「捨てる」をなくし、徹底的にリサイクル。日本環境設計が描く幸福な「循環型社会」の姿のメインビジュアル「捨てる」をなくし、徹底的にリサイクル。日本環境設計が描く幸福な「循環型社会」の姿のメインビジュアル

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松浦美穂が見据えるサスティナブル、オーガニック&ナチュラルな世界

2020.5.8

2.「捨てる」をなくし、徹底的にリサイクル。日本環境設計が描く幸福な「循環型社会」の姿

岩元美智彦は長く繊維業界に身を置き、大量の衣類品が廃棄されるのを目の当たりにしてきた。この現実をなんとかしたいと2007年、繊維製品のリサイクルビジネスを起業する。以来、「あらゆるものを循環させる」をヴィジョンに、斬新な発想と行動力で信念を貫き、スマートかつ革新的に理念を実現しようとしている。「日本と世界を変えるかもしれない貴重な人」とTWGGY.の松浦美穂が称賛する人の、理想の未来への道筋とは。

 

談 岩元美智彦

日本環境設計は地球の未来を見据え、サステナブルアパレル製品の製造と様々なものをリサイクルする仕組みをつくっています。不要になった服の回収拠点などで多くの企業の協力もあり、当初からの取り組みである繊維リサイクルではリーディングカンパニーとして成長しました。

 

BRING™ブランドではサステナブルアパレル製品としてTシャツやドレスシャツ、スウェット製品、アンダーウエアを展開し、販売しています。服を回収し原料にまでリサイクルし、再び糸・生地・服をつくる。服を回収した私たちが、最新技術により生まれ変わった製品を服の回収に参加いただいた方々に直接示すことで、「循環」をよりわかりやすく実感してもらえると考えたからです。また、再生した糸や生地は多くのアパレルブランドにBRING Material™として採用され始めています。

 

思い出のある服を手放すのは容易ではないはずですが、共感くださる多くの方々の大切な服を受け取り、再資源化し、新しい1着をつくり、また着てもらう。こうした消費者との関係構築もサステナブルな社会をつくる上で重要だと感じています。

左:ポリエステルから再生された繊維。中、右:RINGの製品。コットンのような肌ざわりとポリエステルの速乾性を兼ね備えた各アイテムは、オールジェンダーに向けてデザインされている。 左:ポリエステルから再生された繊維。中、右:RINGの製品。コットンのような肌ざわりとポリエステルの速乾性を兼ね備えた各アイテムは、オールジェンダーに向けてデザインされている。

左:ポリエステルから再生された繊維。中、右:RINGの製品。コットンのような肌ざわりとポリエステルの速乾性を兼ね備えた各アイテムは、オールジェンダーに向けてデザインされている。

創業時からの大きな夢――、それは服をリサイクルして作った燃料・バイオエタノールで“デロリアン”を走らせることでした。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場するごみで走るタイムマシン型の車です。米国の映画会社の協力も得て8年越しでこの夢を叶え、2015年に実現させました。映画公開30周年を記念して開催した映画配給会社との合同イベントでは、果たして会場に人が集まるかと心配でしたが、入場制限するほどの大盛況で、映画のワンシーンの再現にも成功しました。

 

何よりの成果は、「わくわく」を提供すれば人は行動してくれるというリサイクル拡大のヒントを得られたことです。このプロジェクトにより、それまで1年をかけて集めていた服の量をわずか3カ月で回収することができました。「正しい」を「楽しい」に変えることでリサイクルのハードルを下げ、より多くの方に賛同いただける実感を得ることができたのは大きな収穫でした。

ハリウッドの映画会社ユニバーサル・スタジオ本社の公認を得て、2015年、 “デロリアン”を服をリサイクルして作ったバイオエタノールで走らせた。 ハリウッドの映画会社ユニバーサル・スタジオ本社の公認を得て、2015年、 “デロリアン”を服をリサイクルして作ったバイオエタノールで走らせた。

ハリウッドの映画会社ユニバーサル・スタジオ本社の公認を得て、2015年、 “デロリアン”を服をリサイクルして作ったバイオエタノールで走らせた。

この春4月には、国内初となる国産バイオジェット燃料が完成しました。日本航空主催によるプロジェクト「10万着で飛ばそう! JALバイオジェット燃料フライト」で、BRING™で集められた30万着の服が燃料へとリサイクルされました。不要になった服を燃料に飛行機を飛ばすという世界でも類を見ない取り組みが、業種の垣根を超え多くの企業・団体との連携により成し遂げられました。この成功にはなにより消費者の参加が不可欠で、原料調達から製造までオールジャパンで実現。資源に乏しい日本で達成できたことを誇らしく思います。

 

この国産バイオジェット燃料はJALの通常の運航で活用することが検討されています。本プロジェクトでの当社の役割は、「服の回収と、その服に含まれる綿繊維を酵素分解した糖化液の製造」という重要なものでしたが、当初の予定を大幅に上回る30万着相当の服が集まり、良いスタートを切ることができました。


「Bring=持ち込んで」回収しよう、と呼びかけるプロジェクトのためのハチのマーク。無印良品やスノーピークをはじめ多くの店舗や企業が協力している。 「Bring=持ち込んで」回収しよう、と呼びかけるプロジェクトのためのハチのマーク。無印良品やスノーピークをはじめ多くの店舗や企業が協力している。

「Bring=持ち込んで」回収しよう、と呼びかけるプロジェクトのためのハチのマーク。無印良品やスノーピークをはじめ多くの店舗や企業が協力している。

リサイクルをビジネスにする根底には、地球の裏側で起きている資源紛争を減らしたいという想いがあります。結果にスピードが求められる時代、事業の先に世界平和を目指す点は、あきらめが悪い性格だからこそ掲げられるのかもしません。その目的のために手掛けている事業が正しい、という自負もあり、これからもブレずに進んでゆくつもりです。

 

夢を実現するためには突拍子のないことでも、「こんなことを実現したい」という想いを多くの人に伝えることが大切です。自分自身の想いも強くなり、賛同する人も集まってきます。TWIGGY.の松浦美穂さんとも、互いに異なる業種にいながら、サステナブルな社会を作りたいという共通のメッセージを発信し続けていたからこそ実現した出逢いでした。

 

ヘアスタリスト兼オーナーとして人それぞれの美しさを引き出すばかりでなく、環境に対してもまた同じ姿勢でいることに共鳴を覚えます。地球を“Mother Earth”ともいいますが、母なる大地が持つ美しさに敬意を払い、サロンに自然電力を取り入れ、自社製品にバイオマスボトルを採用するなど、TWIGGY.のさまざまな環境配慮への取り組みは見事だと感じます。

最新のケミカルリサイクル技術BRING technology™による再生ポリエステル製造事業を担う日本環境設計の北九州響灘(ひびきなだ)工場の夜景。北九州市は「世界の環境首都」を目指し、クリーンエネルギーの積極的な導入を進めている。 最新のケミカルリサイクル技術BRING technology™による再生ポリエステル製造事業を担う日本環境設計の北九州響灘(ひびきなだ)工場の夜景。北九州市は「世界の環境首都」を目指し、クリーンエネルギーの積極的な導入を進めている。

最新のケミカルリサイクル技術BRING technology™による再生ポリエステル製造事業を担う日本環境設計の北九州響灘(ひびきなだ)工場の夜景。北九州市は「世界の環境首都」を目指し、クリーンエネルギーの積極的な導入を進めている。

再生ポリエステル工場である北九州響灘工場ができたことで、これも創業期の夢のひとつのBRING™で回収した服を原料の一物として使ったTシャツなどの製品製造、販売が始められるようになりました。エンドユーザーに直接商品を販売すると同時に服の回収を行い、自社で再資源化し、その素材でつくった服を再度販売する。このループの継続で世界中の石油由来アパレルを物々交換して、BRING™の再生ポリエステルアパレルに置き換えていきたいと考えています。

 

また今後は、ボトルtoボトルのリサイクル工場の再稼働を予定しています。この工場が実際に稼働することで、現在、世界が直面するプラスチックごみの問題に対して、一つの解決策を提示できるのではないかと考えています。アパレル製品やボトル、技術でも、国内にとどまらず世界へと羽ばたかせたい。いつの日か世界中でBRINGのキャラクターであるハチのマークを目にすることができれば、それは循環型社会が実現していることを意味します。同時に、資源の奪い合いが減り、温室効果ガスの排出も減少する、そんな社会が実現できていると思うのです。これからもスピードを緩めず循環型社会の形成に向けて走り続けます。

 

社名の日本環境設計には文字通り、日本の環境インフラを設計する、という想いを込めています。創業から10余年、今は世界のモノづくりに対して私たちがどんな役割を担えるのか、熟考し、海外へも積極的な展開を図りたい。そういう点でも社名を超える存在感を果たせたらいい、と感じます。

左:「服から服をつくる」循環をピクトグラムでわかりやすく説明した図。右:BRING PLA-PLUS(プラプラ)プロジェクト™は、多様な事業者と連携し、おもちゃや文具類などのプラスチック製品をリサイクルする仕組みを作る事業。 「プラスチックを地球のプラスに」を合言葉に、プロジェクト開始当初は家電量販店、商業施設などでプラスチック製品を消費者から回収した。現在はその発展形として特定の企業との合同企画に拡大している。 左:「服から服をつくる」循環をピクトグラムでわかりやすく説明した図。右:BRING PLA-PLUS(プラプラ)プロジェクト™は、多様な事業者と連携し、おもちゃや文具類などのプラスチック製品をリサイクルする仕組みを作る事業。 「プラスチックを地球のプラスに」を合言葉に、プロジェクト開始当初は家電量販店、商業施設などでプラスチック製品を消費者から回収した。現在はその発展形として特定の企業との合同企画に拡大している。

左:「服から服をつくる」循環をピクトグラムでわかりやすく説明した図。右:BRING PLA-PLUS(プラプラ)プロジェクト™は、多様な事業者と連携し、おもちゃや文具類などのプラスチック製品をリサイクルする仕組みを作る事業。 「プラスチックを地球のプラスに」を合言葉に、プロジェクト開始当初は家電量販店、商業施設などでプラスチック製品を消費者から回収した。現在はその発展形として特定の企業との合同企画に拡大している。

 

(敬称略)

岩元美智彦  Michihiko Iwamoto 日本環境設計株式会社 取締役会長 1964年鹿児島県生まれ。北九州市立大学卒業後、繊維商社に就職。営業マンとして勤務していた1995年、容器包装リサイクル法の制定を機に繊維リサイクルに深く携わる。2007年1月、現取締役社長の髙尾正樹とともに日本環境設計を設立。資源が循環する社会づくりを目指し、リサイクルの技術開発だけではなく、メーカーや小売店など多業種の企業とともにリサイクルの統一化に取り組む。2015年アショカフェローに選出。著書『「捨てない未来」はこのビジネスから生まれる』(ダイヤモンド社)。 岩元美智彦  Michihiko Iwamoto 日本環境設計株式会社 取締役会長 1964年鹿児島県生まれ。北九州市立大学卒業後、繊維商社に就職。営業マンとして勤務していた1995年、容器包装リサイクル法の制定を機に繊維リサイクルに深く携わる。2007年1月、現取締役社長の髙尾正樹とともに日本環境設計を設立。資源が循環する社会づくりを目指し、リサイクルの技術開発だけではなく、メーカーや小売店など多業種の企業とともにリサイクルの統一化に取り組む。2015年アショカフェローに選出。著書『「捨てない未来」はこのビジネスから生まれる』(ダイヤモンド社)。

Profile

岩元美智彦  Michihiko Iwamoto

日本環境設計株式会社 取締役会長

1964年鹿児島県生まれ。北九州市立大学卒業後、繊維商社に就職。営業マンとして勤務していた1995年、容器包装リサイクル法の制定を機に繊維リサイクルに深く携わる。2007年1月、現取締役社長の髙尾正樹とともに日本環境設計を設立。資源が循環する社会づくりを目指し、リサイクルの技術開発だけではなく、メーカーや小売店など多業種の企業とともにリサイクルの統一化に取り組む。2015年アショカフェローに選出。著書『「捨てない未来」はこのビジネスから生まれる』(ダイヤモンド社)。

 

Text by Misuzu Yamagishi

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