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By Executives プレミアムジャパンに集うエグゼクティブたちのブログ

2021.9.27

中村孝則/ 2周年を迎えたハレクラニ沖縄 空の青と海の藍の楽園への再訪

2周年を迎えた「ハレクラニ沖縄」再訪

文・中村孝則

 

ハワイのワイキキビーチで100年以上の歴史を誇る名門、ハレクラニ ホテル。その二軒目となるハレクラニ沖縄が開業したのは、2019年の夏のこと。先ごろ、めでたく開業2周年を迎えた。そして私は、一年半ぶりにこのホテルを訪れることになった。今回は、沖縄を象徴する、このラグジュアリー・ホテルの魅力や楽しみ方を、ロケーション、施設、料理そしてホスピタリティの4つの観点からレポートしてみたい。

 



東シナ海に面した、旅情をくすぐるロケーション

 

まず、ロケーションである。ハレクラニ沖縄は、本島中央部の東シナ海に面した恩納村に位置している。周辺海岸線は沖縄海岸国定公園として、美しい自然が守られているエリアである。ホテルはその海岸に向かって突き出した岬に建ち、ホテルからの眺望や自然環境は沖縄屈指といっていいだろう。私は今回、那覇空港からレンタカーで東海岸沿いの道で向かったが、そのドライブの道程も快適そのもの。旅情をくすぐるプロローグとなった。

 

ハレクラニ沖縄の大きな特徴のひとつは、客室棟が「ビーチフロントウイング」と「サンセットウイング」二つに別れていることだ。双方あわせて360の客室は、すべてがオーシャンビューであるが、二つの客室棟はそれぞれが別のホテルと思うほど、ことなるキャラクターと使い勝手、魅力を持っている。なので、予約する場合は、ご自身の目的やお好み、旅の条件などと照らし合わせて選択するのがベターだと思う。

 

白浜ビーチ側の「ビーチフロントウイング」は、3箇所のプールを配し開放感のある設計と演出が施されている。ハワイのフレンドリーな雰囲気を、より濃く引き写しているがこちらのウイングではないだろうか。友人やご家族と過ごすのであれば、個人的にはこちら側をお勧めしたい。

 



「ビーチフロントウイング」で、右側が「サンセットウイング」である。 「ビーチフロントウイング」で、右側が「サンセットウイング」である。

ホテルは、沖縄中央部の東シナ海に突き出した小さな岬に位置する。手前側の客室棟が「ビーチフロントウイング」で、右側が「サンセットウイング」である。



一方、クリフトップ側の「サンセットウイング」の方は、ぐっと大人っぽい雰囲気を醸し出している。風景も沖縄というより、どこなくハワイの島々を彷彿とさせている。こちらに配されるオーシャンテラスプールも海に面していて、美しいサンセットが望める絶好のロケーションである。あえて16歳以上に限定しているのも、静かに過ごしたいゲストに対する配慮であると思う。私は、前回に引き続きこちらにステイしたが、恋人同士や静かに過ごしたいゲスト、あるいは私のように原稿を執筆したり、リモートで仕事をするスタイルであれば、断然に「サンセットウイング」をお勧めしたい。


サンセットウイングのロビーからの眺望は、海に大きく開かれた絶景である。海に沈む夕日は息を飲む美しさである。 サンセットウイングのロビーからの眺望は、海に大きく開かれた絶景である。海に沈む夕日は息を飲む美しさである。

サンセットウイングのロビーからの眺望は、海に大きく開かれた絶景である。海に沈む夕日は息を飲む美しさである。



美しい眺望とイノベーティブなダイニング体験

 

このホテルの魅力を語るうえで、バーとレストランは外せない。ハレクラニ沖縄では、ひとつのバーと4箇所のレストランを配している。サンセットバー「スペクトラ」では、文字通り東シナ海に沈む夕日を眺めながらカクテルが楽しめるので、食事前などにはぜひ一度は立ち寄りたい。レストランは好みと気分で、オールデーダイニングやステーキ、日本料理など4箇所選べるのがいい。そして私が強く推薦するのはイノベーティブの「シルー(SHIROUX)」である。理由は、東京・神宮前の「フロリレージュ(Florilege)」の川手寛康シェフが監修するレストランだからである。

 

「フロリレージュ」は、改めて説明するまでもないが、川手シェフが腕をふるう革新的なフランス料理店として、国内外から人気が高い。「ミシュランガイド東京」では二つ星を保持し、「アジアのベストレストラン50」の最新2021年のランキングでは7位につけ、10月5日にベルギーのアントワープで発表になる「世界ベストレストラン50」では、初の世界ランクインが期待されている。

 



前菜 前菜

料理は季節に応じて数種類のアミューズ、前菜、魚料理、肉料理、デザートなどコース仕立てである。伝統的な沖縄料理では、医食同源を意味する「ぬちぐすい」という言葉を使うが、ここの料理を通じてゲストの健康と長寿にも寄与したいと川手シェフは願っている。


沖縄名産の島豚やもとぶ牛などメイン 沖縄名産の島豚やもとぶ牛などメイン

メインの肉料理には、沖縄名産の島豚やもとぶ牛などが使われる。そのほか、島唐辛子など固有の香辛料やハーブ類も、味付けやソースに使われる。ワインはもちろんだが、ノンアルコール・カクテルのペアリングも面白い。


イノベーティブ・レストラン「シルー(SHIROUX)」は解放感ある贅沢な空間で、“マリン・ラグジュアリー”を演出する。 イノベーティブ・レストラン「シルー(SHIROUX)」は解放感ある贅沢な空間で、“マリン・ラグジュアリー”を演出する。

イノベーティブ・レストラン「シルー(SHIROUX)」は解放感ある贅沢な空間で、“マリン・ラグジュアリー”を演出する。


ハレクラニ沖縄のレストランを支えるシェフたち。川手寛康シェフ(左から三番目)は「シルー(SHIROUX)」の監修の立場で、定期的に訪れて、常に新たな料理に挑戦している。 ハレクラニ沖縄のレストランを支えるシェフたち。川手寛康シェフ(左から三番目)は「シルー(SHIROUX)」の監修の立場で、定期的に訪れて、常に新たな料理に挑戦している。

ハレクラニ沖縄のレストランを支えるシェフたち。川手寛康シェフ(左から三番目)は「シルー(SHIROUX)」の監修の立場で、定期的に訪れて、常に新たな料理に挑戦している。


沖縄で“革新的なフランス料理”と聞けば、イメージしにくいかもしれないが、沖縄には豊かな海産物や野菜やハーブ、あるいは特産の豚やフルーツなど食材の宝庫である。川手シェフは、食材の本性を見抜く抜群の才覚があり、「シルー」では、川手シェフ監修のもと、地元食材をシンプルかつユニークな料理に落とし込こんでいるのが味わいどころだ。今まで味わったことのない味覚体験は、沖縄の知られざる魅力すらも発見できるはずである。



沖縄・恩納村に顕現する、ハレクラニ沖縄という旅物語

 

最後に、特筆すべきはスタッフのホスピタリティであろうか。観光ブームで続々と新しいホテルの計画が進んでいる沖縄において、優秀なスタッフの確保は容易ではないはずだが、よくこれだけのクオリティをキープしているな、というのが正直な感想である。360室と、この手のホテルにしては比較的に客室数を抑えていることもあり、各ポジションのスタッフたちのゲストへの寄り添い方の塩梅がちょうどいいのである。おそらく、長期滞在すればするほど、その価値を享受できるのではないかと思う。

 

 


オーチャード・スイート・バルコニーのベッドルームの様子。全室オーシャンビューで、室内は白を基調としたグラデーションで統一されている。 オーチャード・スイート・バルコニーのベッドルームの様子。全室オーシャンビューで、室内は白を基調としたグラデーションで統一されている。

オーチャード・スイート・バルコニーのベッドルームの様子。全室オーシャンビューで、室内は白を基調としたグラデーションで統一されている。



こちらは、ハレクラニ・スイートのリビングの様子。日々刻々と変化する東シナ海の眺望は、長期滞在でも飽きることはないだろう。 こちらは、ハレクラニ・スイートのリビングの様子。日々刻々と変化する東シナ海の眺望は、長期滞在でも飽きることはないだろう。

こちらは、ハレクラニ・スイートのリビングの様子。日々刻々と変化する東シナ海の眺望は、長期滞在でも飽きることはないだろう。


沖縄の観光産業は大きく期待されているが、その課題は日本の他の地方と同じで、旅そのものをいかに“高級化させるか”である。それは、単価だけの問題ではなく、旅のストーリーの作り方、あるいは長期滞在というものテーマのひとつである。それにはホテルの存在は極めて重要であり、ハレクラニ沖縄は、その意味においても試金石となるに違いない。そうした文脈においても、今後のこのホテルの成熟に、私は大きな期待を抱くのである。


ハレクラニ沖縄

沖縄県国頭郡恩納村名嘉真1967−1

中村孝則 Takanori Nakamura 中村孝則 Takanori Nakamura

Profile

中村孝則 Takanori Nakamura

コラムニスト。神奈川県葉山町生まれ。ファッションやグルメやワイン、旅やライフスタイルをテーマに、新聞や雑誌やTVで活躍中。現在、「世界ベストレストラン50」日本評議委員長も務める。剣道教士7段。大日本茶道学会茶道教授。著書に『名店レシピの巡礼修業』(世界文化社)、共著に『ザ・シガーライフ』(オータバブリケーションズ)などがある。


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