TOKYO CRAFT ROOMにて。クラーソン・コイヴィスト・ルーネ。

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柳原照弘が繋ぐ温かな人の輪

2019.11.14

2. 「less is more」。そして自然を尊重し感謝する。CKRが語るスカンジナビアと日本のものづくり。

コンストファック(スウェーデン国立美術工芸大学)で出会ったモーテン・クラーソン、エーロ・コイヴィスト、ウーラ・ルーネの3人が、1995年にストックホルムにて設立した建築デザインユニット、クラーソン・コイヴィスト・ルーネ。建築にはじまり、プロダクトやインテリアなどあらゆるジャンルのデザインを手がけている。

 

「仕事は私たちにとって人生そのもの。クライアントと良い関係が築ければ仕事にも良い影響を及ぼし、反対の場合は不要な諍いが生まれたりもする。つまらない事で大切な人生を無駄にしたくない」と語り、仕事での人間関係を重要視している彼らが、旧知の仲である柳原照弘の誘いで、「さしものかぐたかはし」高橋雄二とコラボレーションした。

 

HAMACHO HOTELの特別な一室、TOKYO CRAFT ROOMに納められた、「Hand」と名付けられたテーブル、ベンチ、スツールは、高橋の指物の技術を生かした、美しく、いつまでも触れていたくなるようなものだ。

 

談・クラーソン・コイヴィスト・ルーネ
*以下モーテン・クラーソン(C)、エーロ・コイヴィスト(K)、ウーラ・ルーネ(R)

「さしものかぐたかはし」の技術が光る「Hand」のテーブル。 「さしものかぐたかはし」の技術が光る「Hand」のテーブル。

「さしものかぐたかはし」の技術が光る「Hand」のテーブル。Photography by Junya Igarashi

K:最初にテル(柳原)に会った時、彼はまだ少年のようでした。でも、それ以来ずっといい関係が続いていて、今回も声をかけてもらったんです。クリエイティブワークに関しては、僕らは必ず3人揃って手がけるのですが、1つのプロジェクトに対して、必ず誰かが責任者となることにしています。今回のTOKYO CRAFT ROOMでの高橋さんとのコラボレーションに関しては、ウーラが責任者です。

 

R:1人でデザインすると、やっている中でどうしても「なんとなくこういうものになるだろうな」というのが想像できてしまう。でも、3人で取り組むことで化学変化が起こるんです。


「さしものかぐたかはし」高橋雄二の工房で打ち合わせをするウーラ・ルーネ。CKRの難しい注文にも高橋は見事、応えた。 「さしものかぐたかはし」高橋雄二の工房で打ち合わせをするウーラ・ルーネ。CKRの難しい注文にも高橋は見事、応えた。

「さしものかぐたかはし」高橋雄二の工房で打ち合わせをするウーラ・ルーネ。CKRの難しい注文にも高橋は見事、応えた。Photography by momoko Japan

K:学生が週末にパーティーを開く、学内のバーをデザインするプロジェクトで仲良くなって以来、20数年一緒にやってきていますが、3人の関係性はその頃から変わりません。僕らは全員父親が医者で、きょうだいの構成も同じ(笑)。だから、僕はウーラが言っていることも、モーテンが言っていることもよくわかるんです。

 

R:今回のプロジェクトはまず、僕がTOKYO CRAFT ROOMに宿泊して、高橋さんと会い、彼の技術や普段制作しているものを、写真や実物を見せてもらいながら教えてもらうところから始まりました。そこで得たインスピレーションを持ち帰って3人でデザインし、高橋さんに送付。試作が出来上がったところで、TOKYO CRAFT ROOMのリサーチ&ディベロップメントを務めるデザイナーの熊野亘さんと一緒に広島の高橋さんの工房に行き、細かいところを詰めていきました。

日本の新進木工ブランドとのコラボレーションで生まれたCKRの作品「FIVE wooden furniture collection for MEETEE」。 日本の新進木工ブランドとのコラボレーションで生まれたCKRの作品「FIVE wooden furniture collection for MEETEE」。

日本の新進木工ブランドとのコラボレーションで生まれたCKRの作品「FIVE wooden furniture collection for MEETEE」。


C:どんなプロジェクトでも、やり方はだいたい同じ。建築のプロジェクトの場合は施主の要望を聞き出し、一緒に最善の方法を考えていきますが、プロダクトもそれと同じです。今回は指物師というマスター・クラフツマンとの協働でしたが、ハイテクメーカーとの仕事でもやり方は変わりません。きちんと相手の特性を理解し、それを一旦消化した上でデザインしていきます。今回は高橋さんが高い指物技術を持っていることがわかったから、それを最大限に発揮してもらえるようなデザインを考えました。

 

R:今回はそこにTOKYO CRAFT ROOMというホテルの特別な客室のために作る、という条件も加わったけれどね。客室にプロジェクトをどんどん落とし込み、変化させていくというテルのアイディアが面白い。

CKRの代表的作品の一つ、「ヴィラ・ヴィードルンド」。スウェーデンのアート・コレクター、ヤン・ヴィードルンドの個人宅で海辺に建つ。 CKRの代表的作品の一つ、「ヴィラ・ヴィードルンド」。スウェーデンのアート・コレクター、ヤン・ヴィードルンドの個人宅で海辺に建つ。

CKRの代表的作品の一つ、「ヴィラ・ヴィードルンド」。スウェーデンのアート・コレクター、ヤン・ヴィードルンドの個人宅で海辺に建つ。

C:この部屋を通して日本を見る、という感じですよね。日本と僕らが暮らすスカンジナビアのものづくりは、ミニマリスト的なアプローチ、「less is more」という考え方で共通していると思います。自然を尊重し、感謝するという部分もそう。スカンジナビアでは木という素材をどう使うかというのが非常に重要ですが、それは日本も同じでしょう。また、「謙虚であること」も共通している。思いやコンセプトを内に秘めた表現をすることは、僕らにとって、非常に大切なことなんです。


TOKYO CRAFT ROOM
http://www.tokyocraftroom.jp
*ゲストが宿泊していない時は、レセプションに声を掛ければ見学可能。

 

次回は坂井真紀(女優)です。

(敬称略)

クラーソン・コイヴィスト・ルーネ(CKR) クラーソン・コイヴィスト・ルーネ(CKR)

Profile

クラーソン・コイヴィスト・ルーネ(CKR)
建築デザインユニット
1995年に、モーテン・クラーソン、エーロ・コイヴィスト、ウーラ・ルーネの3人によって設立されたスウェーデン・ストックホルムを拠点とするデザインスタジオ。建築事務所としてスタートしたが、現在は建築とデザインの両方を活動の中心とし、ホテルや住宅、店舗、オフィスをはじめ、展示会の会場構成やインテリアプロダクト、電化製品やお菓子やテレビ番組用のトロフィーまでインターナショナルかつさまざまな領域のプロジェクトに関わる。
http://www.claessonkoivistorune.se/

Photography by Yoshiaki Tsutsui
Text by Shiyo Yamashita

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