日本の季節は春・夏・秋・冬の四つだけではなく、初春の立春から始まり、晩冬の大寒に終わる二十四節気、さらに二十四節気をそれぞれ三つに分けて一年を72等分した、七十二候という細分化された繊細な季節がある。
「今=ここ」にある季節を、コンテンポラリーに切り取ったビジュアル、そして季寄せ―――
季節の気配・花鳥風月・草木などの折々の自然に眼差しを向ける感性豊かな暦・歳時記を意識した日常ほど、贅沢なものはない。


2020年2月19日〜3月4日
二十四節気 / 雨水
二十四節気の中で雨水(うすい)とは雪が雨へと変わり、氷が溶け始める頃。固い土が次第に潤い始め、農耕を始める目安とされていた季節。まだまだ大雪が降ることも多いが、平均気温は徐々に上昇し始める。
2月の末から3月にかけて、その年に初めて吹く強い南風は春一番と呼ばれ、前後に気温が上昇することから春をもたらす風とされている。
七十二候では、雨水は第四候(初候)土脉潤起 (つちのしょううるおいおこる)2/19〜2/23(2020)、第五候(次候)霞始靆 (かすみはじめてたなびく)2/24〜2/28 (2020)、第六候(末候)草木萌動 (そうもくめばえうごく)2/29〜3/4(2020)の三つの季節に分けられる。
大地を潤していく春の雨は、花木に養分を与えることから「養花雨(ようかう)」、また同様の意味で「甘雨(かんう)」「慈雨(じう)」「催花雨(さいかう)」など様々な名で呼ばれる。春の霧は古来より霞と呼ばれてきた。ぼんやりと霞がかかるのは、この季節ならではの早春の情景。地面や木々の枝から一斉に緑が芽吹き出す様子は、古より春の兆しを待ちわびる人々の心を躍らせてきた。


第四候(初候)
土脉潤起 (つちのしょううるおいおこる)
甘雨・慈雨・養花雨・・・
春の芽生えを心待ちにする人が
早春の雨を呼んだ美しい名前。
地面を匍匐するカタバミも
うつむき加減の寒芍薬も
ひとつ、またひとつ。
早春の雨に打たれるごとに
可憐に花開く。


雨水の歳時記・季寄せ
二十四節気 / 雨水
七十二候 /
第四候(初候)土脉潤起 (つちのしょううるおいおこる)2/19〜2/23(2020)
第五候(次候)霞始靆 (かすみはじめてたなびく)2/24〜2/28 (2020)
第六候(末候)草木萌動 (そうもくめばえうごく)2/29〜3/4(2020)
気配:春一番 野焼き 花:かたばみ 菫 茶花:猫柳 土佐水木(とさみずき)
襲(かさね)の色目:若草(表-淡青 裏-濃青)
行事:太子会 桃の節句 河津桜まつり(静岡) 装い:袷
料理:菜の花のからし和え はまぐりのお吸い物 菓子:御堂椿 草餅
魚貝:ほうぼう むつ はまぐり 野菜:菜の花 うど 明日葉
星座:おおいぬ座 りゅうこつ座 季語:雨水 下萌 春一番
俳句:草千里下萌えにはや牛放つ(里川水章)


参考文献:『季語・歳時』『二十四節気と暦』国立天文台 暦計算室 貴重資料展示室、『合本俳句歳時記第五版』角川書店、『かさねの色目-平安の配彩美』青幻舎、『四季の暮らし美しい朝夕巻一四季の着物秋・冬』講談社、『美しい季語の花』誠文堂新光社、『日本の行事を楽しむ12カ月 くらしの歳時記』主婦の友社
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