寒さが厳しくなってくると、無性に鍋が食べたくなる。食材の旨味の染み出した澄んだスープとともに、様々な野菜や肉を口に頬張る。すると心も体もスッとほぐれて、旬の素材の美味しさと栄養が体に染み渡っていくように感じる。まさに幸せなひとときである。
今回は、体の芯からあたたまる「赤ワイン鍋」を細川亜衣に紹介いただいた。「赤ワインを温めていただくホットワインもそうですが、温かなワインは体の芯からあたためてくれます。赤ワイン鍋は食べている時から体がポカポカしてくるのがわかります」と細川亜衣は語る。
赤ワインと牛肉の鍋と聞くと、ビーフシチューをイメージするが、今回は昆布といりこだしを使って和風に仕上げていると言う。


白菜をたっぷり入れて、出汁の美味しさを味わいたい。
阿蘇の赤肉をだしと赤ワインでじっくりと煮込んでいくと、肉のクセが和らぎ、ナイフで切らなくてもほろっと崩れるほどに肉は柔らかくなっていく。その煮汁は一度濾して、その後に表面の脂を出来るだけていねいに取り除くと透き通った汁になる。「この手間を惜しまないで」と細川からアドバイス。「この鍋には白菜がよく合うので、レシピの量よりもたっぷり入れてもいいですね」。


今回は阿蘇の赤牛を選んで。


肉はホロリと柔らかく。
「我が家は子供がいるので、ワインのアルコール分を飛ばしてからいただいていますが、ワインが好きな方なら、最後に、グラス1杯程度のワインを入れると、よりワインの風味と香りが広がっていきます。飲み残しのワインがあるときに作るのもおすすめです」と話してくれた。
いい肉を手に入れて、旬の白菜をたっぷり、そしてお気に入りの赤ワインを片手に、どうぞ召し上がれ。


赤ワイン鍋(4人分)
具
牛ロース肉 400g
香味野菜
(にんにく、ねぎの青いところ、しょうが)
赤唐辛子
白菜 8枚
ドライトマト 10g
汁
赤唐辛子 2本
水 1000g
昆布といりこのだし 400g
赤ワイン 400g
魚醤 10g
塩 10g
薬味
香菜またはパセリ
フライパンを中火で熱し、必要に応じて油をうっすらと引き、牛肉をかたまりのまま焼く。
全体がこんがりとしたら取り出し、熱湯をかけてさっと脂を洗う。
水と赤ワインの半量を沸かし、香味野菜と赤唐辛子を入れて牛肉を加える。
ふたをして弱火にし、やわらかくなるまで2〜3時間ほど煮る。
(圧力鍋の場合は30分加圧後、自然脱気)
牛肉を取り出し、目の細かい網で濾す。
できれば煮汁をいったん冷やし、表面に浮いた脂をなるべくていねいに取り除く。
塩と魚醤、昆布といりこのだし、を加えて煮立て、あくをしっかりと除く。
白菜の芯を適当に切って加え、芯が柔らかくなったら塩味をととのえ、ドライトマト、牛肉を戻し入れる。
卓上に出せる鍋に移し、白菜の葉を大きくちぎったものを牛肉のまわりに盛る。
残りの赤ワインを注いで中火で煮立て、牛肉は適当な大きさにくずし、汁と白菜とともにめいめいの器に盛る。
好みで香菜やパセリの葉をのせながら食べる。
*牛ロース肉のかわりに、豚肩ロース肉かたまり、鶏骨つきもも肉で作ってもおいしい
細川亜衣 Ai Hosokawa
料理家。熊本・taishojiにて料理教室や料理会などを主宰。「トースト」(BON出版)、『料理集 定番』(アノニマ・スタジオ)、「旅と料理」(cccメディアハウス)、「taishoji cookbook 1.2」(晶文社)など多数を発売中。毎月、オンラインマガジン『エプロンとレシピ』(grembiuli&ricette)を更新中。
Photography by Ai Hosokawa
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