本館ロビー四弁花壁

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オークライズムを紐解く12の扉

2019.7.24

3.美しきオークラの壁面装飾が再び。「四弁花文」と「錦張り」

2019年9月、新しい時を刻み始める「The Okura Tokyo」。新しいオークラは「オークラ ヘリテージウイング」と「オークラ プレステージタワー」の2棟からなり、オークラの真髄や伝統は継承されつつ、さらなる進化を遂げるという。オークラの魅力を再確認し、新しいThe Okura Tokyoの姿に迫る12のストーリー。

人間国宝・富本憲吉が手がけた四弁花の姿が、
京都・西陣の龍村美術織物のつづれ錦に織り出されて

The Okura Tokyoで私たちが再び触れることのできる、オークラの深い美意識。吟味された一本一本の糸から紡がれる織物の造形においても、その感性が伝わる作品が複数含まれている。

 

ホテルオークラ東京 本館のメインロビーと欧風料理レストランの間に設けられていた「四弁花文織成壁(しべんかもんおりなりかべ)」。四弁花とは日本固有の蘭の花のことで、陶芸の巨匠で人間国宝でもある富本憲吉が手がけた花の姿が、純絹のつづれ錦に織り出され、屏風風の壁に施されていた。富本の作品では遺作となったものでもある。制作は京都、西陣の龍村美術織物。オークラ・ランターンのあかりに照らされ、ホテルオークラ東京の風景として人々の心に刻まれてきた四弁花の姿は当時の図面をもとに今回再び、龍村美術織物で制作されている。

本館の宴会場「平安の間」の入り口壁面に施されたのは、錦を張り交ぜた装飾で仕上げた「錦張り」であった。 本館の宴会場「平安の間」の入り口壁面に施されたのは、錦を張り交ぜた装飾で仕上げた「錦張り」であった。

本館の宴会場「平安の間」の入り口壁面に施されたのは、錦を張り交ぜた装飾で仕上げた「錦張り」であった。現在はホテルオークラ東京 別館でも確認できる。

オークラの歴史のなかではもうひとつ、宴会場「平安の間」のエントランスを彩っていた「錦張り」も忘れてはならない。重要文化財である室町時代の「金銀襴緞子等縫合胴服」(上杉神社蔵)に着想を得たもので、1300年ほど前の上代裂(きれ)と14世紀から16世紀の間に日本に伝えられた名物裂である錦、金銀襴、緞子など、百にも及ぶ種類を復元し、張りあわせることでつくられた装飾壁だ。


本館のエレべーターの扉は大倉家の家紋である「五階菱」をイメージした、菱くずし文様の錦張りが施されていた。 本館のエレべーターの扉は大倉家の家紋である「五階菱」をイメージした、菱くずし文様の錦張りが施されていた。

本館のエレべーターの扉は大倉家の家紋である「五階菱」をイメージした、菱くずし文様の錦張りが施されていた。

柄あわせ、余白の妙など、日本独自の粋の精神が宿る抽象表現。コラージュが躍動感をもたらし、平面描写の内に豊かな奥行きが広がる。多様な色彩と柄を大胆な直線で構成したアートとしても人々の目を楽しませてきた。

「四弁花文」はオークラ プレステージタワー5階ロビーに、「錦張り」はオークラ ヘリテージウイング5階ロビーの装飾として蘇る。

 

(敬称略)

Text by Noriko Kawakami
Photography by © The Okura Tokyo

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