グルメ

セイズファーム・シャルドネ2015:「いますぐ飲みたい日本ワイン」vol. 48 柳 忠之

2016.11.02

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氷見の寒ブリに合うワインは?

富山県の氷見といったら寒ブリで有名ですよね。ブリは対馬海流に乗って日本海を北上し、北海道のあたりでエサをたらふく食べたあと、産卵のためにふたたび南下。11月下旬、富山湾に入った頃、もっとも脂がのるんだそうです。

そんな富山湾を見下ろす丘の上に、セイズファームというワイナリーがあります。ワイナリーの母体はまさに、日本一のブリを扱う魚の卸問屋さんというのですからびっくりしました。「氷見の魚と一緒に楽しめる氷見のワインを造ろう」と、2008年に耕作放棄地を開墾してブドウの樹を植樹。現在、シャルドネ、メルロー、ソーヴィニヨン・ブランなど、欧州系のブドウ品種を1万株栽培しているそうです。

「そうです」「そうです」と歯切れが悪いのは、残念なことに私がまだこのワイナリーを訪問したことがないから。来年こそ時間をつくり、ぜひ訪問したいワイナリーのひとつです。

ところで、ワインの裏ラベルを読むと、「遥か古、海から隆起した土壌は、石灰分やミネラルを含みます」とあります。日本で石灰質の土壌は珍しいのですが、そういえばお隣の福井県が恐竜の里ということを思い出しました。

恐竜が生息していた1億年以上前、日本列島はまだ形成されておらず、ユーラシア大陸の一部。ただもしかするとヨーロッパのように、1億年前はトロピカルな海で、そこに海洋生物の死骸が堆積し、石灰質土壌を形成したのかもしれません。それが2000万円前、日本海が生まれた時に地表に現れ……なんてことだとしたら? 夢が膨らみますね。

開けてびっくり、トロピカルフルーツ

じつはこのワイナリーのシャルドネ、昨年、ある取材で話だけ聞いて気になっていました。それから半年近く経った暮れに、おそらく2014年ヴィンテージをご相伴にあずかる機会がありましたが、なるほど、よく出来たシャルドネだなと感心はしたものの、感動までには至りませんでした。まあ、その時は海外の偉大なワインたちに囲まれての試飲でしたから、ちょっと分が悪かったのかもしれません。

そしてそれからほぼ1年が過ぎた先日、2015年のシャルドネを見つけて即座にゲットしたのです。この手の人気の高い日本ワインは見つけた時が買い時。まごまごしている隙に売り切れてしまいますからね。

いやはや、飲んでみて大いに驚きました。香りはパイナップルやピーチなどトロピカルフルーツ。夏の厳しい暑さが予想以上に果実を熟させたようです。さらにナッツやバターといった香ばしいフレーバーも。ただしそうしたオーク樽に由来するフレーバーが少しも気にならないのは、酒質がしっかりしているから。ボディに厚みがあり、しっかりしたストラクチャーも感じられます。

これならば、ブリは刺身よりもブリしゃぶにして、ゴマだれにつけていただいてもよいかもしれません。氷見の寒ブリはまだ早いようなので、その時のためにもう1本、買っておくことにしましょう。まだお店に残ってるとよいのですが。

 

3600円(税込)/セイズファーム 
http://www.saysfarm.com

取材・文/柳 忠之

【柳忠之の〈いますぐ飲みたい日本ワイン〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/tadayuki-yanagi/

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