黒龍 大吟醸純米酒 吟風:「気になる日本酒」 vol.31 あおい有紀

2016.06.14

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“かたくななまでにこだわり続ける”をコンセプトに、手作りを極める酒蔵

日本酒ファンだけでなく、多くのワイン愛好者をも魅了する、「黒龍」。石田屋、二左衛門、黒龍しずくといった、黒龍酒造を代表する吟醸造りの最たる珠玉のラインナップは、ご存知の方も多いことでしょう。黒龍の佇まいは、まさに龍の如く豪傑でありながらも、どこか神秘的でベールに包まれている印象をずっと持ち続けていた私は、八代当主の水野直人氏(51)に直接話を伺う機会をいただき、酒蔵へと足を運びました。

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福井県吉田郡永平寺町にある黒龍酒造は、初代石田屋二左衛門により、1804年(文化元年)創業。黒龍は、霊峰白山山系から湧き出づる伏流水、九頭竜川の古名である、黒龍(くつれう)川に由来しています。木造の立派な門構えに圧倒されながら中に入ると、囲炉裏とお座敷が奥へと広がり、タイムスリップしたような感覚に。この趣ある酒蔵の雰囲気を活かして、将来的にはお客様をもてなし、宿泊してもらえるスペースも作りたいとのこと。海外からの方は、特に喜ばれることでしょうね。

水野社長は、東京農業大学を卒業後、協和発酵で酒造りに携わり、26歳の時に蔵に戻ります。昭和40年代、先代は「宣伝をしない」、「値引きをしない」、「三増酒を造らない」の“3ない運動”を掲げ、当時日本酒業界では主流だった風潮には乗らず、昭和50年代は「吟醸 いっちょらい」「大吟醸 龍」などの吟醸酒の市販化にも力を入れていました。ただ、水野社長が蔵に戻った1991年、経営は赤字で流通が煩雑だったことから、まずは徹底的に流通を整理します。1500石から800石まで一度生産量を落とし、品質にこだわり利益を出しながら、25年ほどかけて現在は30名の蔵人で5000石の安定した造りにまで持ってきました。

 “かたくななまでにこだわり続ける”をコンセプトに、手作りを極め、冷やして美味しい「黒龍」と、“ずっとそばにいる。かけがえのない日々”をコンセプトに、お燗でも冷やしても美味しい「九頭龍」の2ブランドで展開しています。

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