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カーライフその先の未来へ

2023.10.26

環境に向きあうラグジュアリーカー ベントレー「フライングスパーS」で軽井沢へ











環境問題に向き合う自動車業界の動向

 

自動車業界では今BEV(バッテリーEV)と呼ばれるクルマに完全移行する傾向が強くなっている。おおよそ2030年をめどにガソリンエンジンなどの内燃機関を積んだモデルの新車販売を中止すると言う計画だ。ボルボやロータス、ジャガーやベントレーなどがそう。ヨーロッパでのBEV化に対する機運の高まりは想像以上である。
そうした一連の動きにはある特徴が見られる。生産台数の少ない小規模メーカーほど移行を積極的に行なっているようだ。ベントレーもその一つで、昨年世界販売台数の過去最高記録を樹立したとはいえ、台数は1万5000台余り。コンパクトカーからフルサイズまで揃えるフルラインナップカンパニーとはスケールが異なるのだ。その分会社として小回りが効くのだろう。これまで売りにしてきた内燃機関をバッサリ断捨離する方針を固めた。
もちろん、その背景にはカスタマーサイドの環境問題に対する意識の高さがある。ベントレーが相手にする富裕層は特にそうで、彼らがこれまで取り組んできたサスティナブルな社会活動は広く認知されてきた。つまり、BEV化もその中の一つと考えられると言っていい。

 

森と共存するこだわりの宿と、世界が認める最高級車の共通点とは

 

そんな背景も関係するのだろう。今回ベントレージャパンの企画で、ベントレーに乗って軽井沢へ旅に出た。目的地は「ししいわハウス軽井沢」。緑深い木々の中に建つ隠れ家的な宿だ。
3棟の建屋からなるこの施設は著名な建築家の手によって生まれた。1棟と2棟が坂茂氏、今年開業した3棟目が西沢立衛氏によるものだ。どれもシンプルな木造建築で、日本の伝統的な趣を思い起こさせる。個人的に感じたのは、窓が大きく見晴らしがいいのと同時に、外と内のつながりを大切にしている点。外界を遮断するのではなく、室内と繋がっているように思わせる建築手法だ。
そう思える一つの理由に最初の図面が関係する。それは立っている木々を伐採するのではなく、鑑賞や部屋と部屋の間の目隠しに利用するアイデアだ。それにより文字通り自然の中に建屋が建っている雰囲気を醸し出す。これもある種の借景だろう。日本的な考え方を感じる。










ししいわハウス ししいわハウス

「ししいわハウス軽井沢No.1(SSH No.1)」(2019年築)と、「ししいわハウス軽井沢No.2(SSH No.2)」(2022年築)の坂茂が手がけた2棟、そして2023年6月開業の西沢立衛氏の手による3棟目(No.3)からなる。






ベントレーがこの場所を選んだのにはそうした宿のコンセプトがマッチしたからに他ならない。ベントレーが意図する環境に対する配慮と、非日常的な旅との共通点が見受けられた。ちなみに、客室にTVを置いていないのもそんなコンセプトの延長線上にある考えかもしれない。就寝の頃、都会では得られない静寂に包まれる。

それだけではない。ベントレーとここ「ししいわハウス軽井沢」はデザインの面でも親和性を感じる。前述した通り、ここは世界的な建築家による作品という面も持ち合わせているからだ。伝統を取り入れたデザインアイコンと自然との調和、それと空間の効率的な利用法は、まさに両者に通じるところではないだろうか。






ししいわハウス2 ししいわハウス2

建築、アートの美しさが私たちの五感を刺激する。






今回旅のお供としてステアリングを握ったフライングスパーSを例に出すと、ベントレーの伝統がしっかり注入されているのがわかる。丸型ヘッドライト、大型グリルなどがフロントマスクにおける象徴的なデザインとなる。遠くからでもベントレーであることを主張するアイテムだ。そしてサイドに回ると大きく膨らんだリアフェンダーが目に付く。グラマラスな印象をもたらすそれは1950年代に誕生したコンチネンタルRタイプから綿々と続くアイコン。今日のベントレーを語る上でも欠かせないパートとなる。

 






ベントレー インテリア ベントレー インテリア

フライングスパーSのV8モデルは、ベントレー最先端の4.0リッターV8エンジンを搭載し、最高出力550PS、最大トルク770Nm、0-100km/h加速わずか4.0秒、最高速度は(制限速度内で状況が許せば)318km/hを発揮。







4ドアサルーンはリアシートに座ることを第一に考えたクルマと思われがちだが、フライングスパーSはそうとは言い切れない。1919年のベントレー誕生時から続くスポーティな走りは受け継がれている。なんたってボンネットに収まるのは4リッターV8ツインターボ。最高出力は550psで、最高速度は時速318キロに到達する。もはやスーパーカーレベルのパワースペックだ。それでいてドライブモードは「スポーツ」の他に「コンフォート」があり、柔らかい乗り味で高速道路のロングドライブを楽しめる。東京、軽井沢間は多くが高速道路なのでその恩恵を存分に味わえるであろう。まさにロンドンに居を構える貴族が郊外のマナーハウスへ行くような感覚だ。





ししいわハウス軽井沢No.2(SSH No.2)とフライングスパーS。 ししいわハウス軽井沢No.2(SSH No.2)とフライングスパーS。

ししいわハウス軽井沢No.2(SSH No.2)とフライングスパーS。




ということで、今回はベントレーで秋のロングドライブを堪能した。「ベントレー」×「ししいわハウス軽井沢」はまさに大人の週末旅にピッタリであろう。喧騒から離れた非日常にベントレーフライングスパーSが誘ってくれる。

 

Photography by Toshiki Kobayashi
Text by Tatsuya Kushima





九島辰也 Tatsuya Kushima

 

モータージャーナリスト兼コラムニスト。現在、サーフィン専門誌「NALU」のメディアサイト編集長、メディアビジネスプロデューサーを担当。これまで多くのメンズ誌、ゴルフ誌、自動車誌、エアライン機内誌などの編集長を経験している。メディア活動以外では2023-2024日本カーオブザイヤー選考委員、(社)日本葉巻協会会員、日本ボートオブザイヤー選考委員、メンズゴルフウェア「The Duke`s Golf」のクリエイティブディレクターを務めている。

 

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