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日常/非日常のPREMIUM~非日常02. 菊乃井 のハウス・シャンパーニュ

2017.12.18

0U9A8883.jpg菊乃井×アルロー

菊乃井のハウスシャンパン「菊乃井 キュヴェ クリザンテム ブリュット 」(右)と京料理とシャンパンで供された「シャンパーニュ アルロー プルミエクリュ ブリュット グラン・ブルジョワ」。

食とシャンパーニュ。このマリアージュは昨今では珍しいものではありません。日本のシャンパーニュ愛好家たちは、この祝福の美酒と和食の織り成す口福に気づいたのです。和食レストランに日本酒やビールと共にワインやシャンパーニュが置かれているのは、今や当たり前のこと。しかしながら、ハウス・シャンパーニュを持つ和食のレストランとなると、かなり珍しいといえます。「世界の有名レストランでもその名を冠するシャンパーニュはまだ少ないと聞いています。ましてや和食のレストランでは稀でしょう」と語るのは、京都の老舗料亭、菊乃井3代目主人、村田吉弘氏。菊乃井は京都の本店と露庵、そして東京の赤坂店でトータル7つのミシュランの星を持つことでも知られると共に、近年は村田氏の日本料理の素晴らしさを世界に発信する精力的な活動も、内外から大きな注目を集めています。

乃井のハウス・シャンパーニュ「菊乃井 キュベ クリザンテム ブリュット」が誕生したのは2012年のこと。日本料理を熟知しているアルローの現当主夫妻と、村田氏の出会いにより実現しました。プルミエ・クリュに格付けされるアルローのブドウ畑で、完熟の状態で手摘みされたブドウの一番搾りの葡萄汁だけで醸造され、最低3年間の熟成を経て作られるこのシャンパーニュは、ピノ・ムニエ60%、ピノ・ノワール30%、シャルドネ10%の「ブリュット グラン キュベ」というアルローを象徴するシャンパーニュをベースにしながらも、和食との完璧なる調和を目指して、菊乃井とアルロー社が共に創ったスペシャル・キュベです。

0U9A8902.jpg菊乃井×アルローメイン画像候補
菊乃井のハウス・シャンパーニュである「菊乃井 キュベ クリザンテム ブリュット」は、猪口から始まり、八寸、向付、蓋物、中猪口、焼物・・・・・と続く懐石料理のあらゆる料理に調和する、和食を味わい、楽しむためのシャンパーニュ。

ルローは、シャンパーニュ地方の中心地ランスから数キロ離れたヴリニー村にメゾンを構え、1826年の創業以来家族経営を続ける老舗レコルタン・マニピュラン。レコルタン・マニピュランとは、自分たちの土地でブドウを作り、自家製シャンパーニュを創る醸造生産者で、大量の流通モデルとは一線を画したメゾンをさします。

その約10ヘクタールの畑はすべてプルミエ・クリュで、アルローのシャンパーニュは一番搾りの果汁のみで作られています。ミレジメでは10年に渡る長期熟成、そして手作業のデゴルジュマン(澱抜き)など、伝統的な職人手法を維持していることでも知られています。

の気配が色濃くなりはじめた11月の夜、菊乃井にハウス・シャンパーニュが誕生してから恒例のように開催される、「京料理とシャンパーニュ」の宴席の日を迎えた赤坂 菊乃井は、季節の趣向を凝らした料理とシャンパーニュへの期待を胸に集ったゲストたちの華やぎに満ちていました。主人の村田氏はもちろんのこと、アルローの当主クリスティーヌ&ピエール夫妻の姿もあります。

「私たちアルローの当代は15代目。村田さんは高台寺の菊水の井戸を守られていた家の当主としては22代目と伺っています。この歴史ある両家が共に仕事をできたことを誇りに思います」と乾杯の挨拶で語ったのは当主クリスティーヌの夫であるピエール・トラミエ氏。この日のために「菊乃井 キュヴェ クリザンテム ブリュット」と共に用意されたシャンパーニュは、アルローの誇る「シャンパーニュ アルロー プルミエクリュ ブリュット グラン・ブルジョワ」と「シャンパーニュアルロー ミレジム・ラール2000」。アルローのシャンパーニュの中でも特に生産量が少ないこの2本は、完全予約制の数量限定販売という希少なものです。

0U9A8770.jpgゆずゼリー 0U9A8741.jpg八寸 0U9A8813.jpg甘鯛蕪蒸し
写真1枚目:「京料理とシャンパーニュ」で供された、季節感溢れる献立。「猪口、柚子豆腐 柚子味噌」
写真2枚目:「八寸、菊菜おひたし しめじ あん肝 慈姑煎餅 唐墨 粉吹銀杏 紅葉烏賊 鴨肝松風 松葉素麺」
写真3枚目:「蓋物 甘鯛蕪蒸し 生雲丹 百合根 木耳 銀杏 山葵」

ャンパーニュの一夜のための献立は、冬の香りたつ「柚子豆腐 柚子味噌」の猪口から始まりました。八寸は菊乃井の心情である「きれい寂び」をそのまま映したかのようなに上品で美しいもの。続く明石天然鯛と小鮪の2種の向付。蓋物の、生雲丹がのせられた甘鯛蕪蒸しは、百合根、木耳、銀杏のそれぞれの触感の違いも楽しいものでした。そして中猪口には「苺とシャンパンのソルベ」。もちろん菊乃井のハウス・シャンパーニュを使用した一品です。柔らかな口当たりと繊細な果実感をもつ「菊乃井 キュヴェ クリザンテム ブリュット」はさまざまな料理にに上品に寄り添います。

0U9A8830.jpgいちごとシャンパンのソルベ 0U9A8849.jpgかますの杉板焼 0U9A8907.jpg香箱蟹土佐酢ゼリー
写真1枚目:「中猪口、苺とシャンパンのソルベ」
写真2枚目:「焼き物、かますと杉板焼 椎茸」
写真3枚目:「酢物、香箱蟹 土佐酢ゼリー 柚子」

情も豊かな、かますの杉板焼き。シャンパーニュと絶妙な調和に感嘆した、酢物「香箱蟹 土佐酢ゼリー 柚子」。近年村田氏が惚れ込む鳥取の万葉牛を使った強肴の「万葉牛漬け焼き 山葵 辛味大根 フェンネル土佐酢和え」との相性も素晴らしいものでした。季節の最高の食材を駆使した献立を、シャンパーニュで通していただく―――目にも彩な一品一品の口福に感謝しながら、シャンパーニュと日本料理の織り成す非日常の時間を味わい尽くしました。

「シャンパーニュは品数の多い日本料理のすべてに合います。海の香を感じるアルローのシャンパーニュは、海の食材を多く使う日本料理と相性がいい。生臭いような食材とも、マッチすると考えます」と村田氏。

「菊乃井の和食の魅力とは、繊細でエレガントで創造性豊かであること。リフレッシュ感のある優しい泡と、爽やかさと同時に繊細で複雑な香りを持つシャンパーニュを和食と組み合わせると、特別なハーモニーを奏でます」とアルロー氏も語ります。

「京都では、最初に料理屋行くんは、お祖母ちゃんに抱かれたお宮参りの時。次は3つ参り、5つ参り、成人式、結婚の時・・・・・中略・・・・・・お客様の人生の節目や大切なお時間を菊乃井で過ごして頂ける。だからこそ、これ以上ない素材、最高の技術、最高のしつらえをご用意して、お客様にお喜びいただける精一杯のおもてなしを出来るよう努力しています」。

これは、菊乃井主人である村田氏がホームぺージに記したご挨拶の一節です。人生の喜びに寄り添う―――料亭菊乃井のコンセプトが、シャンパーニュを語る枕詞と同じであることにはっとしました。日本の伝統を守ると同時に、日々の新しい提案と革新を続け、日本料理をグローバルにも発信する。そんな菊乃井がハウス・シャンパーニュを持つことは必然だっだのでしょう。

0U9A8764.jpg村田さんカウンター
村田吉弘氏は菊乃井代表取締役、NPO法人日本料理アカデミー理事長。
ライフワークは「日本料理を正しく世界に発信する」こと。

 

赤坂 菊乃井 03-3568-6055 Kikunoi.jp

 

 

写真 三戸建秀

選・文 藤野淑恵

 

TOSHIE FUJINO エディター/ジャーナリスト

「W(ダブリュー)」日本版、「流行通信」、「ラセーヌ」の編集部を経て、2000年春に創刊した「Priv.(プライヴ)」(日経BP社発行)の編集長に。「日経ビジネススタイルマガジンDIGNIO」編集長、オウンドメディア「GENUIN(ジェヌイン)」の編集統括など、クオリティ・マガジンの編集に携わる。センテナリアン時代のクオリティライフ実現に向けて新しいライフスタイルやロールモデルを紹介し、BESPOKE LIVINGを提案することが現在のミッション。趣味・関心事はガーデンツーリズム、オペラツーリズム、ワインツーリズム、チーズ、ガンドッグ、庭造り、オールドローズ、ジェロントロジー、保護犬/猫など。