日本国内で栽培されたブドウを100%使用して国内で醸造された「日本ワイン」が目覚ましい進化を遂げ、世界から耳目を集めている。覚醒し始めた「日本ワイン」がパラダイムシフトを起こす中、3人のワインオーソリティーが今、経験すべき12本を厳選し、紹介する。
ソムリエ 松木リエが選んだ日本ワイン×キスヴィン ピノ・ノワール2016
昨年惜しまれつつ他界したワイン界のレジェンドがいる。マスター・オブ・ワインなど数々の称号を持つジェラール・バッセだ。2017年、バッセが来日したとき、キスヴィン ピノ・ノワール2015を飲んですぐさま、インプレッションをSNSに投稿した。もちろん瞬く間にシンデレラワインになったことは言うまでもない。
バッセは醸造責任者の斎藤まゆに「全部買いたい」とまで言ったという。日本では栽培が難しいと言われているピノ・ノワールでのワイン造りに挑戦して、最初のヴィンテージのことだった。
「ピノ・ノワール2016」は斎藤まゆ曰く「実験をした年で、方向性が決まった年」。私もキスヴィンに頻繁に通った年で、その熟成を見守ってきた。
グラスの中でくるくると表情を変えるので、ぜひゆっくりと飲んでみてほしい。最初は濃縮感あるカシスリキュールのような風味としっかりとした渋みの骨格がある。少し空気に触れさせていくと紅茶のような熟成香があらわれ、やや酸味が強調され繊細だ。さらに時間が経つと、ナツメグのようなスパイスが前面に出てくるのと同時に果実味の豊かさが復活する。
ワインだけでも十分楽しめるのだが、カツオのたたきのポン酢ソースを合わせたら、ちょうど燻した香ばしさと旨味や酸味がぴったりのマリアージュとなった。ぜひおためしを。
キスヴィン ピノ・ノワール2016
造り手:Kisvin Winery / 醸造責任者・斎藤まゆ、代表・荻原康弘
品種:ピノ・ノワール
特徴:2013年よりワイナリーとして醸造スタート。ブドウ栽培農家3代目の荻原の質の高いブドウと、そのブドウのポテンシャルを見事に引き出した斎藤のワイン造りは着実にファンを増やし続け、今では三つ星レストランや外資高級ホテルのダイニングでも扱われているほど人気のワイナリーへと成長した。
価格:16,200円(税込/編集部調べ)
http://www.kisvin.co.jp
Photography by Michinori Aoki
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