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カーライフその先の未来へ

2023.12.30

ランドローバー「ディフェンダー」次世代へ敢えて挑戦する選択




世界的に人気が高い、ランドローバーブランドの数々

 

ディフェンダーというクルマがある。「ディフェンダー」なんておよそサッカー中継でしか聞かないようなワードだが、そんな名前が付いている。そもそもランドローバーブランドは複数の車種で構成されていたが、今は製品ブランドを前面に出し、各ブランドごとにコミュニケーションをしている。レンジローバーであれば、“レンジローバー”、“レンジローバースポーツ“、“レンジローバーヴェラール“、“レンジローバーイヴォーグ“、ディスカバリーであれば“ディスカバリー“、“ディスカバリースポーツ“という構成になっている。

ディフェンダーはそれよりもシンプルでボディの長さで名称が異なる。“ディフェンダー90”、“ディフェンダー110”、“ディフェンダー130”で、呼び方は「ナインティ」、「ワンテン」、「ワンサーティ」となる。数字はかつて使われたホイールベースの長さをインチで表したものだが、新型では呼称として使っている。よって、数字が大きくなればボディが長くなると覚えておけばいいだろう。






ディフェンダーとして日本初導入となる5.0リッターV型8気筒スーパーチャージドエンジンを搭載した「CARPATHIAN EDITION(カルパチアンエディション)」と「V8」を2024年限定グレードとして追加した。 ディフェンダーとして日本初導入となる5.0リッターV型8気筒スーパーチャージドエンジンを搭載した「CARPATHIAN EDITION(カルパチアンエディション)」と「V8」を2024年限定グレードとして追加した。

ディフェンダーとして日本初導入となる5.0リッターV型8気筒スーパーチャージドエンジンを搭載した「CARPATHIAN EDITION(カルパチアンエディション)」と「V8」を2024年限定グレードとして追加。




1990年代以来の採用となる、V8エンジン。強靭なボディを持つ5ドア「110」およびスタイリッシュな3ドア「90」に搭載。 1990年代以来の採用となる、V8エンジン。強靭なボディを持つ5ドア「110」およびスタイリッシュな3ドア「90」に搭載。

1990年代以来の採用となる、V8エンジン。強靭なボディを持つ5ドア「110」およびスタイリッシュな3ドア「90」に搭載。









そんなディフェンダーは世界中で人気が高く、ここ数年は納車までの期間が長いことでも話題となった。そもそも見た目がマニアックなカタチだけに、量産計画は少なめに抑えられていたのに加え、半導体不足とコロナ禍が大きく関与したからだ。

 

が、このところそれも回復に向かってきたことで、新たなモデルの投入が行われた。それはV8エンジン搭載車。なんと5リッターV8+スーパーチャージャーといったハイパフォーマンスなエンジンがラインナップに加わったのである。最高出力525ps、最大トルク625Nmはディフェンダー史上もっとも高い数字で、スーパーカーに匹敵する。一昔前までは500psなんてエンジンは限られたクルマにのみ与えられていたシロモノだ。もちろん、V8エンジンはディフェンダー用にチューニングされてはいるが、長年レンジローバーファミリーに積まれる信頼性の高いエンジンである。








5.0リッターV型8気筒スーパーチャージドエンジンは最高出力525PS、最大トルク625Nmを誇る。 5.0リッターV型8気筒スーパーチャージドエンジンは最高出力525PS、最大トルク625Nmを誇る。

5.0リッターV型8気筒スーパーチャージドエンジンは最高出力525PS、最大トルク625Nmを誇る。標準装備として、クアッドアウトボードマウントエキゾーストパイプ、マトリックスLEDヘッドライト、グロスブラックブレーキキャリパー、スエードクロスを巻く4本スポークのステアリングホイールなどを採用。








今回V8を積んだのはディフェンダー90と110だった。特に110はこれで3つ目のパワーソースになる。2リッター直4ターボのガソリンエンジンと3リッター直6ディーゼルターボのマイルドハイブリッドが用意されているからだ。理由はディフェンダー110がファミリーのほとんどを占めていることと関係する。つまり、なるべく多くのニーズに応えたいというメーカーの希望。2023年中盤からの2024年モデルの受注は、90が8%、110が90%、130が2%と明白。実用性の高い5ドアの2列シートの需要は思いのほか高い。

 

自動車業界の流れに逆行して、力強い走りを追求する

 

実際に走らせるとどうかだが、スタートからかなりパワフルな動きを見せる。アクセルを踏み込んだ時の反応は力強く、グイッと大きなボディを前へ押し出す。その時のV8エンジンの唸りを含め、特別なクルマであることを感じさせる。そして、ドライブモードを他のエンジン車には無いダイナミックモードにすると過激さが増す。排気音が大きくなると同時に、シフトアップのタイミングが遅れて高い回転域まで使うスポーティな走りを体感させるのだ。さらにいえば、パドルシフトを駆使して楽しさを倍増することができる。欲しいパワーを任意のギアで抽出することで、思い通りの走りが手に入るのだ。このクラシックモダンな装いからは想像できない走りである。






V8モデルの価格は90が1500万円〜、110が1588万円〜。 V8モデルの価格は90が1500万円〜、110が1588万円〜。

V8モデルの価格は90が1500万円〜、110が1588万円〜。







ということで、こんな楽しい走りのV8エンジンを積んだディフェンダー110に注目したい。電動化が叫ばれる近年において、このタイミングでガソリンエンジンのV8を導入するなんてインパクトは大きい。まさに世の中の流れと逆行している。ジャガーランドローバー社は電動化に積極的なメーカーとして知られているだけに驚きだ。
ただ、そうしたEVメーカーへの移行を掲げる会社の指針と自動車業界の置かれる環境を鑑みると、正直このモデルが長くカタログに載ることは考えにくい。どこかのタイミングでバッサリ生産が終了されることだろう。その意味ではV8エンジンが内燃機関終了前の最後の花火みたいな気がしなくもない。つまり、次世代を想像するに、クルマ好きにとってはかなり貴重な存在になるのではと。どうです、気になりませんか? 興味を持った方はぜひディーラーでV8の感覚をお試しくださいな。

 

 

画像提供:ランドローバー
Text by Tatsuya Kushima





九島辰也 Tatsuya Kushima

 

モータージャーナリスト兼コラムニスト。現在、サーフィン専門誌「NALU」のメディアサイト編集長、メディアビジネスプロデューサーを担当。これまで多くのメンズ誌、ゴルフ誌、自動車誌、エアライン機内誌などの編集長を経験している。メディア活動以外では2023-2024日本カーオブザイヤー選考委員、(社)日本葉巻協会会員、日本ボートオブザイヤー選考委員、メンズゴルフウェア「The Duke`s Golf」のクリエイティブディレクターを務めている。

 

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