有田で柳原照弘と協働。「オール・ザ・ウェイ・トゥ・パリス」のフィロソフィ

Lounge

Premium Salon

柳原照弘が繋ぐ温かな人の輪

2019.11.28

4. 有田で柳原照弘と協働。「オール・ザ・ウェイ・トゥ・パリス」のフィロソフィ

国籍の違う2人のデザイナー、タニア・ヴィーベとペトラ・ゲントは美術大学の学生時代に出会い、意気投合。2004年コパンハーゲンでデザイン事務所、「オール・ザ・ウェイ・トゥ・パリス」を立ち上げた。現在はグラフィックデザイン、展示会やプロダクトデザインを手がけ、2016年には柳原照弘と共に「1616/arita Japan」のプロジェクトにも参加している。シンプルでモダンななかにも、温かみのある作風には、クライアントとの対話を何より大切にしているという2人の人間性がうかがえる。

 

談・ペトラ・ゲント(オール・ザ・ウェイ・トゥ・パリス)

コペンハーゲンにある「オール・ザ・ウェイ・トゥ・パリス」のオフィスの書棚。 コペンハーゲンにある「オール・ザ・ウェイ・トゥ・パリス」のオフィスの書棚。

コペンハーゲンにある「オール・ザ・ウェイ・トゥ・パリス」のオフィスの書棚。

私たちが出合ったのはデンマーク王立美術院にビジュアル・コミュニケーションとグラフィックデザインの学生として通っていたときです。会ってすぐに共通のビジョン、エネルギーを持っていると互いに感じました。タニアは何事もスピーディにこなし、ディテールにこだわるタイプで、私(ペトラ)は全体像を確認しながらじっくり取り組むタイプと違いはありましたが、2人が協力すれば相乗効果が生まれると思いました。

グラフィックデザインも「オール・ザ・ウェイ・トゥ・パリス」の仕事領域のひとつ。 グラフィックデザインも「オール・ザ・ウェイ・トゥ・パリス」の仕事領域のひとつ。

グラフィックデザインも「オール・ザ・ウェイ・トゥ・パリス」の仕事領域のひとつ。

在学中から2人でデザインやイラストの依頼を受けていたので、卒業後はそのままそれがビジネスになりました。ただ、デザイン事務所で働いた経験がなかったので、トライアル&エラーを繰り返し、現場で学ばなければなりませんでした。今では、あの頃の経験が自分たちの大きな財産になったと思っています。現在は、国籍の違う6人のデザイナーが所属する事務所になりました。


プレートの絵付けにも「オール・ザ・ウェイ・トゥ・パリス」の個性豊かな創造性が光る。 プレートの絵付けにも「オール・ザ・ウェイ・トゥ・パリス」の個性豊かな創造性が光る。

プレートの絵付けにも「オール・ザ・ウェイ・トゥ・パリス」の個性豊かな創造性が光る。

今までで一番印象に残る仕事のひとつが、コペンハーゲンで行われた3 days of designでの、柳原照弘さんがクリエイティブ・ディレクターを務める有田焼の「1616/arita Japan」、デンマークの家具メーカーの「スカゲラック」とコラボレーションした「テーブルプロジェクト」です。この時は陶芸の長い歴史がある有田を訪れ、「1616/ arita Japan」の柳原さんのTYシリーズのプレートに絵付けをしました。有田は靄(もや)のかかった山に囲まれたマジカルな場所。畏敬の念を禁じ得ませんでしたが、委縮することなく、自分たちは自分たちらしく仕事をしようと筆を動かしたことを覚えています。

有田の工房で絵付けをするペトラ・ゲント。 有田の工房で絵付けをするペトラ・ゲント。

有田の工房で絵付けをするペトラ・ゲント。


柳原さんには、作品だけでなく、彼の創る世界観にいつも惹かれています。初めて京都にある彼のアトリエ兼ギャラリーに行ったときのこと。なかなか見つけられなくて、自転車で右往左往しました。そしてやっとたどりついたアトリエはシンプルで、洗練されていて、歴史とコンテンポラリー、クラフツマンシップと自然の要素が同居した、美しい場所でした。大阪にある今の柳原さんのアトリエは…時間の感覚を失うようなところです。過去と現在が交錯するような作品が並んでいるかと思えば、外には高層ビルが連なる大阪の喧騒があるのです。なんて刺激的でしょう!

「1616/arita Japan」のイメージ写真の1枚。写真はすべて「オール・ザ・ウェイ・トゥ・パリス」のアートディレクションにより、コペンハーゲンで撮影された。 「1616/arita Japan」のイメージ写真の1枚。写真はすべて「オール・ザ・ウェイ・トゥ・パリス」のアートディレクションにより、コペンハーゲンで撮影された。

「1616/arita Japan」のイメージ写真の1枚。写真はすべて「オール・ザ・ウェイ・トゥ・パリス」のアートディレクションにより、コペンハーゲンで撮影された。

柳原さんは「人と人との繋がり、信頼、結びつきが仕事のキーポイント」と言いますが、私たちもまったく同じ考えです。いい仕事ができるかどうかは、クライアントとの会話や関係性、彼らから感じられるエネルギーを取り込めるかどうかにかかっています。「オール・ザ・ウェイ・トゥ・パリス」という名前も、クライアントに私たちとの繋がりを感じてもらいたいという思いから付けました。彼らと一緒に旅をして、行けるところまで行き(オール・ザ・ウェイ)、ベストな結果を出したいと思っています。

 

一緒に仕事をする人とは、刺激的で面白い話ができるかどうかがとても大切です。繰り返しますが、会話はとても重要なのです。最初はビジョンが一致していなくても、話し合いを経て新しい道を見つけたとき、最高の仕事ができたと感じます。2020年も「1616/arita Japan」の新しいショールームづくりに協力することになり、引き続き柳原さんと仕事をします。タイルを担当するのですが、これは長崎県佐世保市にある教会のタイルから着想を得ました。また、HAMACHO HOTELの一室、TOKYO CRAFT ROOMとのコラボもとても楽しみにしています。


オール・ザ・ウェイ・トゥ・パリス オール・ザ・ウェイ・トゥ・パリス

Profile

オール・ザ・ウェイ・トゥ・パリス
デザイン・スタジオ
1975年デンマーク生まれのタニア・ヴィーべと1972年スウェーデン生まれのペトラ・ゲントによるデザイン・スタジオ。2人は共にデンマーク王立美術院を卒業。在学中から様々なプロジェクトに携わり、2004年、コペンハーゲンでスタジオを立ち上げた。当初はグラフィックデザインをメインにしていたが、現在は展示会やプロダクトデザインも手がける。2016年には柳原照弘と共に「1616/arita  Japan」のプロジェクトに参加。
https://allthewaytoparis.com

Text by Reiko Matsuno

Premium Salon

ページの先頭へ