滋賀県守山市のばら農園、ローズファームケイジのWABARA

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滋賀から世界へ。WABARA(和ばら)の世界

2019.5.14

4. 父・啓司の夢を表現すること。ばら農園の3代目に生まれた國枝健一の思いと挑戦

WABARA(わばら)、それは欧米で作出された華やかなばらにはない、和らぎの表情と、しなやかな強さをあわせ持つばら。滋賀県守山市のばら農園、ローズファームケイジで慈しみながら育てられているWABARAの魅力、そして自然と共にあろうとするローズファームケイジの取り組みを12回に渡って紹介する。

ばら園で仕事をする國枝健一 ばら園で仕事をする國枝健一

ばら農園の3代目として生まれた國枝健一にとって、ばらはいつも生活の中にあった。社会人となり、実家から離れて暮らしたとき気づく。ばらのある生活がどれほど豊かなことだったかを。父の丹精こめて育てたばらに、新たな息吹を与えるのが健一のミッション。


ばら農園の3代目として生まれた國枝健一は、幼い頃から育種家として活躍する父・啓司を間近に見て育った。しかし自身のキャリアのスタートにばら農園を継ぐという選択肢はなかった。継がなくてもいいと父から聞かされていたからだ。大学を卒業後はサラリーマンとなり、海外と接点のある仕事に従事していた。

 

2006年、健一は滋賀県守山市にUターンし、事業家としてばらと向き合うことになる。サラリーマン時代にお礼などで贈ったばらがとても喜ばれたシーンと、幼少期から変わることのない、生産現場から花市場に出荷する作業を淡々と行う父の姿という、ふたつの異なる思い出が湧きあがった。花を贈ったり贈られたりする、消費者の表情を知ることなく生産されている家業のばら。そのふたつを丁寧につなげることで、新たなばら生産の可能性を広げたいという思いがそうさせたのだった。

 

まず考えたのは、ばらをどう消費者へ届けていくのかということ。これまでは流通しやすいよう、規格に適合するばらを作り、流通業者に卸すことでばら農園の仕事は終わっていた。その流れは市場にとってのものであり、消費者が本当に求めるものではなかったことに気づく。父・啓司の思いを込めたばらの価値を理解してくれる人に届けること、そして世界へと発信していく力を持つという命題も健一の心に萌した。2007年、父・啓司の夢と美意識の結晶のばらに「WABARA」と名付ける。そして「生きたばらをつくる」というコンセプトのもと、土耕栽培への移行も開始。父の夢を表現し、発信するという、健一の挑戦はここから始まった。

 

(敬称略)

國枝健一 Kenichi Kunieda

株式会社ローズユニバース CEO。1981年、國枝啓司の長男として生まれ幼少よりばらに親しむ。2年のドイツ留学、一般企業での就業経験を経て、25歳で父が営むローズファームケイジに就農。その後、2014年に株式会社ローズユニバースを立ち上げ、CEOに就任。プロデューサーとして國枝啓司が理想とする栽培環境や栽培手法の確立をサポートする。WABARAの思想を体現するプロジェクトや想いを同じくするパートナーとのコラボレーションを世界各国で推進するほか、琵琶湖の再開発事業や花育プログラムの提供など、生態系の一部を担うWABARAのポテンシャルを地球に還元する取り組みも精力的に行っている。

 

ローズファームケイジ
https://rosefarm-keiji.net/

Photography  ©︎ Rose Farm KEIJI

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