第四十候 処暑 初候「綿柎開」01第四十候 処暑 初候「綿柎開」01

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第四十候 処暑 初候「綿柎開」

2019.8.20

綿柎開(わたのはなしべひらく)
暑さも収まる季節の変わり目。
夏の気が落ちつき、万物があらたまる頃。

日本の季節は春・夏・秋・冬の四つだけではなく、初春の立春から始まり、晩冬の大寒に終わる二十四節気、さらに二十四節気をそれぞれ三つに分けて一年を72等分した、七十二候という細分化された繊細な季節がある。

 

「今=ここ」にある季節を、コンテンポラリーに切り取ったビジュアル、そして季寄せ───
季節の気配・花鳥風月・草木などの折々の自然に眼差しを向ける感性豊かな暦・歳時記を意識した日常ほど、贅沢なものはない。

第四十候 処暑 初候「綿柎開」02 第四十候 処暑 初候「綿柎開」02

2019年8月23日〜9月7日
二十四節気 / 処暑

二十四節気の処暑(しょしょ)とは、ようやく暑さが和らぎ始める頃。「処」は止まることを意味し、暑さも収まってきたという意味をさす。日中はまだ暑いものの、夜になれば秋の虫の鳴き声。だんだんと過ごしやすくなってくる。日本では本格的な台風シーズンの到来で、二百十日(9月1日頃。立春から数えて210日目)、二百二十日(9月11日頃。立春から数えて220日目)は、ともに台風の特異日とされる。収穫期を迎えた農作物が台風の被害を受けないことを願って、この頃各地で開かれるのが、富山の「おわら風の盆」などの「風祭り」。夏がゆく寂しさを感じる季節でもある。

 

七十二候では、処暑は第四十候(初候)綿柎開(わたのはなしべひらく)8/23〜8/27(2019)、第四十一候(次候)天地始粛(てんちはじめてさむし)8/28〜9/2(2019)、第四十二候(末候)禾乃登(こくものすなわちみのる)9/3〜9/7(2019)の三つの季節に分けられる。

 

夏の間に花を咲かせた綿の木が実を結び、いつしか実を包む萼(がく)が弾けて白いふわふわの綿花があらわれる。綿花は種を選り分けられ、ほぐされて綿の糸が紡がれた。ようやく暑さも収まり始めるこの頃は、夏の気が落ち着き、万物があらたまる季節とされる。秋雨前線により北から大陸の冷たい空気が運ばれ、北国では季節が足早に動き始める。「禾(こく)」は「のぎ」とも読み、稲などの穂先に生えている毛のことをさすが、稲、麦、栗などの穀物の総称でもある。重くなった稲穂が頭を垂らして田んぼ一面が黄金色に輝く様子は、日本の豊かさを代表する風景でもある。


第四十候 処暑 初候「綿柎開」03 第四十候 処暑 初候「綿柎開」03

第四十候(初候)
綿柎開(わたのはなしべひらく)

夏から秋へ。季節が巡る空を見上げれば、行合(ゆきあい)の空。
夏の入道雲と秋の巻雲が行き交い、夏と秋が行き来する。
豊かな実りの秋を先取りする果実といえば、梨。
淡黄緑色の青梨も、黄褐色の赤梨も、籠に盛った景色は眼福。
シャリシャリと、みずみずしくも甘く広がる食感は口福。
夏の終わり、暮らしの中に小さな幸福を運んでくれる。

第四十候 処暑 初候「綿柎開」04 第四十候 処暑 初候「綿柎開」04

処暑の歳時記・季寄せ

二十四節気 / 処暑
七十二候 /
第四十候(初候)綿柎開(わたのはなしべひらく)8/23〜8/27(2019)
第四十一候(次候)天地始粛(てんちはじめてさむし)8/28〜9/2(2019)
第四十二候(末候)禾乃登(こくものすなわちみのる)9/3〜9/7(2019)

 

気配:行合(ゆきあい)の空
花:葉鶏頭 鳳仙花
茶花:沢桔梗 萩
襲(かさね)の色目:花すすき(表-白 裏-白) 女郎花(表-経青緯黄 裏-青)
行事:地蔵盆 二百十日 大曲の花火(秋田) おわら風の盆(富山)
鳥:ささごい
虫:カミキリムシ
装い:絽 紗 上布
料理:くずきり かき氷
菓子:琥珀 真砂の月
魚貝:ひらまさ かさご
野菜:すだち
果物:梨
星座:こと座
季語:初秋 処暑 初嵐 秋の蝉
俳句:梨むくや甘き雫の刃を垂るゝ(正岡子規)

Photography by Mai Kise

 

参考文献:『季語・歳時』『二十四節気と暦』国立天文台暦計算室貴重資料展示室、『合本俳句歳時記第五版』角川書店、『かさねの色目-平安の配彩美』青幻舎、『四季の暮らし美しい朝夕巻一四季の着物秋・冬』講談社、『きもの歳時記』平凡社、『美しい季語の花』誠文堂新光社

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