オークライズムを紐解く12の扉

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オークライズムを紐解く12の扉

2019.7.22

2.「三十六人家集三十七帖」と「古今和歌集序」の気品漂う壁面装飾。日本の意匠美が伝統技術によって蘇る。

2019年9月、新しい時を刻み始める「The Okura Tokyo」。新しいオークラは「オークラ ヘリテージウイング」と「オークラ プレステージタワー」の2棟からなり、オークラの真髄や伝統は継承されつつ、さらなる進化を遂げるという。オークラの魅力を再確認し、新しいThe Okura Tokyoの姿に迫る12のストーリー。

The Okura Tokyoの「平安の間」に新たな伝統的なモチーフを。
匠の技が作り出した「古今和歌集序」の唐紙が優雅な空間を作る

1960年代のホテルオークラ 本館の建築の際、設計等に関わった谷口吉郎氏をはじめとする5名の建築家が目指したのは、日本の美を体現できるホテルだった。創業者である大倉喜七郎氏の発案で設計委員会が設けられるなど、意匠面に対する並ならぬ情熱の様子がうかがえる。インテリアデザインや家具、食器、メニューやマッチなどのデザインに関しては、画家や彫刻家たちからなる意匠委員会が結成されている。

本館の平安の間を飾っていた壁面装飾「三十六人家集三十七帖」。新たにオークラ ヘリテージウイングのロビーを彩る。 本館の平安の間を飾っていた壁面装飾「三十六人家集三十七帖」。新たにオークラ ヘリテージウイングのロビーを彩る。

本館の平安の間を飾っていた壁面装飾「三十六人家集三十七帖」。新たにオークラ ヘリテージウイングのロビーを彩る。

なかでも印象的なのが、和歌にちなんだ雅やかな造形だ。ひとつは、京都、西本願寺が収蔵する国宝「三十六人家集三十七帖」に関する料紙(和紙)で、柿本人麻呂、紀 貫之ら著名な歌人三十六人の和歌をまとめた同家集の料紙の構図や文様、技法、材料をもとに制作されたもの。ホテルオークラ東京 本館の大宴会場「平安の間」の大壁面を長らく彩ってきた。

 

貴重な唐紙や染め紙を継いだ表現や、輪郭が波うつように継がれた“破り継ぎ”、色紙を少しずつずらした“重ね継ぎ”など、変化に富み、さまざまな趣を堪能できる料紙の壁紙の制作には、「源氏物語絵巻」等に用いられていた料紙と意匠の研究や、同絵巻の副本制作でも知られる美術家の縣 治朗(あがたじろう)が関わっている。オークラの象徴となるこの壁紙は、今後、オークラ ヘリテージウイングのロビーで堪能できることに。


写真は国宝「古今和歌集序」(部分)。オークラ プレステージタワー1階にある2,000㎡の広さとなる大宴会場平安の間の左右壁面にはこの「古今和歌集序」の唐紙をモチーフとした装飾が施される。 写真は国宝「古今和歌集序」(部分)。オークラ プレステージタワー1階にある2,000㎡の広さとなる大宴会場平安の間の左右壁面にはこの「古今和歌集序」の唐紙をモチーフとした装飾が施される。

写真は国宝「古今和歌集序」(部分)。オークラ プレステージタワー1階にある2,000㎡の広さとなる大宴会場平安の間の左右壁面にはこの「古今和歌集序」の唐紙をモチーフとした装飾が施される。

他に大倉集古館収蔵の国宝三作品のひとつとなる巻子本「古今和歌集序」をもとにした大がかりな壁面装飾もThe Okura Tokyoで受け継がれていく。紀 貫之の序文を名筆、藤原定実が記した格調高い唐紙をモチーフとした11柄計30種類が、オークラ プレステージタワーの大宴会場「平安の間」の左右壁面に施される。

 

白、薄桃、薄緑、薄萌黄色など繊細な日本の伝統色が美しい手漉き和紙は、福井県越前市での制作。そこに宝相華(ほうそうげ)、合生(がっしょう)、雲鶴、獅子、孔雀と牡丹、亀甲といった吉祥の文様がシルクスクリーンの技法で表現されている。現物の20倍にも及ぶ大きさの柄を10枚貼り合わせることで一壁面を制作するという緻密な作業で、もとの図柄の検討にはじまり、制作には2年6か月もの時間が費やされたという。現代の匠の技があってこそ完成し得る気品漂う和紙の壁面。祝いの場をより鮮やかに包んでいくことだろう。

「三十六人家集三十七帖」はオークラ ヘリテージウイング5階ロビーに、「古今和歌集序」はオークラ プレステージタワー1階「平安の間」に蘇る。

 

(敬称略)

The Okura Tokyo
http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/toward2019/

 

→3. The Okura Tokyoの文様(四弁花紋と錦張り)へつづく

Text by Noriko Kawakami
Photography by © The Okura Tokyo

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