いま知っておきたい日本ワイン

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いま知っておきたい日本ワイン

2019.5.20

1. ワインジャーナリストが甲州の究極形と評した「キュヴェ三澤 明野甲州2017」

日本国内で栽培されたブドウを100%使用して国内で醸造された「日本ワイン」が目覚ましい進化を遂げ、世界から耳目を集めている。覚醒し始めた「日本ワイン」がパラダイムシフトを起こす中、3人のワインオーソリティーが今、経験すべき12本を厳選し、紹介する。

キュヴェ三澤 明野甲州 キュヴェ三澤 明野甲州

ワインジャーナリスト柳忠之が選んだ日本ワイン×キュヴェ三澤 明野甲州2017

 

現時点における甲州の究極形、それがこの「キュヴェ三澤 明野甲州」だ。甲州はシルクロードを経て、大陸から渡来した欧州系の血を引くブドウ品種。本来、ワイン醸造に適した品種ながら、1000年以上にわたって生食用として育てられたため、醸造向けのポテンシャルを失ってしまった。

 

その潜在的な能力を覚醒させるべく必死に取り組んだのが、グレイスワインの三澤茂計だ。ところが長年染み付いた特性はなかなか消えず、欧州で一般的な垣根栽培を試みたものの、うまく実をつけなかった。

 

父のリベンジを果たしたのが、娘の彩奈だ。北杜市明野の自社農園で甲州の垣根栽培に挑戦。2005年に植えた甲州が、7年目の12年に初めて糖度20度を超えた。こうして誕生したワインが「明野甲州」である。

 

棚栽培の甲州よりも小粒のブドウが実り、出来上がったワインは甲州のピュアさやデリケートさはそのままに、ミドルパレットに厚みが増した。ここ数年のワインからはフリンティ(火打ち石)なスモーキーさも感じられる。

 

今、明野農場ではマサル・セレクション(優良な数を選抜して増やす作業のこと)の最中。結果が出るには10年、20年の歳月がかかるだろう。明野甲州の進化から、しばらく目が離せない。

 

(敬称略)

キュヴェ三澤 明野甲州2017
造り手:グレイスワイン
品種:甲州
特徴:日本では珍しい甲州の垣根栽培。人気が高くすでに売切れが続出。今年のリリース分も確実に手に入れるためにはワイナリーへ予約を入れるのをおすすめする。
価格:5,400円(税込/編集部調べ)
http://www.grace-wine.com/

Text by Tadayuki Yanagi
Photography by Michinori Aoki

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