2月下旬から5月中旬にかけて出回る春キャベツは、冬の時期に出回る寒玉キャベツに比べて、葉は柔らかく、芯まで美味しくいただけるのが特徴。この春キャベツを使って、ひとり分を小鍋仕立てにしたロールキャベツ鍋を紹介いただく。もちろん大きな鍋でたくさん煮込んでも間違いなく美味しい。
旬の野菜が運んでくれる、春の味わいを満喫する
一般的なロールキャベツは、挽き肉や刻んだ野菜をキャベツで巻いて、スープで煮込むが、このロールキャベツ鍋は少し異なる。
細川亜衣に聞くと、「イタリア北部のピエモンテ州の郷土料理に『カプネッ』という、ロールキャベツがあります。挽いた肉、ゆでたお米、香味野菜、チーズなどをゆでたちりめんキャベツで巻いて、煮込むのではなくオーブンで焼いて仕上げます。中に入れるゆでたお米の食感が軽やかで、土鍋で作ると日本の食卓にぴったりですよ」。
キャベツのゆで汁まで使うことで、より優しい味わいが生まれる。
ロールキャベツの美味しさはもちろん、その優しい味わいのスープも味わってほしい。春キャベツのゆで汁を使ってロールキャベツを煮込むことで、全ての食材から染み出た旨味がスープには溶け込んでいるから、スープまでしっかり美味しくなる。
また、イタリアではお米をゆでて使っているが、日本では冷やごはんを使うと気軽に作ることができる。ごはんは冷めたもの、冷凍いずれもさっと洗ってぬめりを取ってから使うとよい。
具材にごはんを入れることで食感が変わる。
細川家の冷凍庫には、煮込み料理用にトマトがいつも冷凍してあると言う。
煮込みに冷凍トマトを使うことで、スープに旨味が増して、とろっとした仕上がりになる。トマトは完熟のものを丸のまま冷凍庫に入れておくだけでよい。冷凍した完熟トマトは生で食べるには不向きだが、煮込み料理には最適なので試してほしい。
旬の野菜の味わいが優しく溶け合うロールキャベツ鍋は、ひと足早く春が訪れたように優しい味わいで、体はぽかぽかと温かくなって、旨味が体中に染み渡っていく。
ロールキャベツ鍋(4人分)
ロールキャベツ
キャベツの葉 大4枚
ひき肉 200g
冷やごはん 100g
のびるまたは玉ねぎ、ねぎ 適量
レモンの皮 適量
ハーブ(ローズマリー、イタリアンパセリ) 適量
塩
オリーブ油 小さじ4
つけあわせ
冷凍トマト
からし菜
オリーブ油 小さじ2
仕上げ
のびるまたは小ねぎの油漬け 小さじ4
土鍋にキャベツの葉がひたるくらいの水を入れて沸かす。
塩を入れ、キャベツの葉を入れ、ふたをして蒸しゆでにする。
色よくなり、ほどよく火が通ったら取り出す。
蒸し汁は鍋に数センチほど残しておく。
キャベツの芯の部分はそぎ、のびる、レモンの皮、ハーブもそれぞれ適当に刻む。
冷やごはんは水で洗ってぬめりを取り、水気を切る。
ボウルにひき肉、塩、オリーブ油を入れてよく混ぜる。
キャベツの葉を広げ、等分にした詰め物をのせて俵型にしっかりと包む。
のびるをひもがわりにして縛る。
土鍋に閉じ口を下にして並べ、まわりに冷凍トマトとからし菜を入れる。
オリーブ油を回しかけ、粗塩をふる。
ふたをして蒸し煮にし、柔らかく煮えたら火を止め、汁の味をみて塩味をととのえる。
温めた器にロールキャベツを盛り、汁をかける。
トマトとからし菜を添え、のびるの油漬けをかける。
*のびるまたは小ねぎの油漬けはそれぞれ小口切りにして瓶に入れ、米油をかぶるくらい注いでふたをし、冷蔵保存する。できたての新鮮な香りも、時間をおき熟成した感じもそれぞれに美味しい。様々な料理に活用できる。
*冷凍トマトは完熟トマトを丸のまま冷凍保存したもの。水で洗うと簡単に皮が剥がれ、煮込むととろりとした食感になり、旨味が濃く出る。
*ハーブに香菜、油をごま油にするとご飯のおかずにも合う。
細川亜衣 Ai Hosokawa
料理家。熊本・taishojiにて料理教室や料理会などを主宰。「トースト」(BON出版)、『料理集 定番』(アノニマ・スタジオ)、「旅と料理」(cccメディアハウス)、「taishoji cookbook 1.2」(晶文社)など多数を発売中。毎月、オンラインマガジン『エプロンとレシピ』(grembiuli&ricette)を更新中。
Photography by Ai Hosokawa
Premium Japan Members へのご招待
最新情報をニュースレターでお知らせするほか、エクスクルーシブなイベントのご案内や、特別なプレゼント企画も予定しています。
Stories
Premium X
細川亜衣 四季の鍋
Premium X