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千石あやが挑む「工芸を元気にする」こと

2020.2.13

2.暮らしに温もりと色を。堀田カーペットが発信するウールカーペットの真の魅力

大阪・泉州の街にある堀田カーペット3代目、堀田将矢は衰退の一途であったカーペット産業に身を投じ、新たなカーペット文化を築こうとしている。堀田カーペットが生み出した新発想のカーペットとともに堀田の熱い思いを紹介する。

 

文・堀田将矢

カーペットのある家には、温もりと心地よさがある

堀田カーペットは1962年大阪府和泉市で創業し、58年目を迎えるウールカーペット専門メーカーです。イギリスの産業革命の時代に、世界ではじめてカーペットが機械化された「ウィルトン織機」をつかったウィルトンカーペットという種類のカーペットをつくっています。 「カーペット」といっても、「エリアラグ」(フローリングなどの上に置いて使うカーペット) とは異なり、僕たちの商品は「woolflooring(ウールフローリング)」というブランド名で、5つ星ホテル、ブティック、企業の役員室、官公庁、住宅などで、「敷込み用」として主にお使いいただいています。

これらのカーペットを作リ出すウィルトン織機は、1800年代のイギリス産業革命の時代に開発された歴史的な織機。堀田カーペットでは50年ほど前に日本で生産されたウィルトン織機を何度もメンテナンスをしながら使っている。 これらのカーペットを作リ出すウィルトン織機は、1800年代のイギリス産業革命の時代に開発された歴史的な織機。堀田カーペットでは50年ほど前に日本で生産されたウィルトン織機を何度もメンテナンスをしながら使っている。

これらのカーペットを作リ出すウィルトン織機は、1800年代のイギリス産業革命の時代に開発された歴史的な織機。堀田カーペットでは50年ほど前に日本で生産されたウィルトン織機を何度もメンテナンスをしながら使っている。

創業から、「敷込み用」のカーペットをつくってきましたが、住宅におけるカーペットの市場は、1980年代をピークに2006年には1/100にまで減少してしまいました。現在、新築住宅の総床面積のうちカーペットを敷いている面積はわずか0.2%となり、ウィルトンカーペットを生産している会社はわずか数社、糸をつくる会社も染色の会社も数社。ウィルトンカーペットの生産は、ほぼ100%泉州でつくられており、分業制でなりたってきていた泉州のウールカーペット産地は、産地として継続できるかの危機的状況にあります。

敷き込み(施工)を必要とするウールカーペットブランド「woolflooring(ウールフローリング)」。 敷き込み(施工)を必要とするウールカーペットブランド「woolflooring(ウールフローリング)」。

敷き込み(施工)を必要とするウールカーペットブランド「woolflooring(ウールフローリング)」。

カーペットは様々な誤解とともに市場を減らしていきました。「アレルギーになりやすい」、「ダニがすみつく」、「汚れたら落ちない」……。実はカーペットは他の床材にくらべるとホ コリが舞い上がりにくく、空気中に浮遊しているホコリの量は他の床材にくらべ1/10程度におさえられます。国内で生産されているウールカーペットには、防虫加工材が必ず使われており、簡単には虫の住処にはならない。また撥水性があり、そもそも汚れはつきにくく、かりに汚れても「遊び毛」という毛とともに、ブラシのついた掃除機で掃除をしていただくことで汚れはかなり軽減されます。


住宅の敷き込み用カーペットが少なくなってきている今、気軽にカーペットを楽しめるウールラグブランド「COURT(コート)」。 住宅の敷き込み用カーペットが少なくなってきている今、気軽にカーペットを楽しめるウールラグブランド「COURT(コート)」。

住宅の敷き込み用カーペットが少なくなってきている今、気軽にカーペットを楽しめるウールラグブランド「COURT(コート)」。

僕たちが、カーペットが本来持っている魅力や、誤解をきちんとお客様にお伝えできてこなかったことがカーペット市場の減少につながっていると考えました。そこでB to Cコミュニ ケーションに力をいれていくために、2016年につくったのがウールラグブランド「COURT(コート)」です。ラグは、家具店でお取り扱いために使っていただくお客様にメッセージが届きやすい。そこで「ウールカーペットの魅力」、「カーペットの暮らし」を伝えていく入り口になることを目指して、大日本市にも出展し、感度の高いバイヤーの方々にもカーペットの魅力、ものづくりの背景をお伝えするようにしています。

誰もが簡単に床をつくれるDIYカーペット「WOOLTILE(ウールタイル)」。並べて置くだけでラグになり、難しい工具を使わずに床一面に敷き詰められる。好きな色を組み合わせて楽しむことも。 誰もが簡単に床をつくれるDIYカーペット「WOOLTILE(ウールタイル)」。並べて置くだけでラグになり、難しい工具を使わずに床一面に敷き詰められる。好きな色を組み合わせて楽しむことも。

誰もが簡単に床をつくれるDIYカーペット「WOOLTILE(ウールタイル)」。並べて置くだけでラグになり、難しい工具を使わずに床一面に敷き詰められる。好きな色を組み合わせて楽しむことも。


COURT(コート)は家具店でのお取り扱いがはじまって、少しずつカーペットの魅力を伝えていけるようになってきた矢先の2018年秋、同じウィルトンカーペットをつくるメーカーの1社が倒産する、という産地にとって非常に大きな出来事がありました。このまま放置していると、本当にものづくりができなくなってしまう。そんな思いから、その会社が開発したタイルカーペットの機械を買い取って職人にも来ていただき、約1年がかりで機械の移設、生産体制をつくり、新しいブランドWOOLTILE(ウールタイル)を2019年9月に発表しました。WOOLTILE(ウールタイル)は、タイルカーペットでありながら「柄をつなげられる」という、織機の特徴を活かし、パズルのように幾何柄をつなげて楽しんでいただけるウール素材を使ったタイルカーペットです。裏には滑り止めの加工も施し、ラグのようにおいただけでお使いいただけることも特徴です。お部屋全体に敷き込みたいお客様は、カッターナイフと定規があれば、自分でお部屋の形通りにきることもできます。

 

敷込み用ウールカーペットブランド「woolflooring(ウールフローリング)」、ウールラグブランド「COURT(コート)」、DIYカーペットブランド「WOOLTILE(ウールタイル)」の3つのブランドを展開し、もう一度「カーペットを日本の文化にする!」をビジョンに掲げて、これからもカーペットの気持ちが良い暮らしを伝えていくこと、ものづくりを維持・発展をさせていくこと、インテリア業界で一番働きたい会社をつくること、を目標に歩み続けていきたいと思っています。

 

→次は、斉藤佳奈子(サイフク常務取締役)です。

(敬称略)

堀田将矢 Masaya Hotta

堀田カーペット株式会社 代表取締役社長

1978年大阪府生まれ。北海道大学経済学部卒業後2002年にトヨタ自動車株式会社入社。2008年に堀田カーペット株式会社に入社。2017年2月3代目代表取締役社長就任。2016年にウールラグブランド「COURT」を立ち上げる。また、自邸「カーペットの家」を2015年に竣工し、自ら「生活者」としてカーペットの暮らしを体感し、カーペットの暮らしのショールームとしても、多くのお客様にカーペットの啓蒙活動を続けている。

Text by Masaya Hotta
Photography by ©Hotta Carpet

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