九島辰也連載 ボルボ九島辰也連載 ボルボ

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カーライフその先の未来へ

2024.3.26

北欧ならではの背景を持ったボルボの新提案EX30




BEVの課題を解決し、さらなる可能性へ挑戦する

 

ボルボから新しいBEVが登場した。BEVとは“バッテリー”EVの略で、100%電気で走るクルマを意味する。彼らはこれまでC40リチャージ、XC40リチャージといった同様のモデルをリリースしてきたので、これで三台目となる。2030年にすべてのモデルをBEVにする目標を掲げるメーカーだけに、今後さらにラインナップを拡大するのは明白だ。
とはいえ、EX30はこれまでの2つのモデルと決定的に異なる。それはBEV専用プラットフォームを採用している点だ。プラットフォームとはクルマの土台となる部分。それをC40リチャージとXC40リチャージはガソリンエンジンと共有するから、その違いは大きい。つまり、今度のEX30こそ、新世代ボルボの本丸であり、これ以降このクルマのプラットフォームを使ったBEVが広く展開されると考えられる。






最高出力272ps 一充電走行距離(WLTCモード 国土交通省審査値)560km 総電力量(バッテリー容量)69kWh 加速(0-100km/h)5.4秒。 最高出力272ps 一充電走行距離(WLTCモード 国土交通省審査値)560km 総電力量(バッテリー容量)69kWh 加速(0-100km/h)5.4秒。

最高出力272ps 一充電走行距離(WLTCモード 国土交通省審査値)560km 総電力量(バッテリー容量)69kWh 加速(0-100km/h5.3秒。












ボルボがBEVにこだわる理由は、スウェーデンというお国柄にある。大自然と人間が共存する北欧らしい考え方だ。二酸化炭素排出量がそのまま自国の環境破壊に通じるのだから慎重にならざるを得ない。しかも、最近はBEVを製造する過程で化石燃料をたくさん使っていることが指摘されているが、ボルボはそこもしっかり着目している。同国の鉄鋼メーカーと提携し、化石燃料を使わない高品質の鉄鋼を共同開発しようとしているのだ。それにリサイクル素材の利用率を高め、クルマ一台あたりの水の消費量を減らすといった努力も進めている。結果、EX30はこれまでのボルボ車の中で最も二酸化炭素の排出量を少なくすることを実現した。

 

コンパクトでシンプルモダンなデザインに心惹かれる

 

そんな背景を持つEX30だが、デザインもまたこのクルマの特徴であることを忘れてはならない。いわゆる“スカンジナビア・デザイン”と呼ばれるそれは、シンプルながら温かみのあるフォルムを持つ。アイコンとなるトールハンマーLEDやグリルレスのフロントマスクもそんな感じだ。個人的にはフレームレスのドアミラーが気に入った。機能性を維持しながらモダンファニチャーのような印象を与える。先に採用されているフレームレスルームミラーと合わせオシャレだ。








進化的でありながらシンプルでモダンなデザインは、やはりボルボの風格。 進化的でありながらシンプルでモダンなデザインは、やはりボルボの風格。

進化的でありながらシンプルでモダンなデザインは、やはりボルボの風格。








ドライバー・ディスプレイとセンターディスプレイを、12.3インチのタブレットに集約。運転操作に必要な情報とよく使う機能のコントロールボタンを同一画面内にわかりやすく表示されている。 ドライバー・ディスプレイとセンターディスプレイを、12.3インチのタブレットに集約。運転操作に必要な情報とよく使う機能のコントロールボタンを同一画面内にわかりやすく表示されている。

ドライバー・ディスプレイとセンターディスプレイを、12.3インチのタブレットに集約。運転操作に必要な情報とよく使う機能のコントロールボタンを同一画面内にわかりやすく表示されている。










インテリアもその流れを汲む。ガジェットをそのまま立てかけたようなセンターモニターとダッシュボードはまさに無駄なものを削ぎ落としたミニマムな仕上がり。シンプルな中にセンスの良さをうかがわせる。シートもそうで、形状も素材も温かみを感じる。その素材は自然素材とリサイクル素材をうまい具合に組み合わせ、通気性を良くしている。夏は涼しく、冬は暖かいといったところだ。センターコンソールにちょっとした仕掛けがあるのもグッド。可動式で、収納パターンがいくつか使い分けできるようになっている。

 

グレードは一つで、リアタイヤを動かすRWDの272ps仕様となる。価格は559万円。自治体によって異なるが、補助金があるので数十万円は安く買える。ただ、今後新たなグレードが投入される可能性はなくもない。もう少しパワーを落としたエントリーグレードや、前後にモーターを持ったAWDのハイパワー版が現れるかもしれない。







全幅1835mm 全高1550mm 全長4235mm。 全幅1835mm 全高1550mm 全長4235mm。

全長4235mm 全幅1835mm 全高1550mm 。

 







いずれにせよ、輸入車の中では比較的リーズナブルで、サイズも扱いやすいのは確か。その意味でBEVを購入しようと考えると、ショッピングリストの上位に来る可能性は高い。実際に走らせても乗り心地は快適だし、加速も不満はなかった。それにサービスエリアのパーキングでは小回りが効くのでストレスなく駐車できた。そこは国産コンパクトカーからの乗り換えもスムーズだろう。

 

というのが新型EX30の印象。環境保護もそうだが、デザイン産業を国策として推奨しているスウェーデンだけに、そのクオリティは高い。きっと日本でもデザイン業界やクリエイティブな仕事に携わる人からいい反響がありそうだ。環境問題にも関心のあるジェントルなユーザー像が頭に浮かぶ。

九島辰也 Tatsuya Kushima

 

モータージャーナリスト兼コラムニスト。現在、サーフィン専門誌「NALU」のメディアサイト編集長、メディアビジネスプロデューサーを担当。これまで多くのメンズ誌、ゴルフ誌、自動車誌、エアライン機内誌などの編集長を経験している。メディア活動以外では2023-2024日本カーオブザイヤー選考委員、(社)日本葉巻協会会員、日本ボートオブザイヤー選考委員、メンズゴルフウェア「The Duke`s Golf」のクリエイティブディレクターを務めている。

 

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