ダイナミックなデザインと技巧が特徴だと言われる、欧米のハイジュエリー。翻って、日本のジュエリーには、「繊細」な感性を宿すデザインと、磨き上げられた「緻密さ」という技がある。アートとも、工芸とも評される日本のハイジュエリーが生み出す、心が透過されていくようなジュエリーの輝き。Premium Japanが厳選したブランドを紹介していく。
神戸は国産のアコヤ真珠ばかりでなく、世界の真珠の集積地として機能し、オーストラリアの南洋真珠、タヒチの黒蝶真珠、バハ・カリフォルニアのコンクパールなど多様な真珠が集まる。日本の優れた技術を持つ加工業者によってシミや汚れなどを落とされ、コンディションを整えられ再び海外に輸出されていく。
真珠は白くて丸いものと思われているが、それは選別された結果で、いびつなもの、エクボがあるものなど、人間と同じように色々な顔がある。真珠は母貝の中で1年以上をかけてゆったりと育まれていくが、すべてが完璧な丸には成長するわけではない。変形の真珠はバロックと呼ばれ、古くから海外では人気が高い。16世紀末から18世紀にかけてヨーロッパで流行したバロック様式の芸術の語源は、バロック真珠と言われる。17世紀の画家フェルメールが描いた『真珠の耳飾りの少女』がつけている真珠もバロックだ。
リング:K18ホワイトゴールド・白蝶真珠・ダイヤモンド、2,200,000円/ペンダント:K18ホワイトゴールド・白蝶真珠・ダイヤモンド、12,000,000円 ともに税別
20mm珠の大きな真珠をバスケット状のアームが包み込むリングと、約27×32mmのサイズの真珠を、合計8.88ctのダイヤモンドがランダムに取り巻くペンダント。
ネックレス:K18ホワイトゴールド・コンクパール・ダイヤモンド、9,630,000円/リング:K18ホワイトゴールド・コンクパール・ダイヤモンド、13,500,000円 ともに税別
ネックレスには3.74ctのコンクパール、リングには5.33ctのコンクパールが主役。周囲はブリオレットダイヤモンドがきらめく。
真珠は母貝から取り出されると、真円、キズの有無、色、テリ、巻きの厚さの違いで選り分けられる。それらの基準の中で、ここで紹介する「フィオレ」が重視するのはテリと巻きである。「フィオレ」は真珠それぞれの個体差を尊重してジュエリーをデザインする。真円にこだわりすぎると、デザインに限界がある。テリが強く巻きが厚ければ、いびつなバロックやケシ、コンクパールなどは唯一無二の価値あるジュエリーに仕立てることができるという。
K18ホワイトゴールド・黒蝶真珠・淡水真珠・ダイヤモンド・サファイア、5,800,000円 税別
黒蝶真珠の形をタコの頭に見立て、淡水真珠を用いて吸盤を表現。曲線が描く立体感が美しい。
K18ホワイトゴールド・黒蝶真珠・ダイヤモンド・サファイア、1,200,000円 税別
ユニークな形がチャーミングなカニのブローチ。
「FIORE prezioso(フィオレ プレシオッソ)」は真珠一つ一つを見ながらデザインした、そのほとんどが1点もので構成されるコレクションだ。写真の天然真珠のコンクパールのネックレスは二度と同じものを作ることはできない。コンクパールは養殖ができないので数が少なく、珠の色や形をバランスよく揃えるために何年もかかったという。タコのブローチはこの形の黒蝶真珠が見つからなければ、二つ目は作れないだろう。「フィオレ」は徹底して真珠の面白さを追求しているブランドである。
FIORE prezioso(フィオレ プレシオッソ)
http://fiore-jp.com/
Photography by © FIORE prezioso
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アートか工芸か。日本のハイジュエ…
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