「酵母の泡 甲州 ブリュット」「酵母の泡 甲州 ブリュット」

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いま飲みたい日本ワイン

2022.3.7

「酵母の泡 甲州 ブリュット」日本の食文化に寄り添うワインづくり



ハレの日に限らず、泡の入った飲み物は心を躍らせてくれる。日本でのスパークリングワインの消費量はどんどん伸びているという。一番有名なスパークリングワインといえばシャンパーニュだが、お手頃価格で気軽に飲める日常ワインにと考えるなら、イタリアのプロセッコやスペインのカバのように、軽快な味わいの方がしっくりくる。実は、スティルワインよりも高い技術を必要とするスパークリングワインは、美味しく安定した品質のものを造ろうとすればするほどコストも上がってしまうのだが、安定した美味しさと手頃な値段で、私がいつも冷蔵庫に1本入れておくほど愛飲している日本のスパークリングワインがある。マンズワインの「酵母の泡 甲州 ブリュット」だ。

 

 

マンズワインは勝沼ワイナリーでワイン生産を始めて今年でちょうど60年になる。その間、山梨県勝沼と長野県小諸を中心に、地域の農家とともに日本の食文化に合うワイン造りに尽力してきた。2016年には伊勢志摩サミットに「酵母の泡 甲州」が日本を代表するスパークリングワインのひとつとして提供された。



八朔(はっさく)のような和柑橘と、酵母由来のパン生地の香り。キリッとした飲み口で、シュワシュワとした細かな泡立ちが心地よい。スッキリした味わいのようで、味の中盤は旨味があり、クリーミーさも感じるので、出汁を使った和の料理のように繊細な料理にも寄り添うことができるワインだ。

 

家族で北陸産の牡蠣を取り寄せて鍋を作ったときも、この「酵母の泡 甲州 ブリュット」が大活躍した。ワインが発揮するじわじわと旨味のある味わいとクリーミーなテクスチャーに、牡蠣の持つクリーミーな旨味の調和。そしてワインは和柑橘の香りが柚子を絞ったかのようで、料理をさらに華やかにしてくれた。これからの季節なら、春キャベツ、アスパラガス、菜の花など春の野菜の料理がおすすめだ。野菜の甘さの部分をワインが引き立たせてくれるだろう。



「酵母の泡 甲州 ブリュット」 「酵母の泡 甲州 ブリュット」


酵母の泡 甲州 ブリュット

造り手: マンズワイン
所在地:<勝沼ワイナリー>山梨県甲州市勝沼町山400、<小諸ワイナリー>長野県小諸市諸375
品種:山梨県産甲州種 100%
特徴:1962年「勝沼洋酒株式会社」という名で設立。1964年に親会社でもあるキッコーマンの「マン」とラテン語「manna(天から授かった食物マナ)」にちなんで「マンズワイン株式会社」に改名。小諸ワイナリーではプレミアムワインを、勝沼ワイナリーではデイリーワインを主に醸造している。2000年代に入って量より質を重視する姿勢をより鮮明にした、国産プレミアムワイン「ソラリス」シリーズを発売。国賓級VIPの晩餐会で使用されたり、国内外のコンクールでの受賞など高い評価を得ている。2008年、後に日本を代表するスパークリングワインとなる「甲州 酵母の泡」を発売。この分野のパイオニアになった。
合わせる料理:繊細で旨味のあるこのワインには、食材の味を生かした重たくない料理がいい。親会社のキッコーマンのホームページには、ワインに合う料理のレシピがたくさん掲載されている。例えば生ハム、アスパラサラダ、菜の花とはまぐりのクリーム煮などと合わせたら間違いないだろう。
価格:1,877円(税込/公式オンラインショップ)



松木リエ Rie Matsuki
ソムリエ WSET® Level 4 Diploma、A.S.I.世界ソムリエ協会認定 International Sommelier Diploma- Gold。タイユバン・ロブションなどを経て2006年渡仏。南仏にて世界最優秀ソムリエのエンリコ・ベルナルド氏に師事し、その後パリの星付きレストランで6年間ソムリエとして従事。帰国後マンダリン オリエンタル 東京のソムリエを経て独立。現在はキャプラン ワインアカデミーなどで講師をつとめるほか、ワインの普及のための活動を行なっている。


Text by Rie Matsuki
Photography by Sogen Takahashi(amana)

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