WABARA(わばら)、それは欧米で作出された華やかなばらにはない、和らぎの表情と、しなやかな強さをあわせ持つばら。滋賀県守山市のばら農園、ローズファームケイジで慈しみながら育てられているWABARAの魅力、そして自然と共にあろうとするローズファームケイジの取り組みを12回に渡って紹介する。
健一の長男の名前がつけられたWABARA「葵」。ばらを慈しむ気持ちが名付けにも反映する。健一には、初めて見た瞬間にばらからこえが聞こえたようにつけるときと、花が飾られている情景から言葉を紡ぐときがあるという。
WABARAには、すべて名前がついている。啓司と健一、それぞれに名付け方に違いがあるという。啓司は直感的なものに従い、健一は情景やストーリーから名付けることが多いそうだ。
ふたりにお気に入りのばらを聞いてみた。どれも自分が育てた大切なばらで、好きなものしか作ってないから特定のものはないと答えてくれたのは啓司。しいていえば、自分の思い描いたばらができたという手ごたえを得たばら「てまり」を挙げた。「てまり」ができて初めて、WABARAと銘打つことに決めたからだ。
健一は、ターニングポイントとなってくれたばらを3つ挙げてくれた。WABARAのシグネチャーローズである「美咲」は切花のばらとは正反対に、たおやかな茎、柔らかな花びらと香りをまとい、WABARAの世界観を具現してくれたばらとして大切にしているという。健一の長男の誕生とともに生まれた「葵」も思い出深い。趣ある色合いや自然な立ち姿が美しいばらとして、世界的にも人気が高い。父・啓司の目指した花姿と香りの融合した「かおりかざり」は、香りを飾るというコンセプトのばら。麗しいフルーツの香りが、従来のばらの香りの先入観を覆すことに成功したものだ。WABARAの特徴が、名前のひとつひとつに込められている。
(敬称略)
ローズファームケイジ
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滋賀から世界へ。WABARA(和ばら)…
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