尾上菊之丞×村元哉中 『THE MELT』異分野の才能が溶け合い生まれるエンターテイメント尾上菊之丞×村元哉中 『THE MELT』異分野の才能が溶け合い生まれるエンターテイメント

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尾上菊之丞日記~よきことをきく~

2026.5.2

尾上菊之丞×村元哉中 『The MELT』異分野の才能が溶け合い生まれるエンターテイメント

5月2日から5日まで、KOSE新横浜スケートセンターで開催される『The MELT -Cross of Roots-』。高橋大輔さんや荒川静香さん、村元哉中さんをはじめとするフィギュアスケーターと、平原綾香さん、増田貴久さんなどさまざまなジャンルの表現者たちが美しく融合する新しいかたちのアイスショーです。その公演の構成・演出・振付を手がけているのが、尾上菊之丞さん。今回の「菊之丞日記~良きことを聞く~」は特別編として、菊之丞さんとともに本公演で構成補佐と振付を担う村元哉中さんとの対談をお届けします。初日が開く一週間前、スケートリンクでの稽古を終え、打ち合わせに向かう前のお二人に、『The MELT』への思いを語っていただきました。またキャストの練習風景などの、オフショットも合わせてご覧ください。



伝統芸能にもフィギュアスケートにも宿る「普遍的な美しさ」



――昨年の『氷艶 hyoen 2025 -鏡紋の夜叉-』では振付を一緒に担当なさっていましたが、今回は構成とその補佐という役割も担われています。お互いどのような印象がありますか。



尾上菊之丞さん(以下、菊之丞) 最初にお目にかかったのは、哉中さんがスケーターとして出演していた『氷艶-月光かりの如く-』(2019年、菊之丞さんが振付監修・所作指導)ですよね。それから7年、哉中さんのステージがどんどん変わっていくのを感じてきましたが、ご一緒するたびに新しい面を見せてくださるので、毎回刺激を受けています。

 

村元哉中(以下、村元) 『鏡紋の夜叉』の振付の時に一対一でお話しできる機会が多くなったのですが、なんと言いますか、菊之丞さんはとにかく美しいんです。言葉の使い方、教え方、所作、どれも美しくて、本当に素敵な方だなといつも思っています。リンクの上にいる時も、オフアイスの時も全ての所作が美しい。多くを学ばせていただいています。菊之丞さんは、お花みたいなイメージです。


菊之丞 そんなふうに言っていただけると、身の置き所がないです(笑)。

 

村元 今回は構成段階から関わらせていただいていますが、物事に対しての考え方も美しい。

 

菊之丞 哉中さんは、スケーターとして表現する時と作品を創作する時とでは、また違った面がありますよね。今回それを感じました。表現者としては、とてもエレガントで、それこそ美しい。でも振付していく時はかなり緻密で、いい意味で計算高く、貪欲。その貪欲さは、僕も同じです(笑)。振付の仕方も似ている気がしています。



――美しいという言葉がお二人から出ていますが、スケートの美しさと日本舞踊の美しさの違いのようなものはあるのでしょうか。

菊之丞 スケーターの皆さんは常に自分自身と戦い、高みを目指しています。その姿は本当に清々しくて美しいです。それは一発勝負のスポーツの世界で生きてこられたからこそで、僕たちの芸能の世界とは少し違うかもしれません。でも、スケートも伝統芸能も、美しさの本質は変わらないと思います。知識があるなしに関わらず、誰が見てもそう感じるような普遍的な感覚ですので。アイススケートの作品に携わるようになって、伝統芸能の世界とスケートの世界と想像以上に共通点が多いことも感じています。

 

村元 今回、平原綾香さんの最新曲「祈りにみちて」で荒川静香さんがパフォーマンスをするのですが、その振付で菊之丞さんが目線の使い方をご指導くださったんです。本当に目線一つで美しさが増したり、物語の見え方が違ってきたりします。それはアイスダンスにも通じるところがあって、ペア同士が見ている方向や指一本の角度まで丁寧に突き詰めていくんです。日本舞踊と近い美しさがあるのかなと、改めて思いました。





――2017年に行われた最初の『氷艶』の公演『破沙羅(ばさら)』では、フィギュアスケートの方が「演技を芝居の役として捉えることがなかったので、役の感情を考えていくことが面白い」とお話されていたのが印象に残っています。




菊之丞 スケーターの方々は一つのプログラムをその技術と表現力で見せるということを追求してきた方々で、お芝居をするという感覚は基本的になかったのですよね。よく考えたら当然のことです。なので、当初は「台本はいりません」というスケーターの方が多かったんです。

 

村元 そうなのですね!

 

菊之丞 もちろん僕らも、スケーターの皆さんのそういう見せ方から多くを学びました。と同時にスケーターの方々は、公演を重ねるうちに、芝居として一つの作品を作っていく楽しさ、役を演じる楽しさを感じとってくださったんだと思います。今回の『The MELT』は『氷艶』とは違ってお芝居仕立てではありませんが、今日のお稽古で「もし台本を欲しい人がいたら」と伝えたら、皆さん台本を持っていかれましたね。




村元 私は2019年の『氷艶』から参加させていただいたのですが、アンサンブルの一人ひとりに至るまで、全シーンを「役」として表現していく経験は、とても大きな学びでした。高橋大輔さんとのペア“かなだい”を組んだのは、そのすぐ後。シングルのフィギュアスケート選手とは違って、アイスダンスには「役を演じる」という考え方があって、かなだいで『オペラ座の怪人』の曲を使った時はクリスティーヌというキャラクターを演じていました。そういったアイスダンスの表現に、『氷艶』での経験が活かせたと思っています。













全員の思いが氷上で溶け合う瞬間を共有できる時




――お稽古で印象に残っていることはありますか。




菊之丞 印象的なことを挙げると尽きないのですが、特に哉中さんと振付を構築していく時間が楽しかったですね。僕の振付のイメージを伝えると、哉中さんはそれをかみ砕きながら自分のアイディアも織り交ぜて、演者の方に振りを渡していく。哉中さんの発想はとても緻密で、一つひとつの振りが細かく組み合わさってシーンが立ち上がっていきます。それを見ているのが楽しいんです。演者の方は初日が開いてからが本番ですが、僕らにとっては振付をしている一瞬一瞬が本番だと思っています。その瞬間を共有できることが幸せです。

 

村元 私もすべてが刺激的なのですが、今回「インタラクティブコーナー」を作るにあたって、どういうものにしようかと皆でいろいろと考えていたところ、菊之丞さんが「リリックスケートバトル」、いわゆるラップバトルというアイディアを出してくださったんです。想像を超えたアイディアで、すごいなぁ!と。しかも、昨日は一人ひとりのリリックを夜中まで考えて、全員分を作ってきてくださいました。そのリリックが音楽にのると、パンチも強くてまたかっこいい!



菊之丞 それは、音楽監督の茂木(英興)さんが、かっこよくしてくださったんです。

 

村元 音楽とリリックが溶けあっていて、まさに“MELT”です。皆さま、このコーナーもぜひお楽しみにしてください!


尾上菊之丞 尾上菊之丞



菊之丞さんの指示を何度も確認するキャストの皆さん




――今回の公演は『MELT』と題されていますが、いろいろな表現のジャンルが溶け合う際に大切なことはなんでしょうか。



村元 自分たちのルーツや表現に対して、どれだけの「パッション」と「愛」を持っているかが大事だと思います。スケーターならスケートを、アーティストさんなら歌を、自分がやっていることをどれだけ愛しているか。それぞれの強い思いを本気でぶつけ合って、一つに溶け合った時、それは必ずお客さまに伝わるのではないかなと思います。

 

菊之丞 僕は異なるジャンルを一つにまとめる機会が多いのですが、一番大事にしているのは、「リスペクト」です。例えば、フィギュアスケートの専門的なことはわからなくても、相手が何を大切にしているのかを必死に感じとり、それを自分も同じように大切にする。そして、僕にとってもそれが本当に大切になった時に初めて、ジャンルの壁が溶けていくような気がします。







村元 それぞれが持つルーツが溶け合う瞬間を、ぜひ『The MELT』で皆さまにも体感していただきたいです。お客様と溶け合う時間でもあります。スケートリンクじゅうが一体となる、新しいアイスショーが誕生すると思っています。ゲストの方によっても少しずつ内容が変わりますので、ぜひ全日見ていただけたら(笑)。そして、『氷艶』ファンの方々にも懐かしい曲が流れたり、エモーショナルな公演になるのではないでしょうか。

 

菊之丞 最初の『氷艶』からのオムニバスのようなプログラムもあり、約10年のスケーターや演者の方々の思いも氷上に溶け込んでいくと思います。もっと言えば、お客様一人ひとりのストーリーも溶け込んでいく。そんな素敵なショーにしていきたいです。
















練習の合間に突然バースデイケーキが登場。キャスト全員が本当に仲がいい。














◆  TheMELT -Cross of Roots-

日時:2026年5月2日(土)~5日(火・祝) 開場10:00 / 開演11:00、開場13:30 / 開演14:30、開場17:00 / 開演18:00
場所:KOSÉ新横浜スケートセンター
構成・演出・振付:尾上菊之丞、構成補佐・振付:村元哉中、振付:宮本賢二、吉野晃平、avecco、衣裳:三浦洋子(アトリエ88%)、音楽監督:茂木英興、アートディレクション:RAM

 

<出演>

スケーター:高橋大輔、荒川静香、村元哉中、織田信成、田中刑事、友野一希、中田璃士、橋本誠也、小沼祐太、吉野晃平、中野耀司、大島光翔、佐藤由基、西田美和、中西樹希、望月美玖、占部亜由美

アーティスト:増田貴久5月2日(土)・3日(日)、平原綾香5月4日(月)・5日(火)、福士誠治5月4日(月)、大野拓朗5月2日(土)~5日(火)、エリアンナ5月2日(土)~5日(火)、財木琢磨5月2日(土)~5日(火)、長谷川開5月3日(日)~5日(火)、青山凌大5月2日(土)~5日(火)

スーパーアリーナ席:26,000円、アリーナ席:19,000円、SS席:17,000円、S席:13,000円、A席:8,000円

<お問合せ>

The MELT -Cross of Roots-




Text by Natsuko Ohki
Photography by Natsuko Okada(Studio Mug)










尾上菊之丞 Kikunojo Onoe

■尾上流四代家元 三代目尾上菊之丞 (おのえ きくのじょう)

1976年生まれ。2歳から父に師事し5歳で初舞台、2011年尾上流四代家元を継承し、三代目尾上菊之丞を襲名。自身のリサイタル「尾上菊之丞の会」、狂言師茂山逸平氏との「逸青会」を主催。新作の創作にも力を注ぎ、様々な作品を発表。新作歌舞伎や花街舞踊、宝塚歌劇団、OSK日本歌劇団やアイススケート「氷艶」「Luxe」など様々なジャンルの演出・振付を手掛ける。京都芸術大学非常勤講師/公益社団法人日本舞踊協会理事

 

「菊之丞FAN CLUB」へのお問合せは、尾上流公式サイトをご覧ください。











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