「鍋島 大吟醸」720ml 3,000円(税抜)

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酒造りの誇りを胸に。世界が認める日本酒・蔵元選

2020.3.17

8. 「鍋島」が盛り上げる酒蔵ツーリズム 三代目飯盛直喜が目指した蔵元と地域の新しい未来

「鍋島 大吟醸」720ml 3,000円(税抜)

佐賀県鹿島市の肥前浜駅の周辺には、白壁の土蔵や茅葺屋根の町家が多く残る肥前浜宿と呼ばれるエリアがある。この街の起こりは、鎌倉時代にまでさかのぼり、有明海に近く、港町、宿場町として栄えた。多良岳山系の豊富な水、佐賀・白石平野で採れる米、有明海の海運ルートなど条件に恵まれ、江戸時代から昭和にかけては酒や醤油などの醸造業が盛んであった。この肥前浜宿を中心に、現在も醸造を続ける酒蔵が鹿島市内に6蔵あり、そのひとつが「鍋島」(なべしま)で知られる富久千代酒造である。

 

富久千代酒造の酒造りのキーワードは「自然体の酒」。単に香りが高い、辛い、ということではなく、やさしく五感を刺激し、つつむ。そんな日本酒を目指している。銘柄ごとに個性を見出していく、ていねいな酒造りのため、年間の生産量は決して多くない。多良岳山系の良質な水と選び抜いた米を使い、量を供給するよりも、質を追い求めている。このフィロソフィーの礎は、三代目の飯盛直喜が酒造りを始めた80年代の後半の出来事にあった。

「鍋島 特別純米酒」720ml 1,428円(税抜) 「鍋島 特別純米酒」720ml 1,428円(税抜)

「鍋島 特別純米酒」720ml 1,428円(税抜)

80年代の後半、日本酒は大きなターニングポイントを迎えていた。酒類免許緩和により、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどに価格の安い日本酒が並び、小規模な酒店や蔵元が倒産や廃業に追い込まれた。変化していく必要を感じていた飯盛は、これまでのやり方を見直すことから始めた。志しを同じくする地域の酒店と話し合い、たどり着いたのは、地元が誇れるような、こだわりの地酒「鍋島」を造るということだった。そして「鍋島」を応援してくれる地域の酒店と特約店契約を結び、育てる。富久千代酒造では直販も、インターネット販売も行っていない。そうやって蔵元も、酒店も、消費者も三方得な円環が生まれた。

 

「鍋島」を始めた当初は、認知度もなく、売上も厳しい時期もあったが、徐々に日本酒愛好家の支持を高めていった頃、2011年、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)sake部門で、「鍋島 大吟醸」がチャンピオンサケを受賞したことで、潮目は大きく変わる。首都圏では九州は焼酎の産地という認識がほとんどの中、佐賀県から世界一のSAKEが生まれたのだ。「鍋島」の受賞を鹿島市と肥前浜宿エリアの6蔵元が協力し、「鹿島酒蔵ツーリズム推進協議会」を発足。2012年から毎年「鹿島酒蔵ツーリズム」を開催し、2019年には約9万9千人もの集客を誇る大イベントにまで成長した。「鍋島」の飛躍を鹿島市の人達が全員参加で地域の活性化に活かしたのだ。そして総務省が全国でふるさとを良くしようと頑張る団体や個人を表彰する2019年度「ふるさとづくり大賞」で、佐賀県鹿島市の鹿島酒蔵ツーリズム推進協議会が最優秀賞(内閣総理大臣賞)に輝いた。

 

「鍋島」が誕生して22年経つ。そして今、次に計画していることがもうすぐ形になる。蔵の近くの古民家を改装し、レストランを併設した宿泊施設の開業を予定している。「鹿島酒蔵ツーリズム」を通じ、地域の活性化の機運を高めただけでなく、今また新しい流れを作ろうとしているのだ。富久千代酒造は、まだ見ぬ未来を作っていくために夢を追い続け、実現させていく人たちなのである。


杜氏としても活躍する三代目の飯盛直喜。「地元に愛される酒、自然体の酒を造っていきたい」。 杜氏としても活躍する三代目の飯盛直喜。「地元に愛される酒、自然体の酒を造っていきたい」。

杜氏としても活躍する三代目の飯盛直喜。「地元に愛される酒、自然体の酒を造っていきたい」。

平出淑恵セレクト「鍋島」おすすめの2本

鍋島 大吟醸
世界に「鍋島」を知らしめた1本。「まず果実の香りに癒されます。口中にはやさしく上品な甘みと旨みが広がり、エレガントな味わいです」。
種類:大吟醸酒
原料米:兵庫県特A地区産山田錦
精米歩合:35%
日本酒度:未公表
720ml  3,000円(税抜)

 

鍋島 特別純米酒
通常、火入れは、2回のところ、1回火入れし、しぼりたて生酒のようなガス感を感じられるタイプ。「単に淡麗辛口とは一線を画し、みずみずしさと米の旨みが感じられ、吟醸香も楽しめます」。
種類:純米酒
原料米:佐賀の華をはじめ、雄山錦、山田錦などの酒米を適宜使用。毎年飯盛自らが使用する酒米をセレクトする。
精米歩合:55%
日本酒度:+2
720ml  1,428円(税抜)

◆鍋島 富久千代酒造株式会社
佐賀県鹿島市浜町1244-1
0954-62-3727

平出淑恵 Toshie Hiraide

1962年生まれ。日本酒の国際化からインバウンドの地方誘客を目指す株式会社コーポ幸 代表取締役。酒サムライコーディネーター。IWCアンバサダー。昇龍道大使(中部・北陸9県のインバウンドアンバサダー)

 

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日本酒の誇りを取り戻し、日本酒文化を日本国内のみならず、広く世界に伝えていくために、若手の蔵元の全国組織「日本酒造青年協議会」が2006年から始められた活動「酒サムライ」。Sake から観光立国をという夢を実現すべく活動する酒サムライ コーディネーター 平出淑恵が選ぶ、日本酒好きなら一度は訪れるべき個性豊かな酒蔵と、そこで味わいたい日本酒を紹介していく。

 

 

(敬称略)

Photography by Haruko Amagata

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