2周年を迎えた「ハレクラニ沖縄」再訪
文・中村孝則
ハワイのワイキキビーチで100年以上の歴史を誇る名門、
東シナ海に面した、旅情をくすぐるロケーション
まず、ロケーションである。ハレクラニ沖縄は、
ハレクラニ沖縄の大きな特徴のひとつは、客室棟が「ビーチフロントウイング」と「サンセットウイング」二つに別れていることだ。双方あわせて360の客室は、すべてがオーシャンビューであるが、二つの客室棟はそれぞれが別のホテルと思うほど、ことなるキャラクターと使い勝手、魅力を持っている。なので、予約する場合は、ご自身の目的やお好み、旅の条件などと照らし合わせて選択するのがベターだと思う。
白浜ビーチ側の「ビーチフロントウイング」は、3箇所のプールを配し開放感のある設計と演出が施されている。ハワイのフレンドリーな雰囲気を、より濃く引き写しているがこちらのウイングではないだろうか。友人やご家族と過ごすのであれば、個人的にはこちら側をお勧めしたい。


ホテルは、
一方、クリフトップ側の「サンセットウイング」の方は、


サンセットウイングのロビーからの眺望は、
美しい眺望とイノベーティブなダイニング体験
このホテルの魅力を語るうえで、バーとレストランは外せない。ハレクラニ沖縄では、ひとつのバーと4箇所のレストランを配している。サンセットバー「スペクトラ」では、文字通り東シナ海に沈む夕日を眺めながらカクテルが楽しめるので、食事前などにはぜひ一度は立ち寄りたい。レストランは好みと気分で、オールデーダイニングやステーキ、日本料理など4箇所選べるのがいい。そして私が強く推薦するのはイノベーティブの「シルー(SHIROUX)」である。理由は、東京・神宮前の「フロリレージュ(Florilege)」の川手寛康シェフが監修するレストランだからである。
「フロリレージュ」は、改めて説明するまでもないが、川手シェフが腕をふるう革新的なフランス料理店として、国内外から人気が高い。「ミシュランガイド東京」では二つ星を保持し、「アジアのベストレストラン50」の最新2021年のランキングでは7位につけ、10月5日にベルギーのアントワープで発表になる「世界ベストレストラン50」では、初の世界ランクインが期待されている。


料理は季節に応じて数種類のアミューズ、前菜、魚料理、肉料理、


メインの肉料理には、沖縄名産の島豚やもとぶ牛などが使われる。


イノベーティブ・レストラン「シルー(SHIROUX)」


ハレクラニ沖縄のレストランを支えるシェフたち。
沖縄で“革新的なフランス料理”と聞けば、
沖縄・恩納村に顕現する、ハレクラニ沖縄という旅物語
最後に、特筆すべきはスタッフのホスピタリティであろうか。観光ブームで続々と新しいホテルの計画が進んでいる沖縄において、優秀なスタッフの確保は容易ではないはずだが、よくこれだけのクオリティをキープしているな、というのが正直な感想である。360室と、この手のホテルにしては比較的に客室数を抑えていることもあり、各ポジションのスタッフたちのゲストへの寄り添い方の塩梅がちょうどいいのである。おそらく、長期滞在すればするほど、その価値を享受できるのではないかと思う。


オーチャード・スイート・バルコニーのベッドルームの様子。


こちらは、ハレクラニ・スイートのリビングの様子。
沖縄の観光産業は大きく期待されているが、その課題は日本の他の地方と同じで、旅そのものをいかに“高級化させるか”である。それは、単価だけの問題ではなく、旅のストーリーの作り方、あるいは長期滞在というものテーマのひとつである。それにはホテルの存在は極めて重要であり、ハレクラニ沖縄は、その意味においても試金石となるに違いない。そうした文脈においても、今後のこのホテルの成熟に、私は大きな期待を抱くのである。
ハレクラニ沖縄
沖縄県国頭郡恩納村名嘉真1967−1


Profile
中村孝則 Takanori Nakamura
コラムニスト。神奈川県葉山町生まれ。ファッションやグルメやワイン、旅やライフスタイルをテーマに、新聞や雑誌やTVで活躍中。現在、「世界ベストレストラン50」日本評議委員長も務める。剣道教士7段。大日本茶道学会茶道教授。著書に『名店レシピの巡礼修業』(世界文化社)、共著に『ザ・シガーライフ』(オータバブリケーションズ)などがある。
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