ペトル・ホリーさん

Lounge

Tokyo, 7 p.m.

ペトル・ホリーのGINZA夜7時

2020.3.12

日本に、歌舞伎に“恋した”チェコ人 ペトル・ホリーが訪ねる A.レーモンド設計の教文館

大学で演劇の講義をする一方、祖国チェコの情報発信や翻訳、通訳など多彩な活躍をしているペトル・ホリーさん。日本に魅入られたホリーさんが語る銀座の魅力とは?

14歳で日本に魅了されてから、日本一筋
今ではチェコと日本の橋渡し役に

 

ホリーさんが日本に出合ったのは14歳の時。お母さんが買ってくれた日本文化を紹介する本を読んで、すっかり心を奪われてしまったという。「しっとりと落ち着いた美しい文化に衝撃を受けました。それからは日本語を一生懸命勉強しました。日本語ができれば、いつか日本に行けるかも知れないと思っていましたね」。

 

名門カレル大学の日本学科に学び、98年に日本留学の夢を果たした。東京学芸大学と早稲田大学の大学院を経て、2006年からチェコ大使館の一等書記官兼チェコセンター東京の初代所長に。現在は大学で歌舞伎とチェコ人形劇の講義をしつつ、日本とチェコの関わりについて執筆したり、チェコのカルチャーを日本に紹介したりと実に幅広い活動をしている。

2階には歌舞伎、能、狂言などの伝統芸能コーナー。気になる本をあれこれ手にしてみる。 2階には歌舞伎、能、狂言などの伝統芸能コーナー。気になる本をあれこれ手にしてみる。

2階には歌舞伎、能、狂言などの伝統芸能コーナーがあり、気になる本をあれこれ手にしてみるホリーさん。

大正・昭和の旧き良き銀座に
思いを馳せるのがとても楽しい

 

銀座は、東京の中でも好きな街。「日本が好きになった時から、日本に行ったら、銀座に行くって決めていました。特に大正・昭和の銀座に憧れがあります。昔の写真や映画をみると、すごくおしゃれだなぁと思います」。歩いている人たちもおしゃれなら、お店もおしゃれで、特別な場所という感じがするという。少なくはなったものの、今でもそんな当時の面影が残っている場所はある。

ビルの階段の中央になぜか壁が存在。教文館ビルは、隣接する聖書館ビルと内部で繋がり、階段で分けていると知り驚くホリーさん。建設当時からのこの構造だったそうだ。写真右のマークは、教文館内のトイレのマーク。当時の意匠のままだという。  ビルの階段の中央になぜか壁が存在。教文館ビルは、隣接する聖書館ビルと内部で繋がり、階段で分けていると知り驚くホリーさん。建設当時からのこの構造だったそうだ。写真右のマークは、教文館内のトイレのマーク。当時の意匠のままだという。 

ビルの階段の中央になぜか壁が存在。教文館ビルは、隣接する聖書館ビルと内部で繋がり、階段で分けていると知り驚くホリーさん。建設当時からこの構造だったそうだ。写真右のレトロなマークは、教文館内のトイレのマーク。小粋な意匠だが建設当時のものかは不明とか。


今回、ホリーさんが撮影場所に選んだ老舗書店、教文館ビルもそのひとつ。日本の建築史に残るモダニズム建築。チェコ生まれの建築家、アントニン・レーモンドが設計し、1933年に竣工した。外観はリニューアルされているが、建物内部は昔のままの部分も多く、随所に当時の意匠が見られる。

 

「階段の手すりとか、まさにレーモンドの世界です。銀座にこの建物ができた時は、皆さん驚かれたでしょうね。日本にもモダニズム建築が残っていて、それをチェコ人が作ったというのは嬉しいですね」。

 

歌舞伎座で歌舞伎を鑑賞して「ビヤホール ライオン銀座」でビールを飲むのがホリーさんの銀座での定番コース。長く書道をやっていたので、鳩居堂の2階で書道関連の商品を見ることも多い。「最近はカジュアルな、グローバルブランドが増えました。今の銀座も嫌いじゃないけれど、特別な感じが少し薄れてきているのが残念な気はします」と肩をすくめる。

 

「歌舞伎座も鳩居堂も敷居が高いですよね。僕にとっては銀座って、そういうイメージなんです。学生時代に先生に銀座でご馳走してもらった時も、緊張して、でも嬉しくて…」。旧き良き、憧れの銀座のままであってほしいと願うホリーさん。教文館は、昭和から令和まで生き残り、憧れの銀座の姿を残していた。

5階のエレベーターホールにて。「5階」の書体が味わい深い。往時のままの部分も多く残る。 5階のエレベーターホールにて。「5階」の書体が味わい深い。往時のままの部分も多く残る。

5階のエレベーターホールにて。「5階」の書体が味わい深い。往時のままの部分も多く残る。

ペトル・ホリー Petr Holy

早稲田大学演劇博物館招聘研究員、チェコ蔵CHEKOGURA主宰。

1972年6月、プラハ郊外に生まれる。97年カレル大学哲学学部極東研究部日本学科卒業(哲学修士)後、98年国費留学生として日本へ。東京学芸大学を経て2006年文部科学省奨学生として早稲田大学大学院博士後期課程(文学研究科芸術演劇専攻)終了。同大学第一文学部助手を経て、2006年〜13年駐日チェコ共和国大使館一等書記官兼チェコセンター東京初代所長。2013年チェコの情報を発信するサイト「チェコ蔵」をオープン。カレル・チャペック『シュヴァンクマイエルの博物館―触覚芸術・オブジェ・コラージュ集』、『ダーシェニカ』『ふしぎ猫プドレンカ』(共にブロンズ社)、『チェコアニメの巨匠たち』(エスクァイア マガジン ジャパン出版)など多数。チェコ映画の日本語字幕を多数手がける他、チェコ政府要人の来日時やプラハ国立歌劇場の日本公演では通訳として活躍。埼玉大学、実践女子大学短期大学部兼任講師、文化資源学会会員、早稲田大学演劇博物館招聘研究員。

 

教文館ビル

銀座では数少なくなった書店を擁する、教文館ビル。地上9階、地下2階の鉄筋コンクリート構造。アントニン・レーモンドの設計により1933年12月に竣工。レーモンドは1919年、帝国ホテル設計施工の助手として、フランク・ロイド・ライトに呼ばれて来日し、その後日本で多くの建物を設計している。教文館ビルはアール・デコ様式の建築で完成当時は銀座でも目を惹く建物だった。現在はリニューアルされているが、当時の内装は今も残り、レーモンドの世界を味わうことができる。1階は雑誌と地図、2階は一般書籍、3階はキリスト教書、4階はCafeきょうぶんかん、6階は児童書、9階はウェンライトホールがあり、銀座の名物書店として健在である。

 

本の教文館/教文館ビル

東京都中央区銀座4-5-1

03‐3561‐8446(代表)

1・2階 一般和書 10:00~21:00(平日・土曜) 10:00~20:00(日曜・祝日)

3階 キリスト教書 10:00~20:00(平日・土曜) 13:00~20:00(日曜・祝日)

4階 カフェきょうぶんかん 11:00~19:00(通年)、エインカレム(キリスト教グッズ) 10002000(通年)

6階 子どもの本のみせナルニア国 10:00~20:00(通年)

Text by Yoshiko Takahashi
Photography by Yuji Hori
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