鍋といえば、コトコト煮込むイメージがあるが、今回、細川亜衣さんにご紹介いただいたのは、炙った肉や野菜をスープと共にいただく「炙り鍋」。
「一般的な鍋のイメージとは違いますよね。スープと炙った素材を敢えて鍋としていただく。これは『変わりゆく鍋』とでも言いましょうか」。
肉も野菜も炙ることで、食材の美味しさが凝縮し、香りはより豊かになる。そこに優しい味わいのスープで煮込むのではなく、素材それぞれの味わいを重ね合うように味わう。一般的な鍋とは違って、味わいもスタイルも自由に変化ができる鍋である。
一度炙った秋の味覚を鍋へ。
そのままでも美味しい焼き豚をスープでいただく贅沢。
焼き豚もごぼうのごまあえも、もちろんそのままでも十分美味しい。それらを野菜に包んだり、スープと共に頂いたり、薬味をたっぷり乗せてみたり、銘々皿の中で、さまざまな味わいを作り出す、そんな楽しさもある。
秋を感じ始めた頃から、細川家の食卓に最もよく登場しているのが、この「炙り鍋」。冬は白菜や大根、夏はなすやトマトなど、旬の野菜を取り入れて一年中楽しめる鍋である。
焼き豚 (作りやすい分量)
豚肩ロースかたまり 400g
たれ
赤みそ 30g
しょうゆ 10g
みりん 10g.
酒 10g+20g
豚肩ロースはたれの材料を混ぜたところにひたして1時間以上おく。
フライパンを中火で熱し、たれを軽くぬぐった豚肉を脂身の多い面から焼く。
全体に焼き色がついたら。150℃に温めたオーブンに入れ、約30分焼く。
途中で転がしながら全体にまんべんなく火を通す。
芯温45℃位で止め、オーブン内の余熱で10分ほどおき、60℃くらいまで上げる。
粗熱が取れるまでおく。
フライパンの脂をのぞいて漬けだれを戻し入れ、追加分の酒を加えて中弱火にかける。
とろりとしたら火を止める。焼き豚はたれを絡めておく。
焼き豚を薄切りにし、たれをかける。
ごぼうのごまあえ(作りやすい分量)
ごぼう 100g
水 ごぼうがかぶるくらい
酢 10g
塩 適量
すりごま 適量
ごぼうは皮を洗い、食べやすい長さに切って鍋に入れる。
太い場合は5-7mmほどの太さに切り分ける。
かぶるくらいの水を注ぎ、酢と塩を加えてごぼうがやわらかくなるまでふたをしてゆでる。
柔らかくなったら火を止め、そのままゆで汁にひたしておく。
供する前にたっぷりのすりごまであえる。
栗みそ(4人分)
みそ 40g
ごま油 5g
すりごま 5g
ゆで栗 10g
みそ、ごま油、すりごまをよく混ぜ、仕上げにゆで栗を適当に砕いて混ぜる。
炙り鍋(4人分)
汁
水 1リットル
昆布 15g
いりこ 10g
酒 50g
塩 6g
汁の具
ゆで栗 4個
しいたけ 4個
さといも 4個
その他の具
焼き豚
ごぼうのごまあえ
みょうが
しょうが
青菜、サラダ菜、ベビーリーフなど(生で食べておいしいもの)
昆布、いりこを分量の水に一晩ひたして冷蔵庫に入れ、水だしを取る。
土鍋にだしを濾し入れ、酒と塩を加えて煮立てる。
栗とさといもはあらかじめ柔らかく蒸し、皮をむく。
しいたけはかたいところを除く。
それぞれバーナーか焼き網でほんのり焼き色がつくまで炙る。
土鍋の汁に炙り栗、しいたけ、さといもを加えて弱火でふたをして煮る。
焼豚は薄切りにし、煮詰めたたれをかけ、奈良漬を刻んで添える。
別の器にごぼうのごまあえ、しょうがとみょうがの千切り、青菜、栗みそを添える。
各自で青菜を手に取り、焼き豚、ごぼう、しょうが、みょうがを巻いて食べる。
その後、各自で好みのタイミングで碗に鍋の汁と具をよそい、そのまま食べる。
途中栗みそを加えたり、焼き豚を入れて、味に変化をつけてもよい。
→細川亜衣さんのレシピ 春の鍋「小鍋仕立てのロールキャベツ鍋」
細川亜衣 Ai Hosokawa
料理家。熊本・taishojiにて料理教室や料理会などを主宰。「トースト」(BON出版)、『料理集 定番』(アノニマ・スタジオ)、「旅と料理」(cccメディアハウス)、「taishoji cookbook 1.2」(晶文社)など多数を発売中。
Photography by Ai Hosokawa
Premium Japan Members へのご招待
最新情報をニュースレターでお知らせするほか、エクスクルーシブなイベントのご案内や、特別なプレゼント企画も予定しています。
Stories
Premium X
細川亜衣 四季の鍋
Premium X