WABARA(わばら)、それは欧米で作出された華やかなばらにはない、和らぎの表情と、しなやかな強さをあわせ持つばら。滋賀県守山市のばら農園、ローズファームケイジで慈しみながら育てられているWABARAの魅力、そして自然と共にあろうとするローズファームケイジの取り組みを12回に渡って紹介する。


鈴鹿山系を仰ぎ、琵琶湖のほとりに建つローズファームケイジ。自然の恵みと厳しさ、どちらもマザーレイク・琵琶湖が与えてくれる恩恵。
琵琶湖と、その向こうに見える山々、そしてこの空の広さに思わず天を仰ぐ。ローズファームケイジは、琵琶湖がはぐくんだ自然の恵みを享受する土地にある。
だが、ばらにとって最適な場所であるかといえばそうではないと健一は言う。琵琶湖に近いということは、琵琶湖へと注がれる川の最終地点に位置するということだ。川の水には有機体も含まれており、時期によっては汚れも目立つ。そして冬は曇天の日々が続き、時折雪も積もる。しかしあえてこの場所でばらを作ることに決めたのだった。
チップや牛ふんなどのたい肥を漉き込み、微生物の種類と量を増やすことで土を活性化させる。湧き水が生まれる自然のサイクルにならって、川から引いた水を微生物でろ過し、無機化を図りながら、栽培に使用する水を使う。農業という営みによって、土や水を活性化し、大きな自然の一環になることが、彼らの考える農業の姿なのである。
この取組みで、土も水も良質なものとなり、琵琶湖へ還していけたらいい。それが滋賀・守山の地で農業することの意味だと考えている。
星が降ってくるような夜空と山々に囲まれたローズファームケイジ。何もないけれど、気立てのいい優しいばらが育つ土地。この農園の営みこそ、マザーレイク・琵琶湖の生態系のひとつであることを忘れない。いつもそこに立脚し、滋賀・守山から発信していく。
(敬称略)
ローズファームケイジ
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滋賀から世界へ。WABARA(和ばら)…
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