グルメ

「いますぐ飲みたい日本ワイン」vol. 54

ココ・ファーム甲州F.O.S.2012:ワインキュレーター 柳 忠之

2016.12.14

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オレンジワインってご存じですか?

オレンジワインという言葉を聞いたことがあるでしょうか?

白ワイン、赤ワイン、それにロゼワインはみなさんご存じでしょう。黄色ワイン=ヴァン・ジョーヌも、多少フランスワインに詳しい方なら、耳にされたことがあるかもしれません。白でも、赤でも、ロゼでもなく、黄色でさえないオレンジワイン。今やニューヨークやロンドンにある最先端のワインバーでは、リストにオレンジワインという項目がごくふつうにあるそうです。

原則として白ワインは、白ブドウを収穫後、圧搾して、果汁だけを発酵させます。反対に赤ワインは、果汁を果皮と一緒に漬け込み、時には攪拌して、色素など果皮にある成分を抽出しながら発酵させます。これが醸し発酵です。

オレンジワインとは、本来、白ワイン用のブドウ品種を赤ワインのように果皮と一緒に醸し発酵させたワインのこと。黒ブドウのような赤い色素はないので、赤くもロゼにもなりませんが、白ブドウを醸すとうっすらとオレンジに仕上がります。

旧ソ連のジョージアで今でもクヴェヴリという素焼きの甕を使って行われている醸造法ですが、昨今の自然派回帰の風潮もあり、ほかの国でも野心的な造り手によって試みられるようになりました。

白ブドウを醸さず白ワインにすると、フレッシュで清らかなワインになります。その一方、赤ワインにあるような力強さや複雑味には欠けることは否めません。白ブドウでも果皮に含まれるさまざまな成分を抽出して、複雑で力強いワインを造ろうというのがオレンジワインのコンセプトです。

甲州のイメージが覆る、複雑さと力強さ

このココ・ファーム・ワイナリーが造る「甲州F.O.S.」も、そんなオレンジワインのひとつ。F.O.SとはFermented on Skinsの略だそうです。

じつをいうと甲州は白ブドウではありません。フランスではグリ(灰色)と呼ばれる、薄紫色の果皮をもつブドウです。つまり黒ブドウほどではありませんが、白ブドウよりは断然色素があるので、かなり特徴的な色合いになります。また甲州の果皮にはポリフェノールも多く含まれているので、ただちに圧搾して造られた甲州よりも渋みが顕著です。

では、グラスに注いでみましょう。色調はオレンジ……というよりもトパーズでしょうか。無濾過ということもあり、透明感には乏しい感じです。

フレーバーはアンズ、シナモン、ほんのりと蜂蜜っぽさもあり、じつに複雑です。口に含むと残糖のない辛口にもかかわらず、ふっくらとしたテクスチャーが感じられ、渋みもしっかり。爽やか系の甲州とはまったく異なるスタイルですね。

後味のホロ苦さや渋み、それに複雑なフレーバーが食べ物を誘います。思い浮かんだのは酢豚とか、エビチリソースなど。脂っこく、スパイシーな料理に合わせやすそう。これまでの甲州のイメージが覆る、面白いワインですよ。

 

3000円(税込・現行は2013年ヴィンテージ)/ココ・ファーム・ワイナリー 
http://cocowine.com/

 

【柳忠之の〈いますぐ飲みたい日本ワイン〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/tadayuki-yanagi/

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