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カーライフその先の未来へ

2023.7.20

富裕層が注目する、会員制ドライビングクラブ「THE MAGARIGAWA CLUB」











自分のカーライフを豊かにする一台とはどんなクルマなのだろうか?
特段のクルマ好きでなくても、今や私たちのライフスタイルにクルマは欠かせない。どの一台をチョイスするかは、その人の感性の指標であり、人生観そのものとも言えるかもしれない。
新たなクルマと出合うために世界中を取材で飛び回る、モータージャーナリスト九島辰也が独自の視点で切り込むクルマの新連載。ぜひ、自分らしいカーライフ探しのヒントにしてもらいたい。

 

 

 

 

 

富裕層たちの特権、会員制ドライビングクラブで愛車を走らせる

 

“会員制”とか“MENBERS ONLY”なんて言葉からどんなところを思い浮かべるだろう。スポーツクラブやレストラン、マリーナなんかもそうだし、名門と呼ばれるゴルフ場のクラブハウスにもそんな文字がぶら下がっている。ロッカールームの入り口がそうで、メンバーとゲストはそこで区別される。名門であればあるだけメンバーロッカーは憧れの場所だ。メンバーはクラブ運営を司る上で大切な会員組織を形成する。

 

今回足を踏み入れたコーンズ・アンド・リミテッド・カンパニーが手がけるTHE MAGARIGAWA CLUB(ザ・マガリガワ・クラブ)もそんなシステムの上に成り立っている。が、ここはゴルフ場でもスポーツクラブでもない。まだ日本では数少ない会員制ドライビングクラブである。
日本では数少ない……としたのは、カーカルチャーの進んでいるヨーロッパやアメリカでは数多く存在しているからだ。メンバーはそこで自前のレーシングカーをシェイクダウン(初走行)したり、大きな大会前のセッティングを行っている。これもまた富裕層の趣味のひとつだ。










MAGARIGAWA全景 MAGARIGAWA全景

広大な敷地に設計されたTHE MAGARIGAWA CLUB全景。






ピットレーン ピットレーン

ピットレーンには最大36台のピットインが可能。空調設備が完備され、給油ステーションや専属サービスマンによる走行前点検がここで行われる。







「ジェントルマンズレーサー」なんて言葉はそんな人たちを指す。メーカーがスポンサーになってプロのレーサーを雇うのではなく、すべて自前で行っている人々のことだ。レースのカテゴリーに「ジェントルマンズクラス」があるのはそういう理由。かなりお金のかかる趣味だけに、それなりのセレブリティが集まって、クルマを走らせるのを楽しんでいる。
スペインのマラガ郊外にあるアスカリ・レース・リゾートはその代表的なサーキットだろう。走るだけの場所ではなく、レストランを含めリゾートの雰囲気プンプンにつくられている。国際試乗会の会場として何度か足を運んでだが、テラス席からサーキットを見下ろす眺めは最高だった。

 

“走り“にとことんこだわり
富裕層を満足させるホスピタリティを追求する

 

話をTHE MAGARIGAWA CLUBに戻そう。
ここはそんなアスカリ・レース・リゾートにインスパイアされてつくられた。クルマ好きの富裕層のために、高級輸入車販売の老舗コーンズがクルマを楽しく走らせられる場所を提供したのだ。彼らの考えは幅広く、クルマを販売したらそれで終わりにはしない。走れる場所、保管できる場所のケアまで行っている。さらにいえば、海外のレースに出場したければそれもサポートしてくれるそうだ。







コース設計 コース設計

全長3.5㎞のコースは上り20%、下り16%勾配、800mのストレート、22のコーナーを持つ。世界でも類を見ないチャレンジングなコース設計になっている。コース設計は、F1サーキットの設計を一手に引き受けるTilke Engineers & Architectsが、日本で初めてゼロからデザインしている。






メインとなるコースは全長3.5kmでストレートは800mある。なので、慣れてくればかなり長くアクセルを目一杯踏み込める。また山を切り開いた設計なので80mの高低差があり、最大上り勾配は20%となる。最終コーナーに向かって上りながら連続するコーナーはそこを駆ける感じだ。上りコーナーなので安心してハンドリングを楽しめるのがいい。

 

コースを手掛けたのはティルケ・エンジニアーズ&アーキテクトと聞く。ドイツ人建築家ヘルマン・ティルケ氏が率いる会社で、数々のF1の開催できるサーキットを設計してきた実績を持つ。よって、クルマのパフォーマンスを引き出すレイアウトとなっている。オープン前のプレス向け内覧会ではランボルギーニで走らせてもらったが、思った以上に楽しかった。よほど無茶な運転をしない限り安全は担保されていそうだ。






全景 全景

THE MAGARIGAWA CLUBのゲストハウス。






保管場所は、室温、湿気を完全にコントロールしているガレージ。いつでもオーナーが気持ちよく乗れる状態をキープしてくれて、事前に連絡すればバッテリーやタイヤの空気圧チェックまでしておいてくれるからありがたい。

 

そんなTHE MAGARIGAWA CLUBの会員には正会員とアソシエイト会員があり、後者には制限が設けられるが、コースや保管場所以外にも施設は豊富に用意される。レストラン、バー、キッズルーム、25mインフィニティプール、スパ、ドライビングシミュレーター、カラオケルーム、日本庭園、ドッグラン、テニスコート、温泉など。温泉は掘削して天然温泉を掘り当てたらしい。

インフィニティプール インフィニティプール

クラブハウスには25mの広々としたインフィニティプールがある。






クラブハウスのレストラン クラブハウスのレストラン

クラブハウス内のレストランは、KANAYA RESORTSがレシピ監修をしている。

 






グランドオープンは今年7月だが、すでに開業前から会員の申し込みを多数受けている。それを聞くと日本でも多くの人がこういった会員制ドライビングクラブを欲していたのがわかる。場所は千葉の南房総。アクアラインを使えば都心からおよそ一時間で到着する。羽田空港からのアクセスがいいので、インバウンドも見越しているらしい。なるほど、カーガイに国境はないからね。THE MAGARIGAWA CLUBはアジアの富裕層の間でも話題になりそうな本格的会員制サーキットである。

 

Text by Tatsuya Kushima




九島辰也 Tatsuya Kushima

 

モータージャーナリスト兼コラムニスト。現在、サーフィン専門誌「NALU」のメディアサイト編集長、メディアビジネスプロデューサーも務めている。2020-2021日本カーオブザイヤー選考委員、『Car Ex』(世界文化社)副編集長、『American SUV』『ヨーロピアンSUV&WAGON』(枻出版社)編集長などを経てフリーランスへ。その後メンズ誌『LEON』(主婦と生活社)副編集長、フリーペーパー『Go! gol.(ゴーゴル)』(パーゴルフ)編集長、メンズ誌『MADURO(マデュロ)』(RR)発行人・編集長などを経験する。ファッション、旅、ゴルフ、葉巻、ボートといった分野に造詣が深い。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”である。

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