グルメ

ドメーヌ・ショオ 水の綾 赤 2013「いますぐ飲みたい日本ワイン」vol.08 柳忠之

2015.12.02

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カベルネ・ソーヴィニヨンといったら、シャトー・ラフィット・ロッチルドやシャトー・ラトゥールなど、フランスはボルドー地方で造られる著名ワインの骨格を形成するブドウ品種。あるいはまた、カリフォルニアのナパ・ヴァレーでもっともパワフルな赤ワインを生み出す品種として知られています。

色濃く、凝縮感に富み、タンニンもぎっしり。銘柄やヴィンテージにもよりますが、たいてい若いうちは飲みづらく、何年も寝かせて硬さがほぐれてからようやく開ける。そのようなタイプのワインが多いでしょう。

ところがドメーヌ・ショオの「水の綾」という、なにやらメルヘンチックなネーミングをもつ赤ワイン。従来のカベルネ・ソーヴィニヨンのイメージを根底から覆す味わいでした。

まずコルクではなく、スクリューキャップな点からしてカベルネ・ソーヴィニヨンらしからぬところですが、ワインを注いだ瞬間、さらなる驚きが。なんとも淡い、儚げな色調。香りも典型的なカベルネ・ソーヴィニヨンに感じられるブラックベリーや甘草、ミントや丁子などとは違い、土っぽさ、まるで腐葉土のようなフレーバーが前面に出てきます。そして口に含むと……、さらさらとしてまた滑らかで、なんともおすましのように滋味深い。いわゆる薄旨系の味わいなんですね。

ところがこのような風味も、どうやら確信的な狙いがあってのようです。

ドメーヌ・ショオのオーナー、小林英雄さんが目指すワインは「1人1本飲めるワイン」。ワイナリーのリーフレットには「自然のままに造られ、生命力が詰まったワインはきっと、飲みやすく飲み飽きない。優しい香りとブドウから引き出された旨味を大切にしています」と書かれています。

ワイン名の「水の綾」は、2011年に創業したドメーヌ・ショオの最初の畑。除草剤を使わず、他の農薬もできる限り減らした減農薬栽培。これはブドウ畑で活動する虫や微生物を多様にするためです。トラクターで土を踏みしめてしまうと虫や微生物が生きていられなくなるので、農作業はすべて人の手で行っているのだとか。

カベルネ・ソーヴィニヨンを房のまま仕込むのも、海外ではあまり見られない醸造法。カベルネで造ったボジョレーという表現が一番しっくり来るかもしれません。

濃いめのしっかりしたワインが好きな方にはおすすめしませんが、お出汁のような薄旨なワインが好みの方なら惚れ込むこと請け合いの1本です。

 

4320円(税込)/ドメーヌ・ショオ
http://domainechaud.shop-pro.jp/?mode=grp&gid=786354

 

取材・文/柳忠之

 

【柳忠之の〈いますぐ飲みたい日本ワイン〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/tadayuki-yanagi/

 

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