んだ「葉玉(ようぎょく)」と呼ばれるもので身体を軽く叩く施術法です。アジアのスパではよく見かけるハーバルボールを「星のや東京」独自のアレンジを加えて作りあげたものだそう。ボールの中にはよもぎ、そして餅粉などが配合され、燻したよもぎの香りと、餅粉のモチモチとした感触がユニークです。
まずうつぶせになって背面から。背中や肩など、コリを感じやすい部分に丁寧に、温かな葉玉をやさしくリズミカルにポンポンと押し当てていきます。もちろん脚やデコルテ、腕もしっかりと施術してくれる至福の時間です。2回のスパはいずれもオールハンドのオイルトリートメント。植物性オイルの芳香が、深い呼吸をも導いてくれます。
2日目のトリートメントは「葉玉」でトントンと軽く叩く施術法で。心地よい振動が筋肉の緊張をほぐしてくれるような気がします。
【温泉】
無重力ってこんな感じ?
大手町温泉を独り占め
「貸切温泉」で体験する、味わったことのない浮遊感
2回目のスパトリートメントの前には、30分の貸切温泉の時間が設けられています。地下1500mから湧き出る天然温泉は、海水や海藻のミネラルを多く含む塩分濃度の濃い泉質。フローティングポールを曲げて枕のようにし、そこに首の後ろと両腕を広げて乗せ、全身を伸ばしてお湯に浸かり、大きく深呼吸します。深く息を吸い込むと、あれれ? 身体が呼吸とともに水面に浮かびあがり、吐くと今度は足先からゆっくりと沈んでいくではありませんか。それは今まで味わったことのない不思議な感覚。無重力ってこんな感じ? と思わせるような浮遊感です。そして、呼吸とは体に空気を取り込むことという、考えてみれば当たり前のことを、改めて実感した瞬間でした。
薄い褐色がかっている大手町温泉。肌当たりがやさしく、とても温まります。露天風呂の遥か上に広がる東京の空。スクエアに切り取られた空を見上げながらプカプカ浮かんでいると、時間はあっという間に経ってしまいます。(写真上)photo by Natsuko Okada(Studio Mug)
浴室内部は適度な暗さがなぜか心地よい。薄い茶褐色の大手町温泉に身体をまかせ、別世界にいるような気持ちに。(写真下)
【グルメ】
免疫力をつける食材が中心の特別メニューは、
身体にどこまでも優しく
初日の夕食は「豆乳鍋」です。白キクラゲ、豆腐、キノコなどをたっぷりの豆乳の鍋でいただきます。肺機能や免疫力を高める食材がメインとのこと。生姜、ねぎ、山椒などの薬味がふんだんに用意されているのも嬉しい限りです。夕食後にスパトリーメントが控えているので、少し控えめに。それでも、豆乳の深く優しい滋味が「ボディリメイク」を経た身体に染み渡るような気がします。
30種類以上もの野菜を中心とした料理が、たくさんの小皿に盛り込まれ部屋に運ばれてくるのが、2日目のランチです。生姜のスープも付いてきます。小皿の数を数えたら24枚。二十四節気に基づいているのかなと、ふと思いました。ふき、茗荷、かぼちゃ、そら豆……。素材の味を生かし、そこにひと手間加えた野菜料理は、どれも身体に優しいものばかり。
小皿で隠れている木製のプレート部分には、食材と料理名が記されていました。小皿を移動させると料理名がわかる仕掛けです。食材の見当をつけ、いただいた後に、その答え合わせをするという、ちょっとしたお楽しみもあります。
日本の伝統的な食文化にフレンチのエッセンスを組み込んだ
「Nipponキュイジーヌ~美食の集い~」
2日目のディナーは、2回目のスパトリートメントを済ませ、地下1階のダイニングへ。「Nipponキュイジーヌ~美食の集い~」と名づけられた品々は、日本の伝統的な食文化にフレンチのエッセンスを組み込んだコース料理です。各地の食材を江戸に集める一端を担った「参勤交代制度」にインスパイアされた岡亮佑料理長による、日本各地の食文化の解釈は、耳慣れた料理名からは想像もできない一品となって登場してきます。
たとえば「鰹のたたき」。端正にカットされた藁焼きの赤身と、大蒜とニラのピュレ状のソースとの取り合わせは、豪快というよりは繊細で美しい盛り付けです。口に運ぶと、藁焼きの香ばしい風味と、大蒜とニラのピュレが鰹の食感を引き立たせてくれます。
デザートの「いきなり団子」は、熊本の郷土菓子の名前だそうです。一見すると、抹茶アイスが乗った焼き菓子のような……。干し芋、甘酒を練り込んだ求肥が、やはりフランスの伝統菓子であるババ・オ・ラム風にアレンジされていると,スタッフの方に説明していただき、判明。抹茶だと思ったのはよもぎのアイスでした。
「深呼吸養生」を体験しで気づいたこと。
それは、健康習慣を身につけることの大切さ
2泊3日のプログラムを体験し、劇的に体調が変化したかと問われれば、残念ながらそうではありません。でも、これまでは深く気にも留めていなかった「呼吸」に対し、注意を払うようになりました。自宅のソファで、就寝前のべッドで、時には電車に乗りながら、気がついた時には深い呼吸をほんの数回でもするように心がけています。そして「ボディリメイク」と「深呼吸ストレッチ」で教わった動きを、自宅で思い出しながら復習しています。「深呼吸養生」は、健康な生活を送る習慣を身につけることの大切さを教えてくれる、得難い第一歩でした。
そして、東京の中心地・大手町で、日本旅館のおもてなしを受けながら、自分の心と身体に向き合える2泊3日のおこもりステイという、時間を持てたこと……。その時間こそが、これ以上ない贅沢な体験だったことは確かです。
「香りのブレンド体験」で、私好みに誂えたアロマの薫りに自宅で癒されながら、改めてそう思っています。
◆星のや東京「深呼吸養生」
今回体験したのは、星のや東京オリジナルの2泊3日のスパプログラム「深呼吸養生」。普段の生活から離れ、非日常を楽しみながら、呼吸を整えることで、乱れがちな心身のバランスも整えられたら、という星のや東京の思いが込められたプログラムです。遠方の温泉旅館に行ったような、そんな脱日常を味わえる体験です。
・開催期間 通年
・料金 1名 189,970円(税・サービス料込み)*宿泊料別
・含まれるもの スパトリートメント(2回)、ボディリメイク、深呼吸ストレッチ、香りのブレンド体験、夕食(2回)、朝食(2回)、ランチ(1回)、レンタルウェア
・予約方法 公式サイトにて14日前まで受付
・定員 1日1組(1~2名)
・対象 星のや東京宿泊者
text by Sakurako Miyao
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